Current Use and Impact of Pulmonary Artery Catheters on the Short-Term Outcomes in Patients With Cardiogenic Shock Treated With an Impella: Findings From the Japan Registry for Percutaneous Ventricular Assist Device (J-PVAD)

Riku Arai, et al.

Crit Care Med. 2024 Feb 9. doi: 10.1097/CCM.0000000000006225. Online ahead of print.

要旨

この研究論文は、日本で実施された前向き多施設観察研究から得られた知見を紹介するもので、Impellaデバイスによる治療を受けた心原性ショック（CS）患者における肺動脈カテーテル（PAC）の使用に焦点を当てたものである。この研究では3112人の患者が登録され、そのうち2063人がCSを有し、Impellaデバイスを使用していた。PACの使用が30日死亡率や溶血、急性腎障害、心室性不整脈などの他の合併症に影響するかどうかが分析された。重要な所見は、PACの使用はコホート全体の短期転帰に有意な影響を及ぼさなかったが、静脈動脈体外膜酸素療法（VA-ECMO）を併用している患者では、PACは30日死亡率と溶血率の低下と関連していたことである。

この研究は、Impellaのような機械的循環補助装置を用いたCSの管理に関する知見を追加するものである。これまでのランダム化比較試験（RCT）では、PACに関してはさまざまな結果が示されており、特にCS患者に焦点を当てたものではないことが多い。観察研究では、CSにおけるPACの使用により死亡率が改善する可能性が示唆されており、特にECMOのような他の介入と併用した場合、PACがこの重篤な病態の管理に重要な役割を果たす可能性を示している。

Abstract

目的
本研究の目的は、Impella支持を受けた心原性ショック（CS）患者における肺動脈カテーテル（PAC）の現在の使用状況とその影響を調査することである。

デザイン
本試験は2020年1月から2021年12月までの前向き多施設観察研究であり、薬剤抵抗性の急性心不全患者であり、日本国内でImpella 2.5、CP、5.0ポンプの留置が試みられた、または成功した全患者を登録した。

設定 : 日本国内の心臓ICU。

患者
2020年1月～2021年12月に，Impellaを使用した合計3112例が経皮的補助人工心臓日本登録（J-PVAD）に前向きに登録された。うちCS患者2063例をPACの使用状況により2群に分けた。

介入： 介入なし。

評価項目と主な結果
一次エンドポイントは30日死亡率、二次エンドポイントは溶血、急性腎障害、敗血症、インペラに関連しない大出血、30日以内の心室性不整脈とした。PACはインペラ植込みを受けた1358例（65.8％）に使用された。静脈動脈内体外膜酸素化術（VA-ECMO）の使用率はPACを使用した患者で使用しなかった患者より有意に高かった。PACの使用に関連する因子は、高血圧の有病率、院外心停止、New York Heart Association分類IV、心拍数50未満の有病率の低さ、カテコールアミンの使用であった。一次エンドポイントおよび二次エンドポイントはPAC使用による有意差はなかった。VA-ECMOを使用した患者に注目すると、30日死亡率は有意にPAC使用群で低く、溶血はPACを使用した患者で単変量解析では低かった。

結論
J-PVADの所見から、PACの使用はImpella支持を受けたCS患者の短期転帰に有意な影響を及ぼさないことが示された。これらの患者におけるPACガイド下集中治療戦略の臨床的意味を探るためには、さらなる前向き研究が必要である。

主要関連論文

1. "Pulmonary Artery Catheterization and Clinical Outcomes" by Connors et al. (1996), which critically examined the effectiveness and safety of PACs.

2. "The Role of Impella and Other Ventricular Assist Devices in Clinical Practice" by O'Neill et al., which provides a comprehensive overview of the applications and outcomes associated with various circulatory support devices.

3. "Use of ECMO in Patients with Cardiogenic Shock" by Abrams et al., discussing the outcomes and strategic considerations in the use of ECMO for heart failure patients.