The effect of combined treatment with Impella® and landiolol in a swine model of acute myocardial infarction

Isamu Yoshitake, et al.

J Artif Organs. 2012 Sep;15(3):231-9.

要旨

この研究では、超短時間作用型β遮断薬（ランジオロール）とImpella®左室補助循環装置（LVAD）を併用した、急性心筋梗塞（AMI）に対する心臓安静療法（HRT）と名付けられた新しい治療法を探求している。この研究は、急性心筋梗塞を誘発し、比較のために異なる方法で治療した豚モデルを用いて行われた。研究はAMIの豚モデルを用いて行われ、動物は3群に分けられた。1群は補助なし、1群はImpella®で補助、1群はHRTで治療された。

主な結果は以下の通りである：

HRTは他のグループと比較して梗塞面積を有意に減少させ、AMI時の心筋損傷を最小限に抑える有効性を示した。
ランジオロールとImpella®の併用は、著しい低血圧やその他の合併症を引き起こすことなく血行動態を安定させた。
Impella®単独では梗塞サイズの縮小に有効であり、致死的不整脈からの蘇生にも有益であった。
この研究ではまた、ランジオロールのようなβ遮断薬は心筋の酸素要求量を減少させ、梗塞の拡大を防ぐのに有効であるが、AMIにおけるその使用は、特にAMI後24時間以内の心不全や心原性ショックの増加と関連していることも強調している。しかし、この研究では、ランジオロールとImpella®の併用がこれらの悪影響を打ち消した。

既存の研究との関連性

この論文は、AMI治療、特にLVADとβ遮断薬の使用に関する研究に新たな足跡を加えるものである。これまでの研究で、梗塞サイズを縮小させるというLVADの利点が示されてきたが、本研究ではLVADと超短時間作用型β遮断薬との新しい併用法を紹介し、これらの治療法の相乗効果についての洞察を提供する。この研究は，AMIの治療戦略，特に不整脈や心原性ショックの可能性のような合併症を有する症例に対する治療戦略を最適化するためのよりよい理解に貢献するものである。

Abstract

心原性ショックは急性心筋梗塞（AMI）患者の高い死亡率と関連している。我々は、超短時間作用型β遮断薬（ランジオロール）とImpella(®)左室補助装置を用いて、AMIの早期段階で完全な血行再建を行う心臓安静療法（HRT）と名付けた新しい治療法を開発し、この治療法の効果をブタモデルで検証した。18頭の雄ブタを用い，左前下行冠動脈を第2対角枝レベルで120分間閉塞し，その後240分間再灌流することによりAMIを誘発した。動物は3群に分けられた：A群は支持なし、B群はImpella(®)で支持、C群は虚血後90分から再灌流後240分までHRTで治療した。梗塞率（梗塞リスク面積に対する梗塞面積の割合）はC群で有意に低下し（A群65.38±6.07、B群39.66±11.16、C群21.78±7.29）、A群とB群（P＜0.001）、A群とC群（P＜0.001）、B群とC群（P＝0.006）の間で有意差が認められた。再灌流後30分（P＝0.01）、60分（P＝0.022）、240分（P＝0.032）の心拍数は、B群と比較してC群で有意に低かったが、低血圧の発現はなかった。AMIの初期段階におけるHRTは，血行動態を安定させ，ブタモデルにおける梗塞サイズと合併症を減少させた。これらの結果は，HRTがAMI患者の予後を改善できることを示唆している。

主要関連論文

1. Title: "Mechanical unloading during acute myocardial infarction"
   Authors: Burkhoff D, Sayer G, Doshi D, Uriel N
   Journal: Circulation
   Year: 2019
   Summary: This paper discusses the concept of mechanical unloading of the left ventricle in the context of acute myocardial infarction and its potential benefits.

2. Title: "β-Blocker therapy in acute myocardial infarction: what is the future?"
   Authors: Bangalore S, Messerli FH, Kostis JB, Pepine CJ
   Journal: European Heart Journal
   Year: 2007
   Summary: This paper explores the role of β-blocker therapy in acute myocardial infarction and discusses its potential benefits and limitations.

3. Title: "Impella 2.5 and 5.0 as a bridge to coronary revascularization and recovery"
   Authors: Kapur NK, Esposito ML, Bader Y, Morine KJ, Kiernan MS, Pham DT, Burkhoff D
   Journal: Journal of the American College of Cardiology
   Year: 2017
   Summary: This study investigates the use of Impella devices as a bridge to coronary revascularization in acute myocardial infarction patients.