見出し画像

サイを護りたいと動き始めたら、想像以上にすんごいスケールで目が眩んだ


始めてケニアに行った時の事、僕は国立公園や自然保護区を周りながら、そこで生活してるサイやゾウやキリン、シマウマ、ハイエナ、カピバラ、、今まで動物園でしか見たことのない、囲いのない草原で自由に生きてる動物達に、見事なまでに心を奪われてしまった。

こんなにも車から出れない事が歯がゆいのは、生まれて始めてだ。
数メートル先にゾウがいるのに、僕は車からしかカメラが向けられなくて、思う様に写真が撮れない。

うまくいかないと、情熱はさらに燃え上がるようで、ケニアに滞在中の時間とお金を、全て動物達を見るのに使った。


そしてある日の事、友達になったレンジャーの話に、僕達は耳を疑った。


このままだと、あと10〜30年のうちにサイやゾウやキリンは絶滅してしまうんだよ。


は?
なんでなんで!?ホワーイ!?

最初は国立公園にツーリストが少なくて経営でも大変なのか?とか思っていたけど、実はそんな甘っちょろい話ではなかった。



明け方、太陽が昇るのと同時にゾウが出てきて、鼻をこすりあってた。


水辺には水牛の親子が。
少し離れたところには数十頭の群がゆっくり歩いてた。



サイの角やゾウの牙、チーター達の毛皮などは、とても高値で売れるから、みんな密猟で殺されてるんだ。

あ、それ聞いた事ある!

と、答えたものの、宿に帰って調べてみるとこれが想像を遥かに超えていた。

主にアジアと中東に輸入されてる象牙とサイの角の市場は、今や数億〜数兆円規模の、次のダイヤモンドと言われる程に大きなお金を産んでる。
その市場に大きな役割を果たしてるのが、密猟だというのだ。

牙や角は、丁寧に扱えば、動物を殺す事なく切り取れる物なのだけど、密猟者は必ず銃や毒で殺してから顔ごと掻っ攫うのだそうだ。

殺される数は近年になって、数分に一頭のペースにまで増えていて、毎日数百人のレンジャーが24時間体制で見回っていても、防ぎれないのだと言う。


そして、そこで話は終わらない。
さらに怖いのは、象牙やサイの牙の市場をさらに高める為には、ゾウやサイは絶滅させてしまった方がいいと考えてる人が、マフィア、ギャング、テロリストなどに資金を提供して、密猟に加担してるのだと知った。
その後ろには巨大資本家や国家すらも見え隠れしてる。


闇!闇すぎる!!
もう映画やん!!
ディカプリオとか出てくるやつじゃん!


そんな規模で、最新の武器を手にしてる密猟者達に、一部のボランティアや、数百人のレンジャーだけでは、広大な土地の全ては到底護りきれない。

まさか動物を絶滅させたいなんて人が、密猟で得た資金を使って既に行動に移してるとは思わなかった。

しかもその相手は数億〜数兆円規模の資金を動かす、マフィアやテロリストなのだ。

なんとなく動物を護りたいって言ってた言葉に、これまで見たこともない、高いハードルが立ちふさがってる。

もうハードルどころじゃない、太平洋ほどに広くて大きな海だ。
絶望に近い。

僕がこれからアイドル界のトップに駆け上がる!ってのよりも高くて険しいかもしれない!(いや、同じくらいか!)



無理だ。
絶対無理だよ。
俺、貯金0だぜ。
日本に家もないんだぜ。
先輩に5万円で売ってもらった車すら、5回払いにしてもらったんだぜ。
人生で一番高い買い物って、数十万円のデジカメぽっちだぜ。



と、今までの僕なら一瞬で諦めて、聞かなかった事にしていたと思う。

ところがどっこい、どうした事か、この10年、フラフラと放浪生活を続けてる中で、色んな意味ですごいスケールで生きてる人に沢山出会った。
超お金持ちから、超スキル持ち、超自由人、超ダメ人間。

みんなそれぞれの生き方をしてるけど、ひとつ共通点があって、ともかく性格も含めて、他人の目を気にせず突っ切ってるのだ。
常識や安定なんて想像がつく軸を振り切って、まさに生きたいがまま、生きてるように見えた。

少年時代から、なるべく誰とも争わないように、なるべく周りに合わせて生きていた僕とは、生きる覚悟というか、生きてる意味が全く違うように感じた。

明日どうなってもいい!
何かそんな潔さを感じた。

幸い今の僕には、守るべきお金や家、土地、子供という財産もないし、無くなって困るのは家族と友達と、今持ってるカメラ機材くらいだ。


そして、こんなにメチャクチャ困難な道なのに、どこかワクワクしている自分もいる。
これまで、一生旅を続けられれば、それだけで幸せだろうと思っていたのに、何か自分の人生をかけてやるべきことを見つけたかもしれない事が、嬉しかったのかもしれない。

それとも、これまで迷惑をかけてきた人達への懺悔や感謝を、誰かに返したいという気持ちの現れなのかもしれない。


ともかく、初めて一人で旅を始めた時の、あの興奮がまた戻ってきた気がした。



始めて間近で見たキリンの背中には鳥がいっぱい群れてるのに感動。


インパラは、一頭の男が群れを仕切る。
群れの周りにはボスになれなかった男達が群れてる。
なんか同情しちゃう。


サイが車の前を横切る時、何度もこちらを見てるのが可愛くてしょうがない。


男のウォーターバックは、もののけ姫のヤックルにしか見えない。
かっこええなあとしばらく眺めていたら、おしっこ中だった。
失礼!


草を掘り起こして食べ歩くゾウ。
最低でも一日数十キロは歩くんだって。


車と並走して歩くサイの姿は、とても優雅で美しい。


今年に入り、パートナーのシベリア人アーティスト、ビエラと話し合った結果、まずはともかく作品を作り続けられる体制を作ろうという事になった。

必要なのは家賃と生活費、そこをクリアして、始めて作品に予算を使うことが出来る。

そして毎朝、食事をしながら話し合ってると、今の僕達に圧倒的に足りないのは、面白い作品を作れるやつら!という信用だという結論に至った。

お前らにやらせてみたい!って人はまだまだ世界広しといえど、数で言えばほぼいないと思う。

それでも0じゃない、これまで2度のクラウドファンディングを開催して、本当ありがたい事に、仲間は決して0じゃあないって事はわかった。

よし、やるのだ。

百人、千人、一万人、百万人、動物を護りたいって人がそれくらいの規模になれば、マフィアやテロリストにも負けない力で、本当に動物が護れるかもしれない。


ウホッ!
やります。
やりましょう。 


まずは、僕らの生み出す作品で、どれだけ価値が生み出せるのか、ヨーロッパで試してみたいと思う。(そんな事が果たして仕事になるのか?)

丁度、ビエラの1年がかりで完成したショートアニメが、最近ウクライナの映画祭での上映が決まったそうだ。
他の映画祭にもかなりの数、応募してるんだそう。
決まってほしい!


まさか戦争も貧困も収まりつつあると、これまでのほほんと信じきっていたら、地球の存続に関わるくらいすごい時代だったなんて。

面白いじゃないか。

ドイツで無職になったってのに、心は逆に燃え上がるのです。
そして、そんな燃え上がってる僕が、突然スーパーサイヤ人に変わる訳もなく、やっぱりいつものフラフラ武蔵なのです!

オラにみんなの力を分けておくれー!


【象牙の密猟から元を辿っていくと、すんごい巨大組織にぶち当たるドキュメンタリー映画】
「アイボリーゲーム」



【インスタやってます】



【感想はレターポットがなお嬉しい】


いや、これ誰かからサポートあった時ほんまにむっちゃ嬉しいんですよ!!