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ロンドンで取り立て屋になる

-2010-
London, England


ロンドンで治験か、よし!行こう。
メールのやりとりをしながら、約1週間後にはロンドンに飛んでた。
熱くて甘いサルサダンスと引き換えに、バッチリ持ってたカメラを失ってしまった僕は、今じゃ考えられないくらい単純明快だった。
悩みゼロ。
薬のテストでカメラ代を回収か、やってやろうじゃないか。
他に今すぐ稼ぐ手段なんて思いつかない。




今回のテストは約2ヶ月間、その間、入退院を繰り返しながら身体を検査するもので、ずっと病院にいなくて良い分、ロンドンで遊べる時間がある。
期間が長い分、ギャラも大きい。
そして、今回ロンドンに来てやらなくちゃいけないミッションが、もうひとつあった。

1年前の事だ。
僕はロンドンの宿に預けた荷物の中から、カメラ機材一式を盗まれてしまい、宿主の人との話し合いで、保証金を送金してもらえるという話だったのだけど、これが全然送ってくれない。
この半年は、メールすら返って来なくなってたので、直接宿まで取り立てに行くことにした。




宿の呼び鈴を鳴らすと、主のおじさんが出て来て僕の顔を見るなり、とても驚いてるのがすぐにわかった。(覚えてる!)

「1年待ってもお金を送ってもらえなかったから、メキシコから取りに来ました、今すぐお金が必要なので返して欲しい」

緊張を悟られないように、なるべく意気揚々と話すと主のおじさんは、

「何!? 本当にメキシコから来たのか? むむ、、OK。ちょっと待ってくれ」

と、それからすぐにATMに行くと言って、僕を一人宿の外に残して出かけて行った。


ドキドキドキ、、え、これって、このまま逃げられたりしてないよね。
ま、まさかね…。


僕の不安をよそに、しばらくして戻って来た主のおじさんは、約15万円分のポンド札を封筒に入れて手渡してくれた。

ごめんな、忙しくて連絡出来なかったんだ。

ノープロブレム!
サンキュー!サヨナラ。

僕は笑顔で宿を去った。
助かった!お金が返って来たぜ!
すんなりいってよかった、良い流れ!

前回は盗難事件で大嫌いになってたロンドンが、今じゃすっかり楽しくなりそうな気がして(お金がちゃんと返って来た途端これだからね、人間てやつはよ)足取り軽く宿に向かったのだった。




宿へ向かう途中、墓地でキツネを見た。(初めて見た!)


平日の午後5時だってのに、バーやカフェには人だかり。


移動中に本を読む人って、今じゃこの当時より随分減ってるけど、でもどの国でも必ず一定数いるんだよね。
本を読んでる人って、なんか携帯見てるより魅力的に見える不思議。







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いや、これ誰かからサポートあった時ほんまにむっちゃ嬉しいんですよ!!