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旅で元気になる

一ヶ月くらい前からイスラエルを旅中のビエラが、もうそろそろ一旦帰ってくるそうだ。
電話の後ろでは何やらガヤガヤと賑わってて、イスラエルでは日曜日が仕事始まりなんだそうで、電話してた木曜日から週末が始まってるんだと教えてくれた。
ビエラはイスラエルがえらく気に入ってるみたいで、とにかく想像してたのと違いすぎて、治安は良いし、人は優しいし、フムスは美味しいし、朝から晩まで外で時間を過ごしてる人がむちゃ多くて安心するんだと、夜の町を散歩しながら話してる声が嬉しさで跳ねてる。

キャンプ道具と絵描き道具、タブレット、ウクレレを持ってトルコへ向かうビエラ


2月にロシア軍がウクライナに軍事侵攻を始めた日から、日に日に笑うこともなくなって、絵を描くことも止めてしまったビエラ。
10年以上一緒にいて、彼女が絵を全く描かない姿を見たのは始めてで衝撃だった。
反戦デモか避難者のボランティア活動に出かけては、夜は寝れないからとウクライナで起こってることを調べてSNSで発信し続けながら翌朝を迎える毎日。
ビエラはみるみるやつれていって、デモがないと殆ど部屋からも出てこなくなった。
唯一たぬきとあずきだけがビエラのベッドでゴロゴロ言いながらビエラにくっついてくれてた。

僕はビエラがウクライナの人達への罪悪感で押しつぶされてる様に見えて、なるべく家にいるのは止めて気になる作品やアーティストを見つけては、美術館やコンサートや映画館に足を運んだ。
アートって本当不思議で、美術館に行って展示に感動したり面白い作品に出会うと自分でも何かやりたくなってくる。
世界では戦争以外のことも日々起こってるって事を思い出すように、ウクライナのバンドのチャリティコンサートで、会場のみんなと平和を願って歌って踊った。

時々、うちにロシアの友達やウクライナから避難して来た知人が遊びに来て、最初は冗談言い合ってるんだけど、そのうちみんな涙を流してハグし合った。
こないだまで僕らと同じ様に毎日を楽しく生きてたのに、どうしてこの人達がこんなに苦しまないといけないのか。


Moscow, Russia 2011


その時期に制作したショートアニメーション。
ロシアで暮らしてる人達から「今一番言いたいことは?」という問いに答えてもらった言葉を元にした作品。
「I AM FROM RUSSIA」


夏が始まった頃、転機が訪れた。
幼馴染から一緒にマラソン大会に出ようと誘われて、数日間スイスに行ってもいい?と言い出したのだ。
その日から何ヶ月も止めてたランニングをまた始めて、同時にご飯も食べる様になった。

その頃ロシアでは政府からの新たな法律や規制がどんどん決まっていって、ビエラの友達や知人が次々とヨーロッパやアジアなどに引っ越し始めた。
ロシアは本当に変わってしまったんだと思い知った。

スイスから帰ってくるとビエラの中で何かスイッチが入ったらしく、それから立て続けに、ブルガリア、トルコ、イスラエルを周りながら、完全に旅生活になってるビエラ。    

極端か!
いや、今一番気持ちいい生活スタイルが見つかって本当によかった。

基本はレインボーギャザリングでキャンプ生活しながら作品作ったり、音楽作って遊んでるんだけど、イラストやアニメーションの仕事がある時は友達の家かエアビーで数日部屋を借りて仕事してるんだそう。

時々、まだ戦争中なのに毎日こんなに楽しくて大丈夫なのか?って不安になる時があるらしく、毎日楽しんでるのが最高の親孝行やけ大丈夫でしょ!って話したら褒められた。
幸せだと感じることを躊躇しだしたら、躊躇が感謝に変わるまで思い切り遊べのサインだと思う。
幸せ慣れしていこ。


ベルリンに帰ってくると毎回見た目は土まみれでボロボロヘロヘロなんだけど、内面にはものすごいエネルギーを蓄えてる感じで、一週間も家にいるとうずうずし出して、また旅のプランを立てて飛んでいく。

半年前じゃ考えられない。
翼の生えた絵描き。

旅中は優しい人とか面白い達といっぱい出会って、ずっと自分でいられるからいい!
と言ってて、これはまだしばらく僕が留守番長なんだろうなあと覚悟を決めた。

やっと僕らの今年が始まった年の瀬。

明日には帰ってくると言ってたビエラからついさっき、ここむちゃ楽しいからあと一週間延ばすことにしたけどいい?って電話があって爆笑した。




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