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治験てなんだ。 (1)

-2009-


グアテマラのサンペドロに来てから、もう時期一ヶ月が経つ頃、旅人から「治験」という言葉を聞いた。

何でも、製薬会社が薬を販売するまでには、その薬が安全な物か、量は適してるのかなど、何度もテストを行ってから、それで問題がなければ、販売したり、病院で使われたりするんだそうだ。

そのテストは治験と呼ばれ、日本人がそのボランティア(あくまでも仕事ではなく、ボランティアなのだけど、お礼として報酬が貰える)を受けられる施設が、日本国内やアメリカ、ドイツ、イギリスなどにある事を知った。

報酬は入院期間や、薬の内容などで変わってくるそうで、1日〜数ヶ月で、数万円〜数十万円の報酬が貰えるんだそう。

病院で3食昼寝付き、部屋にはwifiもあって、入院中の外出は出来ないけど、やる事は薬を飲んで、検査を受けるだけだと聞いた時は、なんてチョロい稼ぎ方があるんだろう、そんなの噂だけじゃないのか。と、話を聞いた時は半信半疑だった。

実際に治験を受けた事がある旅人から、治験募集のメールを見せてもらうまでは。



カメラを向ければ、たちまち誰がカメラの前に立つのかでこうなる。
たまらん。


頭に荷物を乗せて歩くのが上手すぎて、歩いてる姿に全く違和感を感じない。


世界一周航空券が紙切れとなってしまった後、僕はとにかく旅を楽しみながら、思うがまま写真を撮り続けたい!という気持ちしかなかった。


僕はラッキーな事に、これまで大きな病気も怪我もしたことがなく、入院した事もなく、すくすくと育ってこれた。
なので、病院にお世話になった事も殆どないまま生きて来た。

薬も小さい頃から苦手で、粉薬も錠剤も、飲もうとすると、いつも水と一緒に吐き出してしまい、風邪をひいた時なんかは、親が薬を飲ませるのに、とても苦労してた。
(殆どの場合、結局最後は薬を飲ませるのを諦めてたけど)


そんな、病院とはこれまであまり縁がなかった僕は、まあ、そのうち何かの役に立つ日が来るかもしれないかと、軽い気持ちでロンドンにある治験所の登録だけしといた。

それから数日後のこと、メールボックスに一通のメールが届いた。
治験の案内だった。

内容は、イギリスで販売されてる頭痛薬を、日本でも販売する為、量を日本人に合わせる為のテストで、期間は1週間、報酬は確か1000ポンドくらいだったと思う。

僕は、このメールに飛びついた。
普通に旅をしてれば、まず海外で働くのは簡単じゃない。
ワークビザがないからだ。

時々、ビザがなくても働ける場所もあると聞くけど、そんなコネクションは早々簡単には見つからない。
ほぼ日本語しか話せない僕は尚更だ。


ここでちょっとロンドンに飛んで、旅の資金を増やしてもいいんじゃないか。
1000ポンドあれば、2ヶ月は優に暮らせる。
南米に行ってみようとしてた僕は、往復の飛行機代を差し引いても、これは悪い話じゃないと、頭の中でそろばんを弾いて、徐々に頭の中はヨーロッパへと移っていくのだった。

この選択がどんな未来になるかも知らず、僕はわくわくし始めながら、サンペドロでの楽園生活にも、徐々に終わりが近づいていた。



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いや、これ誰かからサポートあった時ほんまにむっちゃ嬉しいんですよ!!