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今夜も悪魔のゲームが始まった。


マカダミアナッツの仕事をしてる間、宿の中で、どえらくブームが起こったゲームがある。

その名は、

ギャングゲーム。(ダハブケームとか呼ばれる事もあるらしい)

当時の僕は初めて聞く名前で、その場にいたみんなととりあえずやってみることになった。



このゲームは、人の心理を読み合うもので、まず、参加する人数の中の、2〜3割の人がギャングになる事から始まる。

事前にくじなどを引いて、みんな目を閉じた状態で、ギャングになった人だけが目を開けて、お互いにギャングチームである事を確認する。

そして、参加者がそのギャングを、討論と多数決をしながら暴いていく。

ギャングチームは、互いに協力しあって参加者をギャングに仕立て上げながら、参加者の混乱を呼びつつ、話を進めていく。
ある程度討論したら、多数決をして、そこで選ばれた人が、ゲームオーバーになっていく。

討論 → 多数決 → 一人抜ける → 討論 → 多数決 → 一人抜ける

これを繰り返していき、最終的に参加者とギャングチームのどちらが生き残るのを競うというもの。



要は、討論しながら誰がギャングなのかを当てて行くゲームだ。

これは、相手の心理を読んだり、読まれたりするゲームで、最初は一人ずつ話していくのだけど、その後討論が始まると、突然誰かから、

「ムサシ君、あなたなんか怪しい。ギャングなんでしょう!」

とか言われたりするので、僕は、ギャングじゃないことを説明しないといけなくなる。
変に焦ったり動揺してしまうと、他の人からも怪しまれてしまうし、かといって必死に言い返してると、それはそれで怪しい!という目で見られてしまう。
嘘が下手な人や、顔に色々出てしまう人には不向きなゲームだ。

だが逆に、心理ゲームが好きな人や、人の心が読めると思っている人ほど、このゲームにのめり込みやすい性質がある。


ギャングゲームが始まるのは、大体夕食の後、みんながチルアウトし始める時間帯。



このゲームを知って以来、毎日のように、やろう!と言い出す人がいた。

彼の名は、

ユウキ。

そう、あの、僕をアメリカ行きから一転、たった数分でニンビンに連れて来たユウキ君だ。

彼はいつもの澄ました笑顔で、巧みに人を動揺させたり、突然流れを変えたりして、ゲームを楽しんでくる。

もはやその言動や行動は、可愛い顔した悪魔だ。


夕食後、爽やかな笑顔で、今夜もやるっちゃね? と切り出すユウキ氏。




そしてもうひとり、このゲームをこよなく愛する乙女がいた。

彼女の名は、ロミ。

普段はウクレレを弾きながら、その可愛い歌声を響かせてるのだが、ギャングゲームとなると、人が変わったようにギャング探しに余念がない。

時々、見事にギャングに騙されてしまうのだけど、いとも簡単に人を信じてしまうので、同じチームだと厄介極まりない。
一度疑われると、ゲームが終わるまで全く信じてもらえなくなるのだ。


普段はセッションしても、一体感があって良いエネルギーで満ち溢れてるのに、ギャングゲームとなると、アフリカンのリズムの上から、パフュームの曲を突然重ねて、さらにその上からボサノヴァを重ねてるみたいに噛み合わない。
人を信用できなくなると、こうも人間世界は崩壊してしまうのか!!



いっとき、かなりこのゲームにハマった事があって、気づけば深夜の2時とかになってた時もある。
もちろん、翌朝はいつものマカダミアの仕事があるのに!だ。


ギャングゲームの恐怖から解放され、ベッドに行く前に歯磨きしながら寝落ちするみっちゃん。





そして、このギャングゲームの最も恐ろしいところは、実はゲーム後にある。

うまくギャングとなって、沢山の人を翻弄した人は、翌日から、

もうあの人の事が信用できない。

と言われる様になり、ギャングでもないのに、最初の多数決で選ばれて、ゲームオーバーになった人は、

なんで誰も俺のこと信用してくれなかったんだよ!

と、いじけてしまい、選んだ人達の心を悩ませる。

選んでしまった人も、選ばれてしまった人も、ゲームの結果がそぐわないと、どこか気まずい関係になってしまう。



危険なのだ。
ギャングゲームとは、まさにパンドラの箱。
開ければたちまち友情は崩壊し、互いを疑心暗鬼させてしまう、恐ろしいゲームなのだ。



翌朝になると、前夜に起こった数々の悲劇が、まるで何事もなかったかのように、爽やかな笑顔で仕事をするユウキ君。


ギャングゲームが始まってからというもの、日に日に仕事中に、ふとしたきっかけで誰かの所に集まって話をする事が多くなった。
年齢や性別を超えて、それぞれの性格が少しずつわかってきたので、話しやすいのだ。
しかしみんな、いいのか!ここはナッツを取った者が頂点に立てる、資本主義の生み出した、歩合制!の仕事場なんだぞ。



前夜にギャングチームだった人とは、すでに目配せで会話が出来るようになってくる程に親密度は増している。
ギャングの絆は、家族や恋人よりも強い。




もし誰かからギャングゲームをやろうと誘われる事があったら、この事を踏まえてやってみて欲しい。

ちなみに僕は、何度か最初の多数決でゲームオーバーになったのだけど、

実は俺が一番みんなの心理を読んでた。


と自負してる事は、未だ誰も気づいていないだろう。
俺はハードボイルドな大人なのだ。




この頃から聞く様になった【忌野清志郎】で、「ひとつだけ」with 矢野顕子




【インスタでも、オーストラリア編やってます】



【感想はこちらが嬉しい】



【ケニアで出会った動物達を大判のポスターカレンダーにしました】


いや、これ誰かからサポートあった時ほんまにむっちゃ嬉しいんですよ!!