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殺人犯は本当に悪なのか?

いきなり刺激的なタイトルで申し訳ありません(^_^;)


内容に興味を持って頂くためのキャッチコピーだと思ってもらえれば幸いです。
もちろん、法律的にも、倫理的にも、社会通念上、どこからどう見ても人殺しは悪に決まっています。それを大前提として話を進めます。


思考の幅を広げるために、こういったわかりやすい命題を立てて考えてみることが、すごく良いトレーニングになります。


「解」

さて、私は最近、秋葉原通り魔事件の犯人加藤がその心境を綴った、「解」という本を読みました。

秋葉原通り魔事件(あきはばら とおりまじけん、とは、 2008年(平成20年)6月8日に東京都千代田区外神田(秋葉原)で発生した通り魔殺傷事件。7人が死亡、10人が負傷(重軽傷)した。


この事件の犯人、加藤の人生が記されたこの本を読んでいると、彼が余りにもひどい境遇で育ってきたことがわかります。


母親から成績優秀であることのみを求められ、「母親の自己愛を満たすためだけのロボット」のように育てられた加藤。

加藤は、この通り魔事件を起こす前に、何度も自身の人生をやり直そうと、彼なりに一生懸命、怒涛のように押し寄せる理不尽と闘い、人を信じ、自身と周りの人の人生を良いものにしようと頑張っています。

子供の教育に全く無関心だった父親に家族関係をやり直そうと言ってみたり、淡い夢を抱いて、なんとか前向きに生きようとしていることが伝わります。

でも、その度に加藤の淡い夢は粉々に砕かれ(父親は加藤の歩み寄りに対して「もう離婚する」と言ったそうです。)、何度も何度も人を信じては裏切られます。

そんな経験を繰り返しているうちに、人生に夢も希望も抱けなくなってしまった加藤は、ついに例の事件を起こします。


もちろん、これらが事実かどうか定かではありませんが、これを知っても「殺人を犯した加藤が悪い!」と簡単に言い切れるものでしょうか。


抽象度という考え方

「抽象度」という概念があります。思考の手法としては「チャンキング」と呼ばれたりもします。

これは考え方の方法論で、事象を俯瞰してみるためのものです。

西野という人間を一つ上から俯瞰してみると、男であり、日本人であり、父親でもあり、子供でもあります。こうやって抽象化して物事を見ていくと、いろんな物事の側面を認識することができ、圧倒的に思考の幅が広がります。

加藤の犯罪を抽象度を上げて考えてみると、そんな犯罪を犯してしまう環境で育てた母親が悪いと言えるかもしれません。

さらに、その母親を育てた親の育て方が悪い、とも言えるかもしれません。


そうやって考えていくと、結果的には、「子供をそうやって育てることが良いと母親に思わせてしまった環境が悪い」という答えに至ります。

つまり、学歴社会を作り出し、成績さえ良ければ子供の教育がしっかりとできていると認識される世間の風潮や価値観や認識。それを作り出してしまった社会構造。


それが加藤のような犯罪者と凄惨な悲劇を産んだ、と考えることができるかもしれません。

そして、それを生み出しているのは、紛れもなく「私たち」なのです。

「殺人犯が悪い!」という考えから、全く真逆の答え、「私が悪い!」と考えることもできるのです。


情報発信力を上げるために必須の概念「抽象度」

もちろん、この命題に答えはありません。

ここで私が伝えたかったことは、何事においても、物事を考える際に「抽象度を上げる」というスキルが大切ということです。


特に情報発信分野ではすごく大切です。

この前、面白い記事とは「人のパラダイムをぶち壊す記事だ」という旨の文章をコミュニティ内で書きましたが、このためには抽象度を上げることが必須です。

抽象度を上げれば、一つの事象から先ほどの例のように真逆の答えが出てくることもあります。ここに情報発信の面白さがあります。

また、この考え方ができるようになれば、もちろん普段の会話でもオリジナリティのある意見が言えるようになりますし、「テンプレ人間」から脱することができます。(もちろんテンプレ人間が悪いというわけではありませんが、オリジナリティやブランデイング、魅力としてはマイナス因子かもしれません。)

資本主義社会は人間を画一化する方向に進んで来たと思います。私ブログ記事はガシガシ書けますが、本業の方の書類作成能力が人並み以下でいつも会社で叱責を受けています(笑)。

苦手なことでもマニュアル通りに、画一化して作業をこなせる人間を大量生産することが資本主義では”効率化”や”生産性の向上”とされている風潮があります。


そんな中だからこそ、画一化されていない思考方法を身につけ、意見を述べられるだけで稀有な存在であり、注目を集めることができる可能性があります。

是非、情報発信の際に、「抽象度」という概念を考慮して文章を練ってみてはいかがでしょうか。

個人レベルでの新しい情報発信のカタチを模索しています。もし発信している情報に少しでも価値を感じたらサポートをお願いします。今後の活動資金とさせて頂きます。