見出し画像

漬ける日

 ワカサギは採りすぎてしまう、簡単だし楽しいので。
 基本的に内蔵も丸ごと食べる魚なのだが、長期保存のことを考えると丁寧に取り除きたい。しっかりと処理すれば冷凍保存で一年持つことは確認済みだ(お腹壊しても僕は責任取りません)。年明けに採った魚を忘年会で出す、なんか良いじゃないか。

 500匹ほど掬ってきたワカサギだが、その日のうちに150匹ほど消費し、残りを三人で分けたので、手元には100匹ちょっとが残っている。少し面倒な量だが、去年は700ほどやったのでそれに比べれば全然マシだ。このぐらいの量では、親指の爪の隙間が鰓で傷ついて湯船でヒリヒリするなんてこともない。

 保存する分は小分けにして冷凍し、20匹分はそのまま南蛮漬けにした。目の前に新鮮なワカサギがあって、その全てを冷凍保存に回すのはちと勿体ないのでしっかり味わおうと。
 まずは下味で塩コショウを馴染ませて、焦げ目がつかないように丁寧にサッと揚げる。どうせ漬けるので味はつくのだが、ワカサギ自体に塩味があると味がぼやけなくて良い気がする。揚げ工程のクオリティは南蛮漬けの見た目と味に大きく影響するので、油断せずに向き合うべきだ。
 揚がったら丁寧に油を切り、玉ねぎと共に漬ける。漬け汁は、たっぷりの酢と醤油、それから少しだけ砂糖と赤唐辛子を入れて、最後に水で濃度を調節する。漬け汁をがぶ飲みする料理ではないのだから、濃い目に調節するのが良いと思う。玉ねぎは、新玉ねぎが出始める時期だからそれを使うと食べやすくて良いと思うが、個人的に普通の玉ねぎのあの辛みは南蛮漬けによく合うと思っているのでこちらも捨て難い。まあこの辺りは好みの問題だ。

 一人で食費を節約した生活をしていると、どうしても魚を食べる機会は減ってしまう。琵琶湖の恵みに支えられて、定期的に魚を食べる生活を維持できている幸せ。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?