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【2019シーズン】ヤクルトスワローズ観戦記

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ヤクルト観戦記、2019年シーズンはこちらにまとめて入れていきます。(オープン戦含む) 勝った日も、負けた日も、試合のある日は毎日更新しています。
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いつだってこの瞬間が、始まりだ。【9/28巨人戦◯】

「投壊」と言われ、ものすごい防御率と、ものすごい総失点数をたたき出し、毎試合のように被安打は2桁になり、接戦をことごとく落とし、サヨナラ負けを山のように見た今季、最終戦で迎えた試合はどんな試合だったかというと。 2-1のサヨナラ勝ちであった。 まじか。 やればできるんじゃないか。(と、いうのも今季何回も言った。)私は子どもたちと飛び上がって喜んだ。ケリーがサヨナラのヒットを打った瞬間、今季のつらい試合は一瞬にして全て吹っ飛んだ。最後に帳尻を合わせてくるこの感じ(いや、冷

失った点はもう戻らないけれど 【9/25中日戦●】

残すところ、今日を入れてあと2試合。と、いう大切な日にヤクルトが見せてくれた試合はなんだったかというと。 0-12という負け試合である。 すごい。この人たちの野球は本当にブレない。 そういえば前回の中日戦も、14失点だったのである。あの日はたてさんとハタケの引退試合で、ハタケのヒットで200点を取ったので細かいことはもう忘れていたけれど、よく考えてみればしっかり14点も取られていた。14失点。結構なものである。 まあこの試合に限らず、本当に、本当に今年はよく打たれたな

神宮のスリーベースに心踊った話 【9/23巨人戦●】

この二日間で私は、なんと、計三回のスリーベースを見た。神宮で、である。スリーベースが出づらいと言われている神宮である。 もちろん、当然のことながら、スリーベースが出た瞬間私は、はいサイクルいこう!!と、叫ぶ。今日ももちろん叫んだ。なんせてっぱちは、1回裏にタイムリースリーベースを打ったのである。これはサイクルを目指すしかない。 相手は優勝が決定している常勝軍団である。CSの起用を見据えた作戦を練っている途中である。一方こちらは、最下位が決定したチームである。楽しみといえば

「さよなら」の理想みたいなそんな雨と一日に【9/22巨人戦◯】

たてさんのスピーチで名前を呼ばれたカツオさんは、涙を流した。 去りゆく人はもちろん、胸の中にいろんな思いを抱えている。だけど去ると決めたのは本人だから、ある程度清々しい気持ちもそこにはあるだろう。 だけど残された人は違う。それは否応無しにやってきたさよならで、受け止めるには時間がかかる。自分がそこに残ることへの不安を感じることもあるだろう。 本当に寂しいのは、去る人ではなく残された人なのかもしれない。 だから、残されたカツオさんが1勝をつかみ、エイオキが2本のタイムリ

「誰かを応援できた日々」を、胸にそっと抱きながら【9/21中日戦●】

たてさんは、半袖でそこに立つ。 そこからは、手術を繰り返した傷痕がのぞく。 今日もたてさんは半袖で、試合前のブルペンに立ち、投球練習をしていた。若いキャッチャーの松本くんが、その一球一球を受けていた。 コーチと、お客さんと、みんなが、それを、静かに見守っていた。 この空気は今日だけのもので、そして二度と戻ってこないのだ。 「打者を欺くことなく真っ向勝負できたことは自分の誇りです」 と、たてさんは言った。 「打者を欺く」ことも、もちろん素晴らしい投手の仕事だけれど

みわちゃんが反芻した打球と、ライアンの完投と 【9/19阪神戦◯】

セカンドの横を打球が抜けて行った時、みわちゃんはとても悔しそうな顔をした。こうしてとるんだよな、と、何度も何度も確認する仕草をした。もうすぐ、ユニフォームを脱ぐのだ。それでもみわちゃんは最後まで、野球選手として、野球をするその人生をまっとうしようとする。 二軍球場とは思えない立派な鎌ヶ谷スタジアムで、私はこれから育とうとしている若手たちと、そしてもうすぐユニフォームを脱ごうとしている人たちを眺めていた。 「終わり」なんてもしかしたら、区切りに過ぎないのかもしれない、と思う

大事なのは誰かの評価じゃなくて、自分で納得できること【9/18阪神戦●】

いつかそれは、終わるのだ。華々しい記録も、勝利の余韻も、王者の立場も、何もかも。 いつかは、記録が途切れる時が来る。いつかは、負ける時が来る。誰しもにその瞬間が待っているのであれば、大切なのはそこから這い上がることだ。 てっぱちの盗塁の記録が途切れる。ヤクルトの最下位が決まる。でも戦いは、そこで終わるわけじゃない。てっぱちはこれからも打席に立ち続けなきゃいけないし、ヤクルトは試合を続けなきゃいけない。いつだって、勝つというシンプルな目標のために。 いつだって大切なのは、

成長してゆく若手たちと、去りゆくベテランと【9/16広島戦◯】

今年、ちょうど一年前の今日の試合を、何度も何度も思い出した。 村上くんが初めてお立ち台に立った日、初めてのサヨナラホームランを打った日、二打席連続ホームランを打った日。もちろん、打っても打っても勝てなかった日も。そのたびに、この日の試合を思い出した。目の前ですっと、ライトスタンドに飛び込んできたあの弾道を。 今日、外野から眺める視線の先には、外野を守るおじさん三人がいて、さらにその向こうに、21歳の奎二くんがいて、18歳の村上くんがいた。 後ろをおじさんたちがしっかり守

田川くんの7年が、決して無駄ではなかったように【9/15広島戦◯】

どれほど「8点差なんてセーフティリードではない」とわかっていても、人間というのは愚かな生き物なので、8点を取った時点でついテンションが上がってしまう。 そうだよねカツオさんだってそうだけれども苦労人の田川くんにだってしっかり勝ちをつけてあげたいよね今日は大事な日だよね!!と、思う。 が、そういう愚かな驕りを、ヤクルトというチームはしっかりと諭してくれる。8点差?そんなものはないと思えと小学生で習いましたよね?と言わんばかりに、じわじわと点差を詰めてくださる。 8-0だっ

記録が途切れるリスクを背負ってもなお、走り続けたこと 【9/14横浜戦●】

シーズンも終盤。順位はほぼ見えている。CSの可能性はもうなくなった。試合は0-7と差が開いている(ええ…)。そんな時、あなたならなにをしますか。私は、「ネフタリ・ソト 年俸」とぐぐっていた。9500万円だそうです。コスパが良すぎる。 まあ、それは冗談ですが(ぐぐったけど)、それくらいにはもう、遠い目にもなる試合であった。 「シーズンも終盤。順位はほぼ見えている。CSの可能性はもうなくなった」という試合において、それでもなお、打ち込まれると悲しくなるこの気持ちとは一体なんな

生きている限り必ず、終わりはくるけれど【9/12阪神戦◯】

神宮での試合がしばらくないので、ファームの試合を見に行こうと、ジャイアンツ球場まで足を伸ばした。 びっきーは、そこでぐっちとにこにこしながら話していた。(あとぐっちはなぜか、タイセイくんのことを「キャプテン」と呼んでいた、たぶん。なぜ。) ああ、いいなあ。と、私は思った。それぞれの胸に、あらゆる思いを抱えているのだとしても、そこが二軍の球場だとしても、いやだからこそ、同じユニフォームを着て、こうして並んで二人で一緒にいるところを見られると、なんだかほっとする。二人が同じチ

ここまできたら総得点1位を目指していきたい【9/11阪神戦●】

677点。 今季、今日までにヤクルトが失った点数の総数である。 ちなみに他球団の失点は、9月11日現在、以下の通りである。 巨人 517点 横浜 552点 広島 553点 阪神 528点 中日 502点 これを見ると、ヤクルトの677点がいかに芸術的点数かということがわかる。 もっとも失点の少ない中日(なのか!)とは175点、ヤクルトの次に失点が多い広島(なのか!)とでも、124点の差である。すごくないですか?すごい。 一方、597点。 これは今日までの時点でヤク

塩見はしっかり前を見て、答えた。【9/10阪神戦◯】

仲睦まじいことで有名なカップルが破局する、離婚する、というニュースを見るたび、そりゃあ、外からは絶対にわからないことが二人の間にはあるよな、と、思う。 例えば、「あの二人が別れるなんてショック」とかはあんまり、思わない。他人にわからないことは、山のようにあるのだ。 小川さんとみやさまが二人で退任する、というにあたり、二人の気持ちは実際のところ、私たち他人にはさっぱりわからないのだ、と思う。もちろん、二人の関係だってわからない。(とても良いバランスだな、とは思うけれど。)

それでも小川さんとみやさまが率いてくれるヤクルトが好きだった【9/7巨人戦●】

CS出場の可能性が消滅したこの試合(残ってたのかよ!という話ではあるが)、一夜明けるといろんな人の去就が発表になっていた。 ある程度覚悟していたことかもしれない。もちろん、仕方がないことかもしれない。「情」で球団運営ができるわけでもない。そういう世界ではない。 それはわかりきった上でなお、人の感情というのは複雑だ。 寂しさややるせなさは、理性で抑えられるものではない。 監督とヘッドコーチが辞任を発表するきっかけとなった試合は、6-10で負けるという、今年のヤクルトの象