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「ピンチ」を「チャンス」と鼓舞して乗り越えて 【5/12巨人戦○】

この世にセーフティーリードなんていうものはないし、絶好調の坂本は手をつけられないし、巨人の丸はとにかく歩きまくる。私たちはいつもこの真実と共に生きている。

それにしても丸はもうすっかり「巨人の丸」だ。物事というのは、このように流れてゆくものなのだ。FA劇場にどれだけ大騒ぎしたとしても、時がたてばそれはそこにただある当たり前のものとして、存在するようになる。

それならばその「変化した形」をいつもいつどきも受け入れて生きていかなければならないわけだけれど、だからと言ってヤクルトの開幕スタメンで残っているのは雄平と村上くんだけというこの状況はあまりにも変化しすぎている。

「下町スワローズ」の時も、そこまでの衝撃はなかった気がする。あのときだって、ぐっちとてっぱちとココちゃんはいたのだ。かみさまなんて信じちゃいないけれども、さすがにおいおい神はヤクルトを見放したのか、という気にもなってくる。

でも、その中でヤクルトたちは、しっかり戦った。そしてなんと二勝をもぎ取った。いよいよ大型連敗なのか、と諦めていた私の気持ちを吹き飛ばした。

タイムリースリーベースを打ったこーたろーは、三塁上で河田さんとグータッチをした。二人は松山や浦添で、遅くまでずっと一緒に守備練習をしていた。夕暮れの松山に、河田さんの「コータロー!!!」と叫ぶ声が響いていた。こーたろーは必死にボールを追っていた。あれから少し時間はかかってしまったけど、今、こーたろーは一軍のグラウンドで、河田さんと「再会」した。あの日の猛練習が、ここに繋がっていると思うと、なんだかこみ上げてくるものがあった。

私は、誰かの離脱に対して「チャンス」という言葉を使うことが、いつも引っかかっていた。誰かの痛みを「チャンス」と表現してしまっていいのか、と。

でも、ここまでの事態になって初めてわかった。「チャンス」という言葉は、危機を乗り越えるために、何かや誰かを鼓舞するために使う言葉なのだ、と。チームの危機を、絶望だと捉えないために。自分には無理だと萎縮しないために。

「チャンス」と鼓舞し、若手たちが躍動する。離脱したメンバーだって、士気が下がり、暗くなったムードのチームに戻るよりも、傷だらけでも、なんとか必死に、「チャンスなんだ」と前を向いて戦うチームに戻る方が、ずっと良いだろうと思う。「自分がいなくても大丈夫だ」と安心できる組織が、本当は健全な組織なのだ。それは、会社でも同じだ。

もちろん、それは簡単なことじゃない。どれだけ若手たちが練習を積んだとはいえ、これはいくらなんでも緊急事態だ。スターたちの穴は大きすぎる。スガノから連続ホームランを放ったエイオキ・てっぱち・ココは誰もいない。だけど、そんな状況に立ち向かうためには「チャンス」だと鼓舞していく他になにもない。

昨年、どれだけ連敗していた日々も、エイオキは「チームの雰囲気は悪くない」と言い続けた。広島にひどい逆転サヨナラ負けした日も、てっぱちは「苦手意識はない」と言った。それならば主力を欠きまくるこの状況だって「チャンスだ」と口にして乗り越えていくしかない。

たくましく走り回るケリーや、こーたろーや、村上くんや、宮本くんを見ながら、チャンスをつかんで大きくなあれ、と心から思う。そしてそういう弟分を一人で引っ張る雄平を見ながら、お願い怪我しないで弟たちのことをよろしくお願いします、と思う。この時期を乗り越えたらきっと、チームも個人も、少し強くなっていくと思うから。



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