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それは「春の夜の夢」かもしれないけれど 【4/10 広島戦○】

なんというかまあ、本当に、よくわからない試合をたまに(たまに?)見せるチームである。わけがわからない。というのが正直な気持ちだ。

いつもこういう試合は、「つらい側」の気持ちを滔々と書いていた。ぐっちのサインボールを手に持ち、その重みを確かめていた。野球というのはもちろん、勝つチームがあり負けるチームがあるわけだけれど、マツダでのこのカードにおいて「勝つ側」にいたのは去年二回だけだったのだ。そりゃ慣れっこない。

だからつい、マツダに座り、10回表の流れを手を合わせながら祈るように見るカープファンに感情移入してしまった。いやいつもやられてるわけだから思いはせている場合ではないのだけれど、いつもやられてるからこそその気持ちが痛いほどにわかってしまう。わかるよって言われたって嫌だろうけれどもわかるよ・・・と、私はテレビの前の知らないその人につい、心の中で話しかけた。

何事にも、裏と表がある。勝負の世界には勝者と敗者がいるわけだ。そしてそれはひとところにはとどまらない。諸行無常諸法無我、すべてのものは移り変わる。

奢れる人も久からず、ただ春の夜の夢のごとし。
猛き者も遂にはほろびぬ、偏に風の前の塵におなじ。

去年、謎に勝ち越しまくった交流戦で初めて(!)二連敗した時、平家物語の冒頭を思い出していた。そう、あれは忘れもしない「9回表、一死二、三塁からゴロゴー失敗のゲッツー」というわけのわからない形で試合終了となった日ハム戦だ。

だからマツダで2連勝したからって、奢っちゃあいけない。それは、春の夜の夢なのだ。(なんせ交流戦首位の後、ヤクルトはまた8連敗をして最下位になったのだ)

だけどまあ、苦しい思いもたくさんしたわけだから、今日くらいは、静かにそっとこの一勝に浸りながら、日本酒を飲みたい。今日だけは少しかみしめていたい。悪いことは、そう長くは続かない、というそれは、とても大切な真実だ。

「スワローズの打者は粘り強いですねえ」と、解説が言う。目の前でノーノーを見た私は、粘り強い。。のか・・?と、思いながら画面をじっと見つめる。だけど必死で食らいついているヤクルトたちを見ていると、そうだよなあ、こういうのを粘り強い、というのかもしれないな、と思う。

去年、ほっとくとすぐに5連敗だの8連敗だのしていたけれど(今年だってまたするんだろうなと私は思っているわけだけれど)、その時もエイオキは「チームの雰囲気は決して悪くない」と言い続けた。そして、どれだけ広島に負け続けても、てっぱちは「苦手意識はない」と言った。本当にそうなのかはわからない。だけど、エイオキやてっぱちがそう口にすることが大切なんだ、と私は思っていた。それがいつか、本当に一勝につながっていくはずだ、と。

そこで心折れずに戦い続けたことは、もしかすると「粘り強さ」につながっていったのかもしれない。私の心はすっかり折れていたけれど、50回くらいは二度とヤクルトの試合は見ないと言ったけれど、それでも選手は「くらいついて」いたし、ファンだってもちろん、見放すことはなかった。それが、この二勝につながっていったのかもしれないな、と。

良い時も悪い時も変わらず応援していく、というのはこういうことだよな、と思う。いつまでも「今」が続くわけじゃ決してない。また信じられないくらい辛い試合がマツダで待っているかもしれない。(それは早速やってくるかもしれない。)でも、まあ変わらず、たまにため息をつきながら、できれば先発に勝ちがつくイニングでそれをやっていただけませんかねと思いながら、ここでそっと応援していこうと思う。

それは春の夜の夢だったとしても、儚いからこそ夢は美しいのだ。


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