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二軍の球場で走るぐっちが、それが終わりでないことを教えてくれる 【5/10巨人戦⚫️】

(※写真はぐっちでなくみわちゃんです)

まあつまり、だ。今日の試合から私たちが学ぶべきことは何か。

それは「だからいつも言ってるけど20点取らなきゃいけない」である。逆に言えば20点取ればいいのだ。ただそれだけのことだ。いたってシンプルな話だ。

20点さえあれば、フライデーにも金曜日にもドームにも坂本にも丸にもあと誰だ誰に打たれたっけもう忘れたけどとにかくどんな相手にも負けない。わかりますか?・・・私にはわからないけど。だいたい何が「逆に言えば」なのかもよく分からない。

そういったわけで、今日の試合の記憶がもうすっかりない。ないのだけれど、渡邉くんは、世界で一番キュートなホームランを放った。それだけは覚えている。それだけは実在している。この世にあんなにキュートなホームランがあるだろうか。

浦添での練習試合で、9回に渡邉くんは逆転満塁ホームランを放った。確か3点差で負けていた試合だった気がする。また9回!と、思いながらにこにこビールを飲んだ。希望だらけじゃないか、と、私は思った。その時のことを、鮮明に思い出した。全てのものは、何かにつながっているのかもしれない。

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ついこの間、神宮のえらく長い負け試合で寒さに震えていたのが嘘のように、浦和球場の気温は高く日差しは強かった。

みわちゃんとあきおの声が、球場に響く。いや、あれは声というか叫びだ。もはやなんて言っているのかもさっぱりわからないけれど、二人はとにかくやかましく叫んでいた。お客さんは思わず笑っていた。

あいみょんが流れ、目の前を東北新幹線が走ってゆくこの球場は、なかなかに天国だな、とわたしは思う。しかもいるのだ。ぐっちが。

ずっと姿を見ていなかったぐっちは、それでも意外なほど、そこにとても馴染んでいた。神宮でも、戸田でも、浦和でも、ぐっちはとても楽しそうに野球をする。それは、いつもの、光景だ。どこにいても変わらない、見慣れた光景だ。

当たり前の景色が、目の前にある、それがただただうれしい。それが本当は当たり前でないことを、痛いほどに知ったから、だからこそ。

マウンドを降りる久保君は、悔しそうに、申し訳なさそうに、あとを任せる屋宜くんに頭を下げた。チャンスでゲッツーだった松本友くんは、歯を食いしばった。

若手たちのその悔しさは、きっと何かにつながっていくのだ。今日の渡邉くんの、ホームランのように。

ベンチのぐっちは、ハタケのとなりでにこにこ話していた。あの日の悔しさと、歯がゆさと、悲しみと、少しの絶望と。でもそれが、終わりではないことを、二軍の球場で走り回るぐっちが、教えてくれた気がした。

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怪我をして離脱をしても、ノーノーされても、サヨナラ負けをしても、そんなことはあるわけないとは思うけれども19点取られても、96敗したとしても、それはそこで終わりなわけじゃない。明日も明後日も来年も、試合はやってくる。

その試合で、死球で離脱したいけめんのベテランが、スリーベースを打つかもしれない。入団以来ヒットのなかったかわいい4年目が、プロ初ヒットでホームランを放つかもしれない。いつかの悔しさは、全部なにかにつながってゆくのだ。 

そんなわけでドームで野球はなかった気はするけれども、頭の片隅に残る悔しさをばねにしながら、明日から20点取ってほしいと思います。野球は20点を取った方が勝つスポーツなのだ。…たぶん。



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