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負けてもやっぱり、野球は楽しいのだ(何回目だこのセリフ!)【6/16西武戦⚫️】

「西武球場前駅」に電車が着こうとした時、むすめが「まま!どーむみたいなやねがみえる!あれかなあ!」と言った。

「いやいや、駅から結構歩くってグーグルマップに出てるから、それはまた別の建物だと思うよー」と答えながら私は荷物を整理した。

ところが駅から出た瞬間、目の前に、ドームは現れた。まじか。さすが堤帝国である。毎日毎日、神宮までの銀杏並木をせっせと歩く身としては「改札出たらすぐ球場」感に心底驚いた。(ところでなんでグーグルマップは駅から徒歩17分って出たのだろう…堤帝国の演出か…?)

思ったより早く着いたけれど、なんせ改札出たらすぐ球場なわけで、駅前で様々なお店や催しが出ていた。私は早速琥珀エビスの生ビールを飲み、むすめは「らいおんさんのとらんぽりん」(無料!)で飛び跳ねた。堤帝国、快適である。

交流戦は、その名の通り「交流」だ。普段なかなか行くことのないパ・リーグの球場へ行き、グルメを楽しみ、新鮮な応援に触れ、そして容赦ない山賊の洗礼を受ける。

・・かくして、ヤクルトはすっかり山賊打線につかまった。いや、もはや山賊打線に飲み込まれ自らエラーをすることで山賊たちに得点を献上した。たぶんそうでもしないともっとやられると恐れたのだろう。だって山賊なのだから。牽制球が塁審に当たり、一塁走者が三塁まで進むのを目の前で見ながら、私はそっとビールを飲んだ。メラドのオサレピザやさんのクラフトビール、いちごが入ったやつがめちゃくちゃおいしい。クラフトビールは裏切らない。

後のことはもうよく覚えていない。むすめが「つぶつぶあいすと、らいおんさんのわたあめ、どっちにしようかなあ・・・らいおんさんのわたあめかっちゃったら、やくるとまけるかな?」と気にしていたので、「買っても買わなくてもヤクルトは負けるからどっちでも大丈夫だよ」と答えたことしか覚えていない。でも結局むすめはつぶつぶアイスを買った。私に似ずなかなか律儀なのだ。

8回、私は冷え切った心を温めるため、シメのお茶漬けを食べることにする。狭山茶のお茶漬けが心に染み入る。球場にお茶漬けがある理由を、私は深く理解する。

ところがお茶漬けを食べていたら、ヤクルトはまた、また9回に、頑張ることにした。

「西武戦なかなか打てないな、このまま調子を落としてしまうのだろうか、まあまだ二年目の19歳だ、今までが頼りすぎだったんだ致し方ない」とかこちらが勝手に思っていた村上くんは、「安打が出ていなかったので一打席一打席、集中して打席に入ろうと思っていた。何が悪いのか考えながら打席に入った」と振り返る18号ツーランを放った。

もう何度も目の前で見た(見せていただいた)それは、いつだって、こちらの暗い気持ちを打ち破るような、ものすごい軌道を描いてスタンドに吸い込まれてゆく。

あの1本を見ていると、なんというか「あの時こうしていればな」や「あのエラーがなければな」といったような思いがすっと消えていく。いやそりゃもちろん、無死満塁のチャンスを潰し、1試合でエラーを3つし、ノーヒットで3失点、みたいなことをしていちゃ勝てない。そりゃあ、勝てない。だけど、村上くんの1本は、なんといか「まあもうそんな細かいことは気にするな!!」という気持ちにさせてくれる。(・・・いや、まあ、細かくないけどノーヒットで3失点は・・)

それは、きっと明日、いや来年か、もしかしたらもっとその先の、何かにつながっていくのだろうと思う。

もちろん、悲しいし悔しい。悲しいし悔しいからこそ、紡げば希望につながるような何かを、たぶん必死で探しているのだ。でもそれは、今を生きる上でとても大切なことだ。人生だって、負けることの連続なのだから。

今日もヤクルトは負けたわけだけれど、おいしいごはんや、9回の希望や、かっこいいライオンさんや、「改札出たらすぐ球場」感や、あたたかな西武ファンの方たちとの「交流」だってあった。

そうだよな、負けても、野球は楽しいんだよな、と、少しまた思い出した、そんな初めてのメラドでした。交流戦は楽しいな。

・・・だけど次はエラーなしでしっかり勝てますように!



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