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平成最後の神宮で、「強敵」たちにたくましく挑んだチームを見届けて 【4/29広島戦○】

かみさまも、ほとけさまもろくに信じてないのに、わたしはそこで、石山に祈る。声も届かないけれど、ただ、手を合わせて祈る。この祈りが、どこにつながるかもわからないのに。でも、私にはそれしかできないのだ。ここでできることは、それだけだから。

ランナーを二人背負い、迎えたバティスタに、石山は真っ向から勝負し、空振り三振を奪う。いつの間にか握りしめていた両手が緩む。ああ勝ったんだな、と私は思う。ここで、広島に、勝ち越したのだ。

パラパラと、小雨が降り出した。「もしあかるかったら、にじがみえるかもしれないのにね!」とむすめが言う。明るければ見えるというものでもない気がするけれども、むすめにはたぶん、いつだったか負けたオープン戦の日に神宮にかかった虹がたぶんとても、印象的だったのだろう。

神宮にはいつも、いろんな景色がある。勝っても負けても、そこには何かしらの彩りがある。それを目にするたび私は、ここにいられてよかったなと思う。

それが例えば、大雨の中ボロまけした広島との試合でも、石山が打たれて逆転された広島との試合でも。暑い中毎日通って3タテされた広島との試合でも。

そんな一つ一つの積み重ねがあって、そして、いつか、石山が二日連続でしっかり抑えてくれる、そういう試合につながっていく。

先制されても、逆転した途端にまた追いつかれても、そしてまた逆転されても、それでもそのままずるずると相手に流れを引き渡さなかった。いつもなら、ずるずると引き渡したその流れが二度と戻らないまま、いつの間にか負けていたのに。

流れが向こうにいったきりなのかと思っている中、エラーをしたばかりの19歳村上くんは同点のホームランを放つ。そして、「いつの間にかそこにいる荒木」は、勝ち越しのタイムリーを打つ。ぐっちがいない中、ぐっちがファーストを守るずっと前から内野も外野も守り続けた荒木が、しっかりチームを支えてくれる。みんなみんなたくましくて、私はつい、HUBのビタージントニックを飲みすぎる。(おいしい。)

どこにもかしこにも負けていた去年の連敗中、それでもエイオキは「チームは悪い雰囲気ではない」と言い切った。いつもいつも広島相手に負けている中、てっぱちは「苦手意識はない」と言った。そうやって口に出し続けることで、チームは何かとしっかり向き合い続け、乗り越えていった。

もちろんまた大型連敗がやってきたり、広島にコテンパンにやられたり、「もう見ない」と口にする日だってやってくるだろう。良いことも、悪いことも、なんだっていつまでも続くわけじゃない。五十嵐さんが打たれたり、石山が打たれたり、エイオキが打てなかったり、てっぱちが不調に陥ったり、そういうことはいつだってまたやってくる。

でもそのたびに、「大丈夫」と言い続けて、また乗り越えていってくれるのかもしれないな、と少し思う。こちらの小さな不安を打ち砕くような、そんな試合をまた見せてくれるのかもしれない、と。まあ、そう思わされているところがすっかり騙されているということでありそうでもしないとヤクルトのファンなんてきっとやっていけないんだろうけど。

平成最後の神宮で、ずっと苦手にしていた「強敵」に、次々と挑んでいったヤクルトたちがとてもとてもたくましかった。4月の神宮は毎日まだまだ寒かったけど、ひたむきに戦い続けたチームと、そのチームに声援を送り続けたファンを、ここに座って見続けることができて良かった。

月が変わろうと、元号が変わろうと、いつも変わらず次の試合がまたやってくる。変わらず私は、そっとここで応援していこうと思います。勝つ日も、負ける日も。



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