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その1点は重いプレッシャーにもなるけれど【7/9横浜戦●】

去年、宮古島で見ていた広島戦で、初回に4点の援護点をもらったじゅりが、ベンチの中で、えらく不安げな顔をして座っていた。

宮古島のきれいなビーチを目の前に、いやなんでやねん!と、私はつっこんだ。4点ももらったんやん!自信持って投げればいいやん!と、私は海に向かって叫んだ。どちら方面が神宮かはわからないけれども、とりあえず海の向こうに神宮はあるのだろう。

でも今、この時のじゅりの気持ちがなんとなく、わかる気がする。ピッチャーにとって援護点というのは、もちろん心強いものであると同時に、とんでもないプレッシャーがかかるものでもあるのだ、きっと。

「守るべきもの」ができた時、人は臆病になる。子どもが生まれてから、私は学生の頃のような無茶な旅はもちろんできなくなった。そりゃあそうだ、「守るべきもの」とはそういうものだ。

その1点や2点の、こちらに多く寄せられた点数は、ピッチャーにきっと重くのしかかる。クローザーの仕事が難しいのは、その重さゆえなのだろう。

点をとった後すぐにまた追いつかれると、見ている方もガックリとくる。きっと打った選手たちもガックリくる。それはその失点の数より多くの失意を生み出してしまうかもしれない。

でもそれほどまでに、その1点は大きいのだ。その1点を守ることさえできれば、その試合に勝つことができる。だけどその難しさを知るからこそ、その1点は重いプレッシャーとしてのしかかる。

ライアンは今日、そのプレッシャーに打ち勝つことができなかった。何度も、勝ち越し直後に追いつかれてしまった。向こうへ行った流れはそのまま、こちらには戻ってこなかった。

1点の重みは、そのまま満塁ホームランにすらつながるのだ。いやよく覚えてないけど、その時のことは。(しかし横浜にはよく打たれますね、満塁ホームラン。)だからこそ、その1点に、ピッチャーは想像以上のプレッシャーを感じるのかもしれない。

それでもあの日、その不安な顔をのぞかせたじゅりは、三連敗中の、しかも前2戦で広島にぼろぼろにされたチームを勝利に導いた。

「いい投球してるなと思った途端走者を出し、そしてそこからあれよあれよと崩れてゆく」、あの頃のはらじゅりの面影はなかったそうだ。(しかし「いい投球してるなと思った途端走者を出し、そしてそこからあれよあれよと崩れてゆく」なんてどこかのチームのピッチャーみたいだな。)

あの頃のじゅりがつかんだものが何だったのか、今日のライアンに、そして今のうめちゃんに掴みきれないものは何なのか、その具体的な形はわからない。でもそれはいつだって、勝ちと負けの間にある、そしてうまくいく日と行かない日の間にあるような、薄い薄い膜のような何かなのだろうなと思う。何かのきっかけでプレッシャーに勝つ強さを身につけて、またうまくいく日が積み重なっていきますように。1点の重みに、どうか押しつぶされませんように。あとじゅりはどこにいるのですかね早く戻ってきますように(まじで)。


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