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成長してゆく若手たちと、去りゆくベテランと【9/16広島戦◯】

今年、ちょうど一年前の今日の試合を、何度も何度も思い出した。

村上くんが初めてお立ち台に立った日、初めてのサヨナラホームランを打った日、二打席連続ホームランを打った日。もちろん、打っても打っても勝てなかった日も。そのたびに、この日の試合を思い出した。目の前ですっと、ライトスタンドに飛び込んできたあの弾道を。

今日、外野から眺める視線の先には、外野を守るおじさん三人がいて、さらにその向こうに、21歳の奎二くんがいて、18歳の村上くんがいた。

後ろをおじさんたちがしっかり守ってくれてるから、思う存分プレーすればいいよ、と、私は思う。神宮には、とても涼しい秋の風が吹き抜けていった。この景色を見ていられるのは、もうあと数年だ。

ちょうど一年が過ぎた。

一年後の今日、あの日と同じようにけいじくんが先発で、村上くんが内野を守っていた。

今日、この二人の後ろを守っていたのは、雄平と、こーたろーと、そして中山くんだった。

あっという間に、その景色は変わってゆく。今日、試合を作ってくれたのも、点をとりまくってくれたのも、若手たちだった。

あの日、3ランを浴び、4失点で負け投手になったけいじくんは、今日6回途中3失点で、しっかりと試合を作り、勝ち投手になった。

プロ初打席で初ホームランを放った村上くんは、今日34号と35号のホームランを2本も放った。

そしてたいしはなぜか(なぜか)今日も同点ホームランを放った。なぜ9月になって急に打ち始めるたいしは!アピールが遅いよ!と、言いながら私はずっとにやにやが止まらなかった。

それでも、私はその中で何度も、ベテランの事を考えてしまう。

このチームを好きになった時、自分と歳の近い選手たちが、輝きまくっているところに惹かれた部分はあったと思う。ぐっちも、びっきーも、みわちゃんも、雄平も、とにかく同年代のおじさんたちがまだ現役で走り回る姿に励まされた部分は、やっぱり大きかった。

だけど一年で、チームは大きく姿を変えた。

確実に、時間は流れてゆく。世代は移り変わっていく。私がそこで立ち止まろうとも、進もうとも、変わりなく。

もっともっと、早くこのチームを、そして野球を好きになっていればもしかしたら、今見る景色も少し違って見えたかもしれない。私が「若手」たちと同じような年齢から、ずっと見続けていれば、何か違う感情を抱いていたかもしれない。もっともっとたくさんの姿を見ることができたかもしれない。

でも私が好きになった時、それは私と同年代の選手たちが、ユニフォームを脱ごうとする、そのタイミングだった。

同年代のみわちゃんを、武内パイセンを、寺原を、見守る時間はあまりに短かった。でもそれでも、たくさんのぐっとくる瞬間を、誰もが見せてくれた。その短い時間にでも、いやたぶん、短い時間だからこそ。

仕事で毎日タクシー帰りをしていたあの日々に、たぶん野球が入り込む隙はなかった。私がこのタイミングで好きになったことにも、きっと意味はあるのだ。

私はこの先、自分よりもずっと若い選手たちの成長を、そして、いつか子どもたちと同じ歳の選手たちが出てくるのを、目にしていくのだろう。それはきっと、また新しい楽しみになってきてくれると思う。

それでも今は少しだけ、去りゆくベテランたちと、そして、私と同じように「同年代が現役を去ってゆく」のを目の当たりにしながらそれでも、まだ頑張ろうとするベテランたちを応援していたい。

あと、もう少しだけ。


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