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その離脱の経験だって、糧にして 【7/8横浜戦◯】

神宮へ向かう電車の中で、なおみちがいる打順を、子ども達と予想しまくった。

なおみちを1番にしても面白いかもしれないし何なら2番でもいいしもちろん6番とか7番とかでもいい。なんといっても、なおみちがショートに入ってたいしと一緒に内野を守ることだってできるわけで夢が広がりまくる。

なおみちが一人いることでこんなに可能性が広がるよどうするよ!!と、私たちははしゃぎまくっていた。それはあの、希望だらけのオフのワクワク感に似ていた。

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プロ野球という厳しい世界に身を置く選手たちにとって、一番辛いのはもしかすると、試合に出られない、バットを持つことすらできない時間なのかもしれない。自分がいるはずの試合を、テレビの前で見ることなのかもしれない。

自分がいない間に、期待の若手がどんどん出てくる。ホームランを量産し、時には守備でファインプレーを見せる。その間自分は、バットを握ることすらできない。それは、何よりもつらくて、そして怖いことかもしれない。

でも、誰にだってきっとそういう時間は訪れる。尋常ではないトレーニングをこなし、身体を酷使する。そこには必ず、怪我のリスクがつきまとう。死球を受けることも当然ある。「離脱」は誰しもに起こりうることだ。強制的に休まなきゃいけない場面が、出てくることがどうしてもある。

プロ野球選手の仕事は、試合に出て野球をすることだ。そして日々の目標は「勝つ」というシンプルな一つだけだ。それができなくなった時、自分の存在意義にまで思いはめぐってしまうかもしれない。

隣には、大切な家族がいる。チームの人たちがテレビの向こうで野球をする中、自分は家にいる。ふがいなさのようなものも、きっと感じてしまう。

だけど、そうしてもがいた時間だって、長い目で見た時にとても、大切なものになってくるのだろうな、と、私は思う。

人生に「無駄」なことはきっと何もない。「無駄」と思えた時間ですら、後から振り返った時に「あの時があったからだな」と思えてくる。

試合に出られなかった日、ファームにすらいられなかった日、テレビで自分の所属するチームの試合を見た日、もちろん打てない日、エラーした日、敗戦の責任を負う日。そしてそれが長く長く続いた時間。

でもその時間を経て、個人にも、そしてチームにも、得るものがきっとある。

なおみちがいない間、ヤクルトはとてもつらい時期が続いた。16連敗だってした。エラーもたくさんあった。でも、その中でもたくさんもがいて、若手たちは少しずつ成長してきた。なんとかしよう、と、きっとみんなが必死に思った。そしてなおみちもそれを見ながらきっと感じるものがあった。そして昨日の復帰戦で、なおみちはしっかりヒットを放った。

なおみちとたいしの並ぶ三遊間を見ながら、なおみちが離脱してからのチームと、そしてそのチームの成長を改めて思った。時間は否応なく進んで行く。誰かが抜けることも、戻ってくることもある。その間もずっと、チームも個人も、きっと少しずつ形を変えながら、成長してゆくのだ。

痛みはきっと、誰かを成長させる。それを信じて、まだまだ続くこの夏を、楽しんでいけたらいいなと思う。ぐっちが神宮に帰ってくるのも、待ちたいなと思う。




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