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趣味悠々

やはり限界に達したので、スーパーで安く売られていた「お徳用ラーメン」を買ってきて、そのままぼりぼり食べている。この「お徳用ラーメン」は、チキンラーメンに似た商品で、麺にそのままお湯をかけて食べるタイプの即席麺だ。チキンラーメンの三分の一ぐらいの大きさのものが全部で16食入っている。

昔からチキンラーメンをそのままぼりぼり食べるのが好きでたまらない。限界に達するたびにスーパーで5個入りのものを買ってきては一晩で空にしてしまう。当然そんな食べ方をしたら塩分のとりすぎだし、胃腸にもダメージを与える。しかしそうでなくては意味がない。過剰な刺激を身体に与えることでストレスを発散させているからだ。脳をしょっぱさで埋め尽くしたいのである。

むろんストレスが発散されるのは食べている間だけだ。むしろストレスの発散が新たなストレスの呼び水となる。「チキンラーメンのばりばり食い」をした晩は、喉の乾きで目を覚ます。水をごくごく飲むから尿意を催し再度目を覚める。何度も目が覚めるから、眠りの質は当然低下する。眠りの質が低下すれば胃腸に与えられたダメージも回復されないままだ。つまり翌日の体調は最低である。

人が限界に達したときにすぐに取り組まねばならないのは、睡眠時間の確保と食生活の改善である。毎日8時間近く寝て、毎食腹八分目で済まし、糖質よりもタンパク質を摂るようにし、急激に血糖値を上げないように気をつける。これが実践できていたときの調子の良さを思い出さねばなるまい。心も体も快調だったときのことを。それに比べて今は絶不調だ。

最近は顔がふっくらしてきてお腹も出てきた。食欲がおかしなことになっている。血糖値の乱高下に心が振り回されている感じがする。お腹が減ればイライラし、お腹が満たされると今度は気が滅入ってくる。その繰り返しだ。心の調子を整えるためにはそろそろダイエットに着手せねばなるまい。けれども食べることぐらいしか楽しみがないから難しい。

猛烈におでんが食べたくなったから、冷蔵庫で眠っていた金沢ヤマト醤油の「いしるだし」を使って作ってみたところ、あまりの美味しさに落涙した。「いしるだし」はその名の通り、イワシやイカの魚醤を使った出汁だ。魚醤よりもマイルドで使いやすい。和風パスタを作るのにハマっていたときに、飯田橋の三浦屋でこれを買った。

具は大根、こんにゃく、厚揚げ、ちくわ、いか巻というセレクションだ。オイスターソースを使った時点で美味しくなるのは約束されていたとはいえ、自分の手でこれほど美味しいおでんが作れたことに感動した。自分のために自分で料理するのは楽しい。誰とも比較しないし、誰にも比較されないから優劣もなければ、勝ち負けもない。自分が満足できるかどうかだけがもっぱらの問題だ。このような自己完結した趣味を持てて良かったと思っている。

2024年に自己満足という言葉は揶揄として機能していないと思われる。自分で自分を満足させることがいかに難しいのかに気がついた人が多いからだろうか。「自己承認欲求」と呼ばれる実体のないものに振り回されて右往左往することに疲弊したという一因もあるに違いない。一昔前なら自己満足として嘲笑の的になっていたような行いも今はセルフケアとして見直されているような気がする。

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