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新・オーディオ入門76 音源編 ホームシアター

『オーディオはよくわからないけど良い音で音楽を聴きたい』、『オーディオ歴は長いけどこれは知らなかった!』というお話を聴くことがあります。 新オーディオ入門はオーディオの基礎についてエンジニアの視点から初心者の方にも判りやすく解説していくものです。 タイトルは私が10代の時に愛読した『オーディオ入門』から拝借しました。 私がオーディオに携わることになったきっかけの本です。 とても判りやすく説明されていて、手元に置いて辞書のように使っていました。 『新・オーディオ入門』はその現代版となれるよう書き進めたいと思います。

 自宅で映画を楽しむ設備をホームシアターと言います。 ホームシアターは音楽のみを楽しむピュア・オーディオとは 少し異なった再生方法と音質をもつシステムです。 ここではホームシアター特有のオーディオ・サラウンドについてご紹介します。

 本来のホームシアターは巨大画面で映画を鑑賞するシステムを指します。 海外でもそういった意味で使われていますが、 日本ではモニターの大小よりもサラウンドが重視されたシステムと 考えられている方が多いようです。 サラウンドとは視聴者を囲むように設置された 複数のスピーカーで音を再生する音響システムで、 その歴史は古く1970年頃からSQステレオやCD -4といった方式が 開発されては消えていきました。

 現在でも残っている5.1chはそのひとつで、 米国ドルビー社が映画用に開発した音響システムをスケールダウンしたものです。 5.1chは6つのスピーカーを使用します。 オーディオと同じ主となる左右2本のスピーカーに加えて、 主に人の声が再生されるセンタースピーカー、 後方からの効果音を再生する2つのリアスピーカー、 そして、低域を再生するサブウーハーです。 最近5.1chは2つの理由で流行らなくなっています。 ひとつは音響機器のクオリティーが向上したことです。 スピーカーやパワーアンプのクオリティーが向上し 位相や音場を正確に再生する事ができるようになってきました。 左右2チャンネルのスピーカーだけで十分な広がりや奥行感を感じることができます。 もうひとつの理由は安いスピーカーを6台使うくらいならば、 左右2台の性能の良い高級スピーカーに集約した方が高音質・・・ということです。

 今ホームシアターは過渡期です。 ホームシアターでは映像と音響が交互にバランスをとりながら開発されていきます。 今後4Kの映像がYouTubeやサブスクで一般的になり、 60インチを超える大画面モニターが安価に出回るようになれば それに見合う音響システムが必要とされ開発されていくでしょう。 3年後が楽しみな分野です。

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