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新・オーディオ入門56 パワーアンプ編 パワーアンプの出力段に使用する真空管の種類

『オーディオはよくわからないけど良い音で音楽を聴きたい』、『オーディオ歴は長いけどこれは知らなかった!』というお話を聴くことがあります。 新オーディオ入門はオーディオの基礎についてエンジニアの視点から初心者の方にも判りやすく解説していくものです。 タイトルは私が10代の時に愛読した『オーディオ入門』から拝借しました。 私がオーディオに携わることになったきっかけの本です。 とても判りやすく説明されていて、手元に置いて辞書のように使っていました。 『新・オーディオ入門』はその現代版となれるよう書き進めたいと思います。

真空管パワーアンプは『3極管シングルアンプ』や『ビーム管プッシュプルアンプ』のように呼ばれます。これは最終段に使用されている真空管の種類を指しています。それぞれの真空管の特徴は以下の通りです。

● 3極管
古典管と呼ばれる1930年までに設計されたものが多く、主にシングルで使用されます。小出力です。 近年では復刻されたものもありますが、当時の状態の良いものもも復刻されたものもいずれも高価です。構造が単純で外部からフィラメントの光が良く見えます。本来、単純なシングルアンプ用として設計れた真空管ですので、自作派にも人気です。その音質に人気があるというよりは、希少性や懐古趣味、見た目の派手さといった要素が大きいのではないでしょうか。海外では古典的な3極管を使用し現代のオーディオシステムに適応するアンプも販売されていますが、同程度の性能のアンプを半導体アンプの10倍以上の価格です。

● 4極管・5極管
多極管とも呼ばれ、AB級プッシュププルアンプとして多数の真空管をパラレル(並列接続)とし、NFBをしっかりかけて使うと、現代の半導体アンプに匹敵するアンプにもなり得ます。反面、そこまでするなら、半導体アンプを使用すれば良いという意見も。小出力の多極管アンプは安価で、とにかく真空管アンプを使ってみたいということであれば・・・というアンプです。

● ビーム管
多極管にビーム構成電極が追加された構造で、真空管としは最も進んだ真空管です。大出力、低インピーダンスの真空管アンプが実現可能です。真空管アンプとしは最もおすすめできますが、それでもコスパは半導体アンプよりかなり悪くなります。 現在でも趣味としてのオーディオでは真空管アンプが使用されることもありますが、音楽を高音質かつ、出来るだけ低コストで楽しみたい場合には、真空管アンプの優先順位は低いと言わざるを得ません。