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新・オーディオ入門61 電子パーツ編 積層コンデンサー

『オーディオはよくわからないけど良い音で音楽を聴きたい』、『オーディオ歴は長いけどこれは知らなかった!』というお話を聴くことがあります。 新オーディオ入門はオーディオの基礎についてエンジニアの視点から初心者の方にも判りやすく解説していくものです。 タイトルは私が10代の時に愛読した『オーディオ入門』から拝借しました。 私がオーディオに携わることになったきっかけの本です。 とても判りやすく説明されていて、手元に置いて辞書のように使っていました。 『新・オーディオ入門』はその現代版となれるよう書き進めたいと思います。

積層コンデンサーという種類のコンデンサーがあります。 これはセラミックコンデンサーやフイルムコンデンサーのような素材や方式による分類ではありません。セラミックコンデンサーにもフイルムコンデンサーにも積層コンデンサーは存在します。 積層コンデンサーとは構造上の分類です。

一般にコンデンサーとは2枚の平行した金属板を電極とする電子部品です。金属板の面積が大きいほど、金属板間の距離が狭いほどそのコンデンサーは大容量になります。 そのため大容量のフイルムコンデンサーやセラミックコンデンサーはボディサイズが大きくなってしまいます。 そこで面積の大きな金属板を小さくカットし何枚も地層のように重ねていくことで小型で大容量を実現したのが積層コンデンサーです。 一般的な100v耐圧0.1マイクロファラッド程度のセラミックコンデンサーは1センチ程の大きさになりますが積層セラミックコンデンサーでは10倍の容量の1マイクロファラッドのものがわずか4mm程度。 スマホやノートパソコンに使用されているチップ型のコンデンサーはその多くが積層コンデンサーです。

積層コンデンサーはスペースファクターが良いだけでなく、フイルムコンデンサーでは電極がコイル状に巻かれませんのでインダクタンス分がほとんどなく高周波域でのインピーダンスの上昇がありません。 この状態は理論上のコンデンサーの特性に近い理想的なコンデンサーとして動作していると言えます。

また、コンデンサーが小型化できるとそこに受ける電磁ノイズ(いわゆる電波ノイズ)の影響も小さくすることができます。コンデンサーに限らず電子部品や配線材は電磁波を受信するアンテナとして動作します。 アンテナは大きいほど受信感度が上がり、電磁波をたくさん受信することができます。フォノイコライザーアンプのように微小信号を取り扱う回路では僅かなノイズであっても音質が大幅に劣化する可能性があります。 できるだけ小さなパーツを使用して小さく作り上げることでローノイズのフォノイコライザーアンプになります。