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新・オーディオ入門15 大口径ウーハーが絶滅危惧種になった理由

最近は大口径38cmウーハーを搭載したスピーカーシステムは少なく、小口径ばかりです。その理由を考えてみましょう。

≪現代はスピーカーの能率はそこそこでOK≫
大口径スピーカーは能率が100dB以上と高く、1~10w程度のアンプで十分再生可能です。 小出力だった真空管アンプ時代には重要な要素ですが、現在のアンプは出力50w以上が標準。 スピーカーの能率は90dBもあればよく、大口径の高能率スピーカーにこだわる必要はありません。

≪大口径ウーハーは繊細な音場感を再生するのが苦手≫
最近は横幅が狭いトールボーイ型が主流。これは繊細な音場を再生するために有利な形状だからです。 スピーカーから発せられた音の大半は直接耳に届きますが、一部はスピーカーの表板(バッフル板)で反射され遅れて耳に入ります。 反射音が多いほど正確な音場の再生が困難になります。また、セッティングの難易度が高いことも問題です。

≪現代ではもはや大口径ウーハーは必要ない!?≫
現代のウーハーは振動板やマグネットに新素材が使われています。 振動板はコーン紙とも言い、嘗ては紙が使われていました。大音量で再生すると紙が変形して音が歪みますので、振幅が小さい大口径小振幅のスピーカーが主流でした。 現在は小口径大振幅のウーハーが主流。これはコーン紙がアルミやチタンといった金属やケプラー等の新脂素材になったためで、超低歪です。 また、スピーカーに欠かせないマグネットには、これまでフェライトマグネットが使用されていました。 一部の高級機には磁力が2倍程もある高価なアルニコマグネットが採用されていましたが、 現代では磁力が8倍もあるネオジウムマグネットが開発されています。 これらの新素材で小口径ウーハーは嘗ての大口径ウーハー以上のクオリティになりました。

とはいうもの、大口径ウーハーの奏でるおおらかな音には代えがたい魅力があるのも事実。 セカンドシステムとしてブルックナー専用に・・・というのはオーディオファンの夢でもあります。