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新・オーディオ入門78 音源編 カセットテープ

『オーディオはよくわからないけど良い音で音楽を聴きたい』、『オーディオ歴は長いけどこれは知らなかった!』というお話を聴くことがあります。 新オーディオ入門はオーディオの基礎についてエンジニアの視点から初心者の方にも判りやすく解説していくものです。 タイトルは私が10代の時に愛読した『オーディオ入門』から拝借しました。 私がオーディオに携わることになったきっかけの本です。 とても判りやすく説明されていて、手元に置いて辞書のように使っていました。 『新・オーディオ入門』はその現代版となれるよう書き進めたいと思います。

アナログレコードについでカセットテープが復活しています。メジャーなミュージシャンがミュージックテープを発売したり、 海外では新製品のカセットデッキが発売されたといったニュースを耳にします。昭和レトロブームの一角をなしているという側面もありますが、オーディオファンにとっては録音可能な唯一のアナログメディアとして残ってほしいと思われている方が多いようです。カセットテープが復活することができた背景には、語学学習用や途上国で使用するために生カセットテープの生産が細々続いていたことや、一部の業務用の用途でカセットプレーヤーの需要が続いたためテープヘッド等のカセットテープでしか使用されない電子パーツが現在でも生産されていることが考えられます。また、老舗のティアックとその業務用ブランドであるタスカムがカセットデッキの存続に積極的だったことも大きくプラスに働いたと思います。  

復活したカセットデッキは80年代のカセットテープの全盛期とは少し異なる点もあるようです。

高品位なオーディオ用カセットテープ

当時はノーマルテープ、クロムテープに加えてメタルテープが脚光を浴びていました。高い周波数まで録音が可能でテープヒス(ノイズ)が少ない高音質のテープでしたが、復活したカットデッキではメタルテープを使用できるデッキは少なく、使用できても再生のみです。

また、当時はテープヒスを抑えるためにノイズリダクションという仕組みがありました。ドルビー社が開発したものが有名でtype Aは業務用、type Bは広くカセットデッキに搭載され、type C はさらに高性能なノイズリダクションとして一部のカセットデッキに使用されていました。復活したテープデッキでは概ねtype Bのみになっています。

テープデッキの現代的な特徴としてUSBデジタルアウト端子の搭載があります。カセットテープの音をデジタルファイルとしてパソコンに落とし込む機能です。長期間カセットテープを保存することは転写(巻き上げられたテープに音が移ってしまう現象)の問題があるため思い出のテープをデジタルアーカイブする方も多いようです。

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