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新・オーディオ入門27 パワーアンプの出力はどのくらい必要?

『オーディオはよくわからないけど良い音で音楽を聴きたい』、『オーディオ歴は長いけどこれは知らなかった!』というお話を聴くことがあります。 新オーディオ入門はオーディオの基礎について初心者の方にも判りやすく解説していくものです。 タイトルは私が10代の時に愛読した『オーディオ入門』から拝借しました。 私がオーディオに携わることになったきっかけの本です。 とても判りやすく説明されていて、手元に置いて辞書のように使っていました。 『新・オーディオ入門』はその現代版となれるよう書き進めたいと思います。


 オーディオシステムにおいてスピーカーと共に重要な位置にあるのはパワーアンプ。 どこのメーカーのパワーアンプでも、高価なものでも、リーズナブルなものでも一応音はでます。 しかし、高性能なスピーカーがその性能を発揮するためには相性の良いパワーアンプの存在が不可欠です。 その指標のひとつとなるのが出力電力(いわゆるパワー)です。 パワーに関する考え方は色々で、1ワットの真空管パワーアンプで十分という方もあれば、500ワットのパワーアンプでないと・・・という方も。

 実はパワーアンプの出力は最適値を計算することができるのです。 計算には、スピーカーの能率、スピーカーとリスナーとの距離、再生時の音量のデーターが必要になります。 スピーカーの能率はカタログに掲載されており、最近のスピーカーでは90dB/w/mくらいのものが多いでしょう。 再生時の音量はBGMとしてであれば60~70dB。大音量で楽しむ方であれば80~90dBです。 仮に、スピーカーの能率を90dB/w/m、リスナーとスピーカーの距離を3m、80dBので聴く事とすると、 リスナーの位置での音圧80dBを確保するためには、リスナーとスピーカーの距離が3mですのでスピーカーの位置では100dBの音量である必要があります。 能率90dB/w/mのスピーカーであれば3ワットのパワーが入力されている状態です。 この3ワットというのは音楽の平均値ですのでフォルテシモの部分の最大値はその10倍の30ワット程度は必要です。 ということでパワーアンプは30ワット以上のものであれば100ワットでも500ワットでもパワー不足にはなりませんが、パワーアンプには『おいしい領域』が存在します。 パワーアンプの定格出力に対して1/10以下になるような領域での使用はノイズや歪が多くお勧めできません。 定格出力を超えてしまうと歪が発生します。そのため定格出力に対して30%~100%で使用するのが理想的です。 これを加味すると30~100ワットくらいのパワーアンプを選べば良いことが判ります。

 この値を基本に適正値を計算すると、リスナーとの距離が4.5mであれば60~200ワットは必要ですし、BGM程度の音量で楽しむのであれば10~30ワットもあればOKです。