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舞台好き女子大生がロンドンの小劇場で働いてみた Day2


ロンドンの小劇場でのお仕事記録、2日目。

今日は千穐楽。
昼・夜の2公演後に、全員参加の片付け・搬出作業があります。

昼公演出勤。
昼公演のボランティアは私を含めて2人で、もう1人は40代くらいの男性。
後々聞いたところによると、普段は俳優さんをしていて、家が近いから時々劇場のお手伝いをしているそう。
すっごくフレンドリーに話しかけてくれました。
その後その方が general manager さんと、近況報告をし始めたんですね、内容があまりにもプライベートだし、すっごい仲良さげだし、私は参加すべきなのだろうか、そもそもこの方はどういう人なのか (俳優さんが本業、みたいのを聞く前だったので)、困惑していました。
というかもうただただ、男性のコミュ力の高さに見入っていました。笑

劇場各所を軽くお掃除した後、チケット作成作業。
今日のお客様リストを見ながら、紙チケットの裏側に名前を記入します。
備考欄にご招待の方や変更差額を支払ってもらわなきゃいけない方等の情報が書いてあるので、それらも教えてもらって確認しました。
「昨日ボックスオフィスやったときに英語の名字に馴染みがなさすぎて聞き取るのが大変で…」って話したら「それでも満席公演やり遂げたじゃん!」って言ってくれました。優しい。涙

準備して、開場。今日も満席で、今日も私はボックスオフィス。
開場してからお客様が来るまでに結構時間があり、客席入り口にいる ボランティアの男性とお話ししてました。
日本とロンドンの舞台業界の違い、採用基準の違い、私が何でこの placement に応募したのか、何を目指しているのか、等。

お客様が来始めてからは、昨日と同じく必死に名前を聞き取り、チケットを渡し、プログラムを売りました。
昨日よりは各フレーズがスムーズに出てくるようになった気が。

今日のお昼公演は観て良いよと言われていたので、開演直前にお仕事を代わってもらい、客席へ。
自由席で、ステージの両サイドに客席があるスタイルなのですが、1列目しか空きがなく、ちゃっかり良席で観劇させてもらいました^^

UKプレミアの4人によるストレートプレイ。70分くらい。
ストレートプレイは小劇場の方が活きると思うので、ストプレならではの良さを満喫できました。切なくも温かい、心に響いてくるお話でした。

終演後、お見送り。
外出するキャストさんと帰るお客様が鉢合わせて、面識ないであろうに、「すごい良かったよ〜」「ありがとうございます〜」(※英語なので敬語なし) と会話しながら出口に向かう。なんとフランクな世界。

夜公演はシフトに入っていないですが、その後の片付け・搬出作業に参加するので、ご飯を買ってきて劇場の事務所で大学の課題をして待つことに。
問題が発生したのはここです。
夜公演に出勤して来た volunteer とインターン生の同年代くらいの3人、みんなネイティブ、会話のテンポがとーーーっても早い。早過ぎる。
5時に出勤して2時間くらい雑談して準備なのですが (何故5時出勤…?) 、あっという間に会話に置いていかれ、途中参加の仕方もわからん。
相槌の打ち方やタイミングを始めとする、会話のスタイルがそもそも日本語と全然違う。今までは他国からの留学生との関わりが主だった私、ネイティブ複数人の会話に入るのはハードルが高過ぎる。帰りたい。
ちなみにここまで会った劇場関係者はみんなネイティブです。私はなぜ受かったのでしょうか

そんな訳で心砕け散ったのですが、開場中、みんなが出払って私1人が事務所にいる時に、良いことが。
何度かお見掛けしたことのあるスタッフさんが、事務所併設のキッチンに小道具の飲食物を準備しに来たんです。
この方はきっと stage manager さんだ、お話ししてみようかな、話しかけなきゃ後悔するよな、頑張れ自分、話しかけよう。
案の定 stage manager さんでした。お仕事内容を伺い、私の興味ある業務や将来の希望を伝えました。すると、「あなたみたいな人にぴったりなカンパニーがあるよ、人手が足りてないらしいから良ければ紹介するよ」と。
直前のネイティブ複数人撃沈事件でかなり凹んでいましたが、1対1の会話なら全然話せるという気付きと、思いもよらぬご縁があったことで、ちょっとHP回復。話しかけてみるもんだなあ。

終演後、他のボランティアメンバーも集まり、劇場関係者総出で片付け・搬出。流れもわからない上に馴染みのない英単語が爆速で飛び交う。
何とかついて行かなければ!と、ペインティングチームに入りました。舞台の壁を、白から黒に塗り替えるお仕事。
初めましてのボランティアメンバーが沢山だったのですが、また複数人のグループで会話する状況になると入れないのが確実なので、ペンキを塗りながら1人ずつ順番に話しかけました。
やっぱり1対1なら話せる。1人ずつ話しかけた子たちとはそれぞれ結構仲良くなれました、安心。
完成した壁の前でペインティングメンバー4人で写真を撮って、劇場の Instagram にアップしました。

作業終了。事務所に集まっていた関係者さんたちとちょっとお話をして (流れに沿って軽くリアクションするだけです、発言は無理です) 、1人のボランティアの子と途中まで一緒に帰宅。

長〜〜い1日終了。心身ともに擦り減った、疲れた。


感じたのは、「言いたいことを伝える」英語力と、「他愛もない会話をだらだらする」英語力は別物であること。今までのスピーキングの勉強で前者はある程度できるけど、自分には後者が圧倒的に足りていないこと。
複数人のネイティブの会話にはついていけない。だから、1対1で話せる時に頑張って話しかける。1人ずつ仲良くなる。1対1で話するとみんな優しいんです。昨日の note でこっちの人は他者を気にしないって書いたけど、まさにそれ。会話に入れない子がいてもわざわざ巻き込みはしないけど、別にその子との関係が気まずくなったりもしない。

あとは、自分のことで精一杯になりがちでも、今ここにいる意味を忘れない。このお仕事を始めたのは、ロンドンの舞台業界を関係者の立場から学びたかったから。英語力諸々の壁があることを覚悟の上で、今後の自分のキャリアに繋がる経験をしたかったから。
だから、気後れせず、今日の stage manager さんみたいに、関係者の人にも積極的に話しかける。今自分がすべきこと、今後どんなステップを踏むべきか、教えを乞う。その中で、きっと今日のようなご縁もあるはず。


まだ決して居心地の良い環境ではないけど、一歩成長。
帰国する頃には愛おしい居場所となっていますように。
現場からは以上です。

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