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Low Cost but HighEnd Sound Systemの構築~その4 (USB-DAC、プリアンプの)オペアンプの選定

オペアンプ選定にあたって

高音質感を得るには、
 ①透明感
 ②解像度
 ③キレ
 ④広帯域感
を高める必要がありますが、これだけではHighEnd  Soundには近づきません。重要な要素は、
 ⑤音場感(位相特性)
 ⑥微小信号から大きな信号までのリニアリティ
⑥の要素は音楽の表現力に直接影響します。
オペアンプの選定には、
いろいろな音源で確認しましたが、⑥の評価にあたっては、
ジャズボーカル、ポップスボーカル等で部妙な表現が
どこまで再現できるかを評価しました。

オペアンプの比較

MUSES03、OPA627等はまだ入手可能ですが廃番となっており、
リストから外し、現行製造のオペアンプの中からリストアップしています。
プリアンプTUBE-00Jにオペアンプを載せ替えて音質評価しました。
本シリーズの記事で記載した自作パワーアンプを使用し、10cmフルレンジ使用のスピーカー+スーパーツィーターS-STW201にて試聴しました。
スーパーツィーターS-STW201の使用にて、特に⑥の評価がはっきりと判別できるようになります。
以下では、先の①~⑥を主観で10段階表現しています。

NE5532

基準となるオペアンプとしました。
バイポーラトランジスタ入力、2回路入り
透明感:5
解像度:5
キレ:5
広帯域感:5
音場感:5
リニアリティ:5

MUSE8820

低価格・高音質なので最初に交換するには最適なオペアンプです。
バイポーラトランジスタ入力、2回路入り
透明感:7
解像度:7
キレ:7
広帯域感:7
音場感:6
リニアリティ:7

MUSE02

MUSE8820の高音質バージョン、かなり高価です。
バイポーラトランジスタ入力、2回路入り
透明感:10
解像度:10
キレ:10
広帯域感:9
音場感:8
リニアリティ:9

LME49720NA(LM4572から型番名が変更となった)

比較的低価格ながら諸特性は今でも最高レベルです。モニター的な音色。
音質的には、MUSE8820の方が良いと思います。
バイポーラトランジスタ入力、2回路入り
透明感:5
解像度:7
キレ:7
広帯域感:7
音場感:6
リニアリティ:6

LME49860MAX

データーシートからはLME49720の電源電圧を上げたもののように思えますが、音質的にはかなり向上しています。モニター的な音色ですが、素直な音で、リニアリティの良さは特筆ものです。
バイポーラトランジスタ入力、2回路入り
SOICパッケージなのでDIP化パッケージ品を購入する必要があります。
透明感:9
解像度:9
キレ:8
広帯域感:10
音場感:8
リニアリティ:10

OPA827

孤高のオペアンプといわれたOPA627から低コスト化を行ったオペアンプ。
厚い低音のOPA627に対しフラットな周波数特性。バランス以外は音質的にはOPA627と同等。
FET入力、1回路入り
SOICパッケージなので2回路・DIP化パッケージ品を購入する必要があります。
透明感:10
解像度:10
キレ:10
広帯域感:10
音場感:9
リニアリティ:9

その他のオペアンプ

他に注目した方が良さそうなオペアンプには以下のものがありますが、使う場所を選ぶ必要がありそうで、今回のリストからは外しました。
OPA1656 FET入力、2回路 / OPA1655 OPA1656の1回路版
OPA1622 バイポーラトランジスタ入力 2回路

オペアンプ選定

評価結果から、音質面でオペアンプを主観的に区分すると
Sクラス
 MUSES02、OPA827、LME49860MAX
Aクラス
 MUSES8820、LME49720
Bクラス
 NE5532
といったところです。Sクラスの中からコスト面も含めて選定します。

FX-04J+(USB-DAC)の場合

初段の差動入力のオペアンプには、FET入力のオペアンプが良いと考え、
 OPA827
を採用。
後段のフィルタ用オペアンプには、バイポーラトランジスタ入力のオペアンプが良いと考え、更にコスト面とリニアリティを評価し、
 LME49860MAX
を採用。
経済的に余裕がある方は、LME49860MAXをMUSES02に変更すると良いでしょう。

TUBE-00J(プリアンプ)の場合

初段オペアンプは、フィードバックループに可変抵抗器を挿入しボリューム機能を実現するために使われています。かなり特殊な使い方なので、より安定的に使えそうなバイポーラトランジスタ入力の
 LME49860MAX
を採用。リニアリティの良さも決めてで、好みの音質になったので決めました。
好みにもよりますが、キレの良さ、分解能、透明感を優先させる場合は、OPA827にした方が良いでしょう。試聴時は、OPA827でも普通に使えていたので安定面ではあまり問題ない気がします。

次回は、ケーブルについて述べようと思います。

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