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ジストニアかも?という人の対策

この記事は拙著『演奏不安・ジストニアよ、さようなら 音楽家のための神経学』の補足、深堀りです。

※ジストニアの治療法については次回に挙げています。
この回は、"ジストニアかもしれない方”向けです。

同じ動きを繰り返さない

思うように弾けないとき、無意識のうちに力んだ動きをしてしまいます。
自分ではわかりませんが、動きにくい状態です。
力んだ動きを繰り返すことで、その動きを身に付けてしまいます。

ある動きがきっかけとなって、特定の筋の反応を誘発するようになる。
こうして、脳で動きの神経回路ができて運動パターンを作ってしまい、トリガーの動きによって同じ症状を起こしてしまいます。

ちゃんと音を出せるようにと、繰り返すことで、運動パターンを強化してしまいます。
動きを固定化してしまい、ジストニアになってしまいます。

のんびりする

がんばらなくていい
何度やっても思うように弾けないときには、がんばらないことです。
きちんと弾けるように、がんばって練習しなくちゃ、と考えてしまいます。
しかし、がんばりすぎて、ジストニアになってしまうのです。

あるいは、腱や腱鞘、筋肉に負担がかかり、炎症を起こすと痛みが出て、腱炎、腱鞘炎、テニス肘になることもあります。
何度やっても、思うように音が出せない、うまく動かせなくなり、スランプに陥ることもあります。
自覚しないうちに力が入った動きをしている、ということです。

楽器から離れよう

練習することがベストとは言えないときがあります。
思うように弾けないと、不安を感じたり自己不審になります。
不安や不審を抱えていると、心身ともにかたくなり、練習にはよくない状態です。

思うように音が出せないなら、がむしゃらに練習しない。
ジストニアかもしれない気がするなら、がんばらないことです。
負担がかかる部位をたくさん練習して、結果としてジストニアになる訳ですから。

意図的な動き方の改善はしない

演奏しやすくなるとは、意識しなくても動くようになることです。
動きを意識しないで弾くとき、音を出す自然な動きが身に付きます。音への動きの神経回路ができて、弾く動き方が身につきます。

フォームを変えたり、楽器に熱心に取り組んだり、無理に動かそうとしないほうがいい。(注;リハビリについては次回)
意識して動かすと、力が入り手をかたくし、自然ないい動きから遠ざかります。

無理に動かそうとしないことが大事です。力づくで動かそうとすると、余計な力が入ってしまいます。
指を巻き込まないように、伸展させる筋肉に力が入り、代償性の反応(反対方向への過度な筋緊張など)を起こすようになってしまいます。

強迫的な思いや練習のやり方は、ジストニアを招きます。「何としてでも動けるように」「さっさと改善したい」という焦りが、リラックスを遠ざけ力みを生みます。

私たちは自分がわかる部分に目を向けがちですが、すぐに目に見えるような、わかるような変化を求めないことが大事です。
運動は、いい動きもよくない動きも、意識しない運動の神経回路から起きています。脳の運動パターンから命令されて、筋肉は反応することを理解する必要があります。

楽しむ

自分はジストニアかもしれないと思い悩むよりは、忘れることです。
自分に何らかの心理的精神的な負担があるということなので、安心し癒やされる必要があります。

遊びに行きましょう
ジストニアかもしれないという不安や恐怖を持たない、精神的負担を増やさないことが大事です。

音楽家は最近、パンデミックによる感染の不安、活動の制限、経済的不安、家族や親しい人の心配や会えない寂しさなど、大きな精神的負担を抱えています。
また、ロシアによる武力侵攻などネガティブなニュースも、気を重くします。精神的な負担を軽くする必要があります。

近場に遊びに行く。好きな映画を見たり、本を読む。
美味しいものを食べ、友人と他愛のないおしゃべりや、ファッションを楽しむ。etc
自分の好きなこと、楽しいと思えることをやっちゃってください。

「自分はジストニアなのか?と思ったら」も参照♪

体をいたわる

体をリラックスさせましょう。
ストレッチをして、体からノビノビしてください。
しっかり寝ると体調はもちろん、気分もよくなります。

新堂浩子 HP;https://www.music-body.com/
『演奏不安・ジストニアよ、さようなら 音楽家のための神経学』
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