名曲420 「恋する凡人」【スピッツ】

ーーロックンロールの微熱の中をーー

【spitz 恋する凡人】

 スピッツの全盛期はいつかと問われると、人によっては「今」と答える人が多いだろう。しかしである、明確に売上として全盛期といえたのは90年代だ。ロビンソンやチェリー、空も飛べるはずの3大ミリオンは後世に語り継がれるレベルの神曲として君臨している。

 そこからの売上は下降線にあるといえる。しかし、冒頭の「今」と答えた人はその目線で物事を見ていないのである。

 こちら2つの動画はライブ映像。どうだろう、CD音源とほとんど変わらない歌声なのは驚きではないだろうか。むしろ超えているといってもいい。

{恋する凡人試されてる 狂った星の上 やり方なんて習ってない 自分で考える}

 今回紹介する曲は2010年に発表された「恋する凡人」。『とげまる』のアルバム曲としておなじみだ。正直、なぜシングルにしないのかと死ぬほど疑問に思ったのを覚えている。疾走感はスピッツ界トップクラスだ。

{「変わりたい」何度思ったか 妄想だけではなく}

{今走るんだどしゃぶりの中を 明日が見えなくなっても 君のために何でもやる 意味なんてどうにでもなる 力ではもう止められない}

 サビは何とも言えない秀逸さ。歌詞もうまい。頑張っている凡人の姿にはほんの少し哀愁がある。

{消えたフリした炎でも 火種は小さく残ってた 君みたいな良い匂いの人に 生まれて初めて出会って}

 2番も好きな歌詞だが割愛。ここでしゃがむのがうまい。プスプスと燃えくすぶっている魂に、火をつけた。

{今走るんだどしゃぶりの中を 明日が見えなくなっても 君のために何でもやる 意味なんてどうにでもなる 力ではもう止められない}

 けたたましく鳴り響くドラム。心臓が鼓動する。

{走るんだどしゃぶりの中を ロックンロールの微熱の中を 定まってる道などなく 雑草を踏みしめて行く これ以上は歌詞にできない}

 衝撃のラスト。最後の最後でドカーンとひと工夫入れてみせた。

 改めてこの曲は後期スピッツの傑作だと感じる。個人的スピッツランキングでは3位か2位。2010年の曲ながら、なんと若々しくストーリーもくっきりしていることか。それこそ、90年代の曲に近いのである。

 つまり、全盛期などという言葉はスピッツに存在しない。おそらくはほとんどの歌手にもいえるのだろう。昔ヒットしたあの歌手も、全盛期を過ぎてからとんでもない神曲を披露しているかもしれない。要は追い続ける、一生好きでいることが大事なのだ。

       【今日の名歌詞】

これ以上は歌詞にできない




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