迷曲1 「うっせぇわ」【Ado】

ーーはあーうっせぇうっせぇうっせぇわーー

【【Ado】うっせぇわ】

 最近大流行のこの曲。中毒性はピカイチで、その分野だけなら名曲入りしてもおかしくないのだがどうもこの曲は取り上げられなかった。そこで今回から不定期で訳ありの名曲(迷曲)を取り上げていく。

{正しさとは愚かさとは それが何か見みせつけてやる}

 出だしからパンクロック感のある感じ。

{ちっちゃな頃から優等生 気づいたら大人になっていた ナイフの様な思考回路 持ち合わせる訳わけもなく}

 ちっちゃな頃から悪ガキで~とチェッカーズを思わせるが、そんなギザギザハートの要素も見せていく。

{でも遊び足りない何か足たりない 困っちまうこれは誰かのせい あてもなくただ混乱するエイデイ}

{それもそっか 最新の流行は当然の把握 経済の動向も通勤時チェック 純情な精神で入社しワーク 社会人じゃ当然のルールです}

 うーむどこか自分にも刺さるような歌詞。現代の若者が抱えている悩みやストレス。そして

{はぁ?うっせぇうっせぇうっせぇわ あなたが思うより健康です 一切合切凡庸な あなたじゃ分からないかもね 嗚呼よく似合う その可もなく不可もないメロディー うっせぇうっせぇうっせぇわ 頭の出来が違うので問題はナシ}

 大爆発のサビである。真っ黒な心の闇をこれでもかとぶちまけている。「あなたが思うより健康です」が個人的に秀逸と思う。メンヘラさんはけっこうこんな感じ。全体的に心に抱える皮肉をストレートに表現している。

 アングラの世界であればカリスマ的存在になっていただろうこの曲。しかし問題は有名になり過ぎたことだった。これほど尖った歌詞と歌い方にしてしまうと不快になる人も出てくる。いや、受け入れられるほうが心に闇を抱えているのではないかとも。

 よく現代の若者の心を代弁しているとの評を見るが、ちょっと待ってくれ。現代の若者(ギリギリ)から言わせていただきたい。さすがに闇が深すぎる。

 この曲はまず、全体的に汚い日本語を使っており、ひねくれた姿勢でいるので倫理的、かつ教育上よくない。平気で街中やテレビで流れる現代を、20年後の人間が見たらどう思うかは明白だ。東京オリンピックほどではないがそこそこ叩かれているに違いない。過去の古い曲を見てみてもここまでひどい歌詞はない。

 一周回ってフォークが受け入れられる世の中になるのは嬉しいが、それにしてもこの曲は、申し訳ないが「下品」のレッテルを張らないといけない。曲を使って恨みやストレスを発散するのであれば、それ相応のクオリティと上品なものに仕上げないといけなかった。

 時代が時代なら発禁でもおかしくなかったが、表現の自由が認められた現代でこそ生きているという意味で、長い目で見れば受け入れられるかもしれない。そんな実験的要素を兼ね備えている。「迷」が「名」になる日もいつかくるかも。

          【今日の迷歌詞】

私が俗に言う天才です

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