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名曲194 「あぁ、いいな!」【W(ダブルユー)】[ドラえもん]

ーー芸術度が高過ぎる、味わい深いつんくの傑作ーー

【あぁ いいな(PV)】

 旧ドラえもんの最後のエンディング曲が何か覚えている方はいるだろうか。そう、今回取り上げるナマズの歌である。旧どころではなくドラえもんシリーズ最後のエンディング曲となっている。

 当時はこれが最後かと批判の声もあった。それまでの曲調と大きく異なり、確かにドラえもんの世界観にそぐわないサイケじみた曲と映像なのである。しかし、よくよく聴いてみるとこの曲は芸術度が高かったのだ。是非とも当時の先入観を忘れて聴いてほしい。

{曲がり角 曲がったなら お金もちに なれたなら いいな~}

 このセンス。いかにも女子高生みたいな感性である。若者に理屈めいた行動や思考はいらない。こういった突発的な発想と言葉が急に出てくるものなのだ。作詞はつんく♂である。

{満員電車で いつも見かける あこがれのあの人 あの人}

 ここは辛うじてロマンスが読み取れる。しかし

{カレーの匂いがするわ 帰りの道の出来事 ああ また明日会えるといいな いいな AH あこがれの人 なまずはうろこがな~い}

 思わずズッコケたくなるような、ロマンを消失させるカレーの登場。そう、目に見えたものや匂いをそのまま感性のままに言葉に出しているわけである。コロコロと感情や情景が変化していくのだ。

{エレベータ 扉開けば お城とかに なってたら いいな~}

 こういう非現実的な願いをするのもいい。そして2番のサビが秀逸だった。

{でっかいパフェを食べました 相当 幸せ 感じた ああ あの人とデートしたいな したいな~ AH あこがれのデート}

 「でっかい」「相当」にすこぶる味が染み込んでいる。これ以上ない日本語の選び方だ。どちらも若い女の子っぽいではないか。「相当」の歌い方も「そーとー」と発していてうまい。そしてそのままデートを望むのも、相当な幸せを感じたからこそ本心で思わず出ちゃったのだろう。つんく♂は若者の女子に憑依しているといって過言ではない存在である。

 Wは辻希美と加護亜依のふたりからなるユニット。どこかこの曲はボカロっぽい抑揚のない歌い方だが、部分的にそれがマッチしていて歌唱力の高さすら感じさせる。当時は大人気だった。

 いろいろ批判があったとはいえ、ドラえもんの曲としてでなく、いちアイドルの曲と捉えるとなかなかいい。再評価を望みたい。ところで、なんでナマズなんだろう。

          【今日の名歌詞】

でっかいパフェを食べました 相当 幸せ 感じた ああ あの人とデートしたいな したいな~ AH あこがれのデート


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