名曲310 「Moonlight Blue」【水田わさび/大原めぐみ/木村昴/関智一】[ドラえもん]

ーー新ドラの隠れた名曲を、この十五夜にーー

【《小夜曲》moonlight blue ドラえもん | 日繁中字】

 大山のぶ代版のドラえもんをこよなく愛する私だが、もちろん水田わさび版が嫌いなわけではない。普通に見ていますとも。映画の月面はめちゃくちゃ面白かったなあ。

 今回は水田版で生まれた隠れた名曲を。ミュージカル風の作りが印象的な「Moonlight Blue」である。私はたまたまこの曲をリアルタイムで耳にしていた。ストーリーは省くが、ドラえもん、のび太、ジャイアン、スネ夫が4人でおもてなしをするかのようにムーディーな曲を歌う。ほほうと思ったものである。

 話の雰囲気を味わいたい方はこちらの動画を。声だけだが話の内容が少しわかるかもしれない。サムネがなんで猫耳なのかは、片思いのドラえもんを想像してみてほしい。そして、最後の会話まで聞いていただけたら~と手をすり合わせております。

 さて曲を。これは数あるドラえもんシリーズの中でも屈指の名曲と断定する。神曲といって差し支えない。クオリティが異常に高いのは、曲そのものの構成のほかに歌い手が素晴らしいのだ。さすが声優である。

 まずはのび太。お前誰だと言わんばかりに、美声を発する。元々はのび太も音痴の設定なのだがそんなことはお構いなし。めちゃくちゃ声がいいし、「大原めぐみ」でなく「のび太」で歌っているのも好印象。

 続いてジャイアン。ジャイアンが歌下手なのはおなじみだろう。だから微妙に音を外す演出をされているのだが、木村昴さん、あなた腕を上げましたね。絶妙なヘタウマである。デビュー間もないころはずいぶん心配しましたけれども。「ジャイアン」の低音を「ボボン、ボボン、ボボン、ワワーワー」がなければこの曲は成り立たない。

 そしてスネ夫だ。実はここがいちばん難しい。実際に歌ってみてわかったのだが、スネ夫パートはえぐい。これは訓練が必要だと思った。関智一の実力が光る。高音とコミカルを兼ね備え、ジャイアンのように音も外さないといけない。「ミャーオ」のアクセントも秀逸だ。

 ドラえもんはどこいったのかと言われそうだが、いちばん簡単なので省略。とはいえ「優しさを〜巡り会う」のハイトーンは出る人でないと歌えない。声を出すのも力が必要だが、イキイキと歌えないとドラえもんでは通じない。

 4人で歌うラストの大サビは拍手喝采。それぞれがちゃんと声とキャラを殺さずにまとめ上げた。

 この曲はリアルタイムで出会ってからしばらく探し回ったものである。録画するんだったとも思った。それほどの衝撃だった。新ドラも舐めてはいけない。時代は動いている。

 今夜は十五夜。6日連続で月に関する曲を選んでみたがいかがだっただろうか。それではサヨナラの代わりにセレナーデ。

       【今日の名歌詞】

月のカタチが変わっても 満ちた気持ちは変わらないから 空と海もどこかで出会えるさ




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