名曲390 「原宿物語」【薬師寺容子】

ーー原宿駅の発車メロディーになってほしい、美しいメロディーの名曲ーー

【【HD画質】薬師寺容子 原宿物語(1991年1月26日)】

 アイドル業界というと、華やかさよりドロドロしたものを思い浮かべてしまう私はリアリストなのか、単に偏見持ちなだけなのか。

 薬師寺容子はこの曲を知るまでまったく知らなかった。1990年代前半に本格的に表舞台に立ったのだが、ヒット曲には恵まれず、現在も活動停止状態にある。調べてみたところ、結婚されて子宝にも恵まれたようだ。

 アイドルとしての主演作は『もうひとつの原宿物語』。今回紹介する曲はその主題歌である。主演の自身が歌いあげた。

 さて、特筆すべきことは以上である。……おいおい全然情報がない。皆さんもぜひ「原宿物語」と検索してほしい。歌詞はおろか、『monogatari』というまったく別のアイドルグループが出てくるほど(どうやら元々原宿物語という名前だったようだが改名されたようだ)。この曲に関する情報はほとんど皆無である。

 典型的な時代の狭間に埋もれてしまった曲といっていいだろう。もう5年前ならどうだったか。90年に入ってからこういった落ち着いた曲より米米CLUBやプリンセスプリンセスのような曲が流行していたように推測する。

 では曲自体の完成度はどうなのかというと、個人的にかなり高く感じている。メロディーの美しさは正直そんじょそこらの曲より遥かに上である。サビ前からサビにかけてのタメは抜群。サビも歌いやすいまさにアイドル曲そのもの。ん、もちろん当時のアイドル曲ですが。

 1990年ごろはトレンディドラマがブームで、ドラマ主題歌が軒並み大ヒットを飛ばしていた。この曲もドラマで売り出していれば一定の評価を得ていたのではないかと。つくづく惜しい。映画主題歌でもいいが、肝心の映画が売れないと厳しいからだ。

 これだけの名曲なのに実際はほとんど売れなかったようである。そうして薬師寺容子自身もフェードアウトしていった。この曲が売れていれば歌手活動ももっと長く続いていたかもしれない。

 こんなに初々しくてきれいなのに。埋もれてしまったのは悲しい限りである。この映像もそうだが、冒頭に貼った動画でも緊張気味に歌う姿が見られる。どちらもかなりいいのでぜひ。

       【今日の名歌詞】

原宿物語 どうして人は憧れてそして傷つくの 失恋物語



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