名曲369 「ぼくらのバロム1」【水木一郎/コロムビアゆりかご会】[超人バロム1]

ーーふたりがひとりの斬新ヒーロー。しかしある事情で短期打ち切りにーー

【ぼくらのバロム・1】 水木一郎、コロムビアゆりかご会】

 今回は昭和特撮ヒーローから紹介。ある意味で有名になってしまった超人バロム1だ。その主題歌は特撮界最高峰と感じている。

 歌詞の{ふたりがひとり バロローム}とあるように、バロム1はふたりの人間が変身してひとりの超人となる。知能担当の健太郎、力担当のたけしが力を合わせていくストーリーだ。たいがいこういうのは男女2人で変身しそうなものだが、少年2人にしたのは何か理由があるのだろうか。

 悪の名はドルゲ魔人。調べてみるとけっこう気持ち悪い敵を送り込んでいたりして生々しい。いまじゃ引っかかりそうな見た目のグロい(脳みそむき出しや口、目を巨大化させたやつなどいた)のもいたが、いい時代だとむしろあたたかい目になる。

 さてこの作品は私の父によると当時かなり人気を集めていたという。ところがある事情で打ち切りになってしまったのだ。それは敵の「ドルゲ」という名前にあった。あるドイツ人の少年がたまたまドルゲという名前だったので学校でいじめられてしまうと危惧したのである。それでクレームが入り、事態を重く見た制作側は打ち切りを敢行した。

{魔人ドルゲをルロルロロ やっつけるんだズババババーン}

 こんな歌詞があってはいけない。ん、擬音の癖が強い? それは置いといて……

 この作品は後世に大きな影響を与えたのではないかと思っている。つまり悪役の名前である。実際にいそうなものはなくなり、そして放送中に「架空の存在です」といったアピールのテロップを入れるようになった。幸い完全な封印作品にはならなかったようだが、制作側も気を引き締めたのではないかと思っている。

 さて主題歌だが実際に聞いてみると擬音の癖が強い。ルロルロロは秀逸なオノマトペに感じたが、実際あまり中身がない。でもそれがまた少年たちの心をつかんだのではないか。実際、作詞の八手三郎は作中の擬音を抜き取って、そのまま曲にしてしまおうとしたらしいのである。

 歌詞よりも曲の秀逸さが見逃せない。まあそうだろうなと思いながらも、やはり菊池俊輔であった。特筆すべきことはなし。神。

 そしてそしてこれは義務教育レベルの事案なので書かないといけないが、あの水木一郎のアニソン歌手としての初めてレコーディングした特撮ソングなのである。いわば水木一郎の原点といってもいいのではないだろうか。ゼーットの擬音なんて生温い。この曲を聴いてしまったら。

 ちなみに私はかなり小さい頃にこの曲と出会った。うたエモンのCDに収録されていたのである。いつ書こうか迷っていたが、急にドルゲの名前が頭に浮かんだので書いてみた。今日は寝起きがいい。

       【今日の名歌詞】

バロムクロスでキューンキュン




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