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SHIGEKI FUJII x SPiRiTRiAL   『COUNT 9 』ヴォーカル・インタビュー (前半)

こんにちは。
ミュージックソムリエ、シンガーでボイストレーナーの奏子(かなこ)です。

「ああ、いいなあ」「好きだなあ」っていう、歌声ってありますよね。そういう声に出会ったとき、この声、一体どうやって出してるの?どうしたらこんな風に歌えるの?って考えたことはありませんか?

歌声フェチ♡インタビューでは、歌声に魅力のあるシンガーさんに、日々歌声とどう向き合っているかをご自身に語っていただいて、その魅力を紐解いていきます。今回のゲストは、8 月27 日にアルバム『COUNT 9 / カウント・ナイン』をリリースした、SHIGEKI FUJII x SPiRiTRiAL / 藤井重樹 x スピリトライアルから、ヴォーカリスト、藤井重樹さんと、SPiRiTRiAL のリーダーでヴォーカル・ベースを担当されている伊藤威明さんにお話を伺います。

お二人とも音域も広く、声が伸びやかで高い音が突き抜ける、聴きごたえたっぷりの歌声。歌声にまつわるアレコレ、聞いてきました。
<前半>と<後半>でお届けします。

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歌うことのきっかけ

―お二人にそれぞれ伺いたいのですが、歌い始めたきっかけ、物心ついたときに聴いていた歌についてお伺いしたいです

藤井:小学校低学年くらいはアニメソング、「およげ!たいやきくん」や「仮面ライダー」、アニメの主題歌がまとまって入っているLP レコードとかがとっかかりの一番最初だったと思います。

10 歳か11 歳頃の時、当時のテレビ番組「ザ・ベストテン」に出演していたツイスト、世良公則さんとか、ゴダイゴとか、いわゆる昭和歌謡の中でも歌謡ロックとされるカテゴリーの人たちがきっかけだったんじゃないかなと思います。

―その頃の好きだった歌手の方とか歌とかが今の自分の音楽性や歌のスタイルに直接影響しているなと感じるところはありますか?

藤井:日本語で歌う場合と英語で歌う場合と違うんですけれど、日本語で歌う場合は、土台ですよね。完全、ベーシックになっていると思います。

―それは表現方法ということでしょうか?

藤井:技術的なところで昭和歌謡の部分がどれくらい影響を受けているのかというのは具体的には分からないんですけれど、英米のミュージシャンとかだと、ノンビブラートの人って結構多いと思うんですけれど、日本人のビブラートって結構独特だと思うんですよね。

だから多分、その要素は出てると思うんですよ、自分の中に。

―確かにアルバムを聴いても歌謡的なフィーリングというか、エッセンスは感じるところはありますし、私もルーツはそこに自分もあるので、ホッとしますよね。伊藤さんはいかがですか?

伊藤:僕は母が小学校の音楽の先生で、家で練習しているのを一緒に歌ったり。
あと、子供の頃、母方の実家に田植えや稲刈りの時に行くことがよくあったんですが、結構な山の中で、遊ぶものも特にないので、ひたすら歌を歌ったりしてました。

テレビでは、みんなのうた(NHK『みんなのうた』)を覚えて歌ったりとか。
あと、ポンキッキ(フジテレビ『ひらけ!ポンキッキ』)、結構洋楽の曲とかかかるんですよね、ジングルとかでクイーンの「フラッシュゴードン」とかゴダイゴの曲もよくかかってたし、歌詞も知らないままに歌真似してましたね。
家にゴダイゴのLP もあって、それも聴いてました。

―その頃、歌ってた曲とか、音楽が今に繋がってるなぁと感じることはありますか?

伊藤:「みんなのうた」(NHK「みんなのうた」)という番組が素晴らしいなと思うのは、当時から結構、音楽的にアカデミックな作りになっている曲が多いんですよね。「メトロポリタン美術館」(大貫妙子)とか、音楽的にレベルの高いことやってる人たちを起用している番組で、そういう音楽が凄く好きになっていったし、ピッチやリズムがしっかりしている人たちが、ほぼほぼだったと思いますし、いい歌の基準になっていったのはあるかなと思うんですよね。

小さい頃に聴く歌のクオリティとかってすごい大事だなと最近特に思います。 


自分がやってきたことは、歌えるようになるまで歌い続けただけ 

―それでは、声にフォーカスしてお二人にお伺いしていきたいと思います。
まずぱっと聴いて、お二人とも音域も広いし、声が伸びやかで高い音が突き抜けるようだったり、しなやかだったり強くも出せるということがあると思うんですけれど、ボイストレーナーやっていると、男性でそういうところ目指してやってくる人もたくさんいるんです。

どのようにして今の歌声を獲得していったのかとか、育んでいかれたのでしょうか。 

藤井:自分がやってきたことは、歌えるようになるまで、その声が出るまで諦めないで歌い続けてきただけなんです。

もちろん、歌が好きだったし、それなりのキー、高い声は出てたと思いますけれど、あ、それなりだ。この声が出ても「すげぇ、こいつ」っていうレベルではないなという自覚が自分の中にうっすらとあるんですよ、実は。

だって突き詰めてないから。メソッドが分かってれば、それの通りにやればよかったんですけれど、知らないし、当時はネットもないし、出来ることってコピーとかカバーだったら、その声がその通りとは言わないけれど、自分が納得するレベルまで歌えなければやる意味がないんですよね。

だからそうなるまでやり続けた、だからスポ根だと思います。僕のやり方って。とっても。それがたまたま声が潰れなくて済んだ、っていうことですかね。 

藤井重樹アー写

―そういうことなんですね。一度も声を潰されたことはないんですか? 

藤井:もちろん声を潰したこともありますし、ポリープとは言われませんでしたけれど、全くほぼ歌えなくなるという状態はやっぱりありました。

―でも完全に手術しなければいけないという、そこまではいってない…。
ちょっとこう出しすぎて少し休ませなければいけないという感じですかね。

藤井:そうですね。恐らく。それは歌い続けたからというのではなくて、それ以外の不摂生もあると思うんですよ、きっと。不規則な生活が続いたりとか、寝不足でそのまま歌い続けて、リハーサルやってライブやってって続くと、当然疲労してくると思うんで。
そういう中で起こってたことだったので。

―藤井さんは独学というか、自力でできてるってことは、どういう風にされたのかな、っていうのがすごい興味があります。
例えば出なかった音域がもっと高いところまで出るとか、ブレークスルー的なことが何回かあったと思うんですが、思い当たるところはありますか?

藤井:僕はハードロックをずっとやってきて、基本的に高い声が出ることが当たり前というか、そこをやりたいと思った時に完全にできなくても、それを歌いたいって一生懸命歌うじゃないですか。
歌えてないのは自分で分かってるんですよ、あぁ、ここはちょっと弱くなってるなとか、声が。ちょっとひっくり返り気味になってるなとか、っていうのは、自分の声を録音して聞けばわかるわけですよね。

裏のキーまでいけるんだったら表にできる。基本、ミックスかもしれないんですけれど、ミックスでも全部地声でも、それはかっこよく聞こえればいいんですよ。そういうところまでいくことができるっていうか。
裏が出るんだったら、どうにかなるでしょみたいな盲信があったんですよ。

―裏声は得意だったということですか?

藤井:得意っていうか、裏じゃないと間に合わない部分があるわけですよ。やりたいことの中に。

―納得しました、私。勝手に。
弱くても裏が出てるということが絶対条件なので、高い音を出すには。やっぱりどうしてもこれ以上いかないっていう人は、裏に逃げることもできないし、返せないんですよね。

藤井:裏すら出ないっていうことですか?

―裏が出ないんですよ。本当に。それ以上になると頭打ちになって、あ“…ってなっちゃうっていう。

藤井:そこがその人の人間としての限界ということですよね?

それに関しては、ローって絶対的な先天性のものがあって、低いところだけはそれ以上低くできないっていう噂を聞いたことがあるんですけれど、そこら辺はどうなんですか?

―高いところよりは限界が早いですね。ただ拡張はできます。

藤井さんは、裏声が出せたと言うことと、耳がよかったということが多分、すごく大きいんだろうなということを感じました。

誰かが発声している声が、例えば、いま少し薄くなったとか、そういうところの聞き分けができて、その音のイメージが頭の中できちんと作れるんだなと言うのがすごく感じたことですね。


スポーツ的に楽しいっていうか、そういう感覚でいろんな練習をしてたのが歌の練習の最初かもしれない

―伊藤さんにも同じ質問をしたいんですけれども。声の開発方法というか。

伊藤:僕は、シゲさんとは結構、真逆なのかな、もしかしたら。
最初、憧れの歌手の人たちを聴いていて、いいなとは思っても、自分の声がその人たちとは全く違ってたんですよね。だから、目指しようがない。
例えば…僕、久保田利伸さんとかすごい好きだったんですよね。TMネットワークも好きだったし、あと今でもすごくずっと影響を受け続けてるFENCE OF DEFENSE(フェンス・オブ・ディフェンス)のボーカル西村さんとかもすごい好きなんだけど、どう聴いても自分の声はその人たちに似てないんですよね。

だから、再現をするっていう発想は生まれなくて。ただその人たちが歌ってる歌はもちろん歌いたいし、歌ってる中で、歌そのものは再現できないけども、節回しとか、フレーズの細かいブレスの感じとか、そういうところを自分の声でやってみたい。
それは、自分が歌ったものを聴いてみたいっていうんじゃなくて、そう、スポーツ的に楽しいっていうか、そういう感覚でいろんな練習をしてたのが歌の練習の最初かもしれないですね。

伊藤威明アー写

―そういう練習の方法っていうのは何歳ぐらいから始めたんですか?

伊藤:練習と思って練習し始めたのって、やっぱり小学校中学年ぐらいですかね。

家帰ってきて、レコードを聴きながら何回も何回も練習したりなんかして。

―それはすごいですね。

伊藤:小学校中学年ぐらい「GET WILD」(TM ネットワーク)とかの頃ですけど、スッゴイ早口なんですよ、TM ネットワークの曲って。
リズム感がしっかりしないとあれ歌えないので、どういうふうにブレスを入れたらいいんだろうとか、言葉数がすごく多いので、一つ一つの言葉に息をいっぱい使っちゃうと、とてもとても歌いきれないんですよね。
息の量を均等にちゃんと、ブレスとブレスの間続くように、しかもリズム感をキープしなきゃいけなくてって思うと、今度は舌の動きとかもちゃんとシャープにしなきゃいけないし、とかっていろいろ考えながら….。

藤井:ちょっとごめんなさい、小学生だよね、それ。

伊藤:小学生。

藤井:はい、どうぞ。(笑)

伊藤:で、それやってるうちに、なんか楽しい楽しいって感じで。
人に聴かせるっていうつもりはその時は全然なかったんです。とにかく歌うのが楽しくて。声も違うから同じにはならないけど、これ歌ってるものと同じようにできると楽しいっていうつもりでやったりなんかして。

その後、久保田利伸さんに一時期凄くはまって。真似して練習してた時期あったんですよね。
久保田さんみたいな声は出ないけど、時々こう出てくる細かいフレーズ、あれはどうやったらできるんだろうと思って。フレーズが回ってる間、息は続いてるなと、じゃあ息はやっぱり一定に細く長く続けなきゃいけないかなって。細く長く、声を出す練習を節回しはやらずに、今思うとロングブレスなんですけど、やってみたりとか。

ずっと水泳をやっていたので、ちょっとそれに通じる感覚もあったんですよね。

どうやら、節回しはライブとかではしょっちゅう変わるらしい。聴いてると、なんか決まってるフレーズじゃなくて、その場その場で考えなきゃいけないみたいだなと。だけど、音程の階段は、はっきりしてるじゃないですか。
これ、どうやってんだろうと思って。じゃあ、その曲のそのフレーズをなぞるだけじゃなくて、♩あああああああああ(ドレミファソファミレド)♩みたいなことを徹底的にやって、その貯金で多分歌っているんだろう、と思って、そういう練習をちょっとやってみたりとか。

当然すぐはできないので、ちょっとできたら「あ、嬉しい」なんかそういう繰り返しでしたね。

―声変わりをした後でも変わらなかったですか?

伊藤:声変わりをした後でもは同じぐらいは出てましたね。
高音の壁っていうところで言うと、やっぱりね、ハードロックとかを聴くようになって、これ歌いたいってなってからなんですよね。一回壁にあたったり。そのときもやっぱりね、さっきシゲさんが言ってたのと同じで、やるしかないんですよね。やるしかない。

藤井:やりたいからね。

伊藤:あとはやりたいと思える曲に出会えるかどうかなんですけど、僕がすごいハマったのはブラック・サバス(Black Sabbath)のトニー・マーティン(Tony Martin)っていうシンガーが歌ってる、凄くいいアルバムがあったんです。
『ティール(TYR) )』っていうアルバムの中に、ブリティッシュフォークみたいな曲で始まって、徐々に盛り上がってロックな感じになっていくみたいな、その間、ずっとボーカルがほぼ独唱みたいな感じで歌い上げてる曲があって、結構高い音域までガーッといく曲なんですね。

その音域は今まで久保田利伸さんとかを歌ってた歌い方だとちょっとできない。
しかもハードロックとかメタルのシンガーはオペラのトレーニングを積んでる人とかも結構いるので、高音の伸びがやっぱりちょっと違うんですよね。パワフルさと伸びが。これはどうやったらいいのかなと思いながら。でも結構大声出さなきゃいけないんような感じがしたので、実家で押入れで布団かぶってちょっと叫んだりとか、そんなことの繰り返しですよね。

―それで出るようになったんですか?

伊藤:やっぱり力みがあるかどうかなんですよね、結局ポイントは。
何か、ある時「イメージほど力まなくてもどうやら出るみたいだぞ」って気づいたら楽に出るようになったし。

結局、そのパワフルな声とかってよく言うけど、パワフルに聞こえる声なんですよね。正確に言うと。
息の量がすごい出てるわけじゃないし、そこに気づけた時に多分出るようになるんじゃないかなと思いますね。

―自力でそこに気付けるっていうのがやっぱりすごいなっていう感じですよね。

伊藤:まぁやるしかないですって、結局ね。なんか結局、スポ根なんですけど。気づくのはやっぱりやり続ければ気付けるのかなあっていう気がします。

―誰もがそこにはいけないっていう、私の中にそういう感じがありますね。やり続ければそこにいけるっていうのは本当に稀な人っていう感じがしてます。

伊藤:あとは僕の場合、オペラとかのステージを見る機会が結構子供の頃からあったので。結構、体ちっちゃい人がいるんですよね、オペラの歌手って。
僕が大人になってからでも、この人たちは本当に自分より肺活量あるのかなって思うことがあったりして。単純に息を出す何CC とかって、肺活量でどうも自分が負ける気しないのに、この人はすごい声が出てる、じゃあ、やっぱり息の量じゃないんだなってことに気づいたりとか。

―やっぱり考察する能力がものすごい高いですよね。
起きてること、事実を見ようっていうのがすごく長けてらっしゃるんだなっていうふうに感じます。
伊藤さんは誰かにボイストレーニングを教わったりとかってことは今まで一度もないですか?

伊藤:あんまりピンと来る人に巡り合えなかったんですよね、ずっと。
だからなんか闇雲に行くより、ちょっと自分で1 回やれるとこまでやってみようかなって思って、ずっと今まで来てる感じですね。

―なるほど。でも間違いなくそれは正しい選択だったと思いますよ。本当いろんな方いらっしゃいますしね。

伊藤:そうですか。一応なんかボイトレみたいな、何冊か教則本を読みあさったりはして、その中で自分に合うトレーニング方法だったり、解釈だったりっていうのをつまみ食いはしたかもしれないですね。

―たくさんの情報があったときに、その取捨選択をすることが多分すごく難しくて、それが多分、伊藤さんの場合はすごい的確に出来てるんだろうなっていう感じが、今いろいろお話聞いてるうちにそう思いましたね。

客観性とか、その物事を見るとき、フラットに見て、どうなんだろうっていう姿勢が、もう一貫して小さい頃からあるっていうか。

伊藤:そうですかね。

―そんな感じがすごくしました。素晴らしい、羨ましいです。お2 人ともその自分でいけちゃったっていうのがやっぱりすごいなって思います。


シゲさんの良さっていうのは価値判断が明確。すごく丁寧に堅実に歌を仕上げる。

―お互いの声について、どこが魅力に感じるかとか、自分の声との相性とか、お2 人それぞれお伺いしたいです。

藤井:そこはもう小学生の頃からメソッドを研究されてる伊藤さん、先に。

伊藤:シゲさんの良さっていうのは、音の価値判断が明確。なんていうのかな。堅実なんですね。歌が。ピッチだったりリズムだったりっていうところをかなり丁寧に仕上げてくる。なので、もともとのその声の太さとかが、そこでうまいこと整って、聴き疲れしない音に仕上がるっていうのを前から思ってたんですよね。

シゲさんはよくハイトーンがすごい出るとか、シャウトがすごいとかっていうことが評価の主な基準として言われたりすることが多いんですけど、僕から言わせると、すごく丁寧に堅実に歌を仕上げる。
そして、もともと持ってる声の太さだったり重さだったりっていうところを、ダイレクトに聴く人に楽しんでもらえる歌い手っていうところが一番の特長だと僕は思っていて。

そこを最大限生かすような歌を歌ってほしいなと思ったし、それを想定して曲を作ったりしたんですけどね、今度のアルバムの曲は。

―すごいいい話もらいましたね、今。
この声フェチのインタビューらしい、すごくマニアックなというか、ちょっと視点が違う感じで。すっごくなるほどと思います。

うーん、素晴らしい!ありがとうございます。藤井さんの方からは、伊藤さんの声についてありますでしょうか?


丁寧の権化&ジェントル

藤井:俺が言おうと思ってたんだよね。丁寧なのはどう聴いても伊藤くんの方が丁寧だから。皆さんお聴きになって分かると思うんで。間違いなく丁寧だと思いますよ、僕は思いのほか丁寧っていうだけで。

伊藤:そんなことはないですよ。

藤井:何て言ったらいいのかな。イメージで言うと、「あ、藤井さんって結構丁寧に歌うんですね。」。歌の表情によって、やっぱり歌を歌い分けなきゃいけないので、そういう部分もあると思うんですけど、伊藤くんの場合は、今日のインタビューの最初から今までお聞きになってわかる通り、丁寧の権化みたいな人なのね。

伊藤:そうかなぁ(笑)

藤井:そうだよ、間違いないって、伊藤くんの丁寧さって、すごく何ていうのかな。堅実っていうのも言ってたけど、堅実は君だから。(笑)
堅実に積み上げてきたものが、すごく声とか歌に表れてると思うんですよね。

それが聴いてる人にどれぐらいの割合で伝わってるかっていうのは、僕らわからないんだけど、たぶん僕の歌をパッと聴いたら、なんかちょっと藪から棒に聴こえたりとかもするかもしれないんですよね、曲によっては。

それに対してやっぱり、伊藤くんのは、ジェントルなんだよね、歌も声も。だからそういうところがやっぱりその、意外と声が判別つきにくいみたいなお話もあったんでなんとも言えないんだけど、僕らとしてはコントラストになってるなとは思ってるんですけどね。

―そういう意味での「ジェントルさ」っていうのはすごいわかります。
お二人とも出てくる音に対してすごく意識を高く持ってるっていうか、こういう音が欲しいから、こういう音を出してるっていうのを明確に意識されて出してるのかなって印象を受けました。出たとこ勝負みたいな感じではなくて。


技術って、技術を見せるためのものじゃなくて、良い楽曲をよく聴かせるためのパーツの一つ

藤井:やってみたらよかったよねっていう場合もちろんあるんですけど、最初にこうしようねっていうものがあって、っていうところは、多分伊藤くんが明確に持ってるんだけど。
伊藤くんも言ってたけど、僕がやりたいことってそんなに複雑なことじゃなくて、シンプルなことで、難しいことがやりたいわけじゃないんですけど、技術って、技術を見せるためのものじゃなくて、例えば、高い声って高い声を出すためのものじゃなくて、良い楽曲をよく聴かせるためのパーツの一つなんですよね。

僕の考えだと、音域が広いっていうのは、その表現の幅が広がるっていうか、曲の良さを最大限に引き出す、すごい武器になると思うんですよね。

それは別に音域が狭い人でも、逆にそれが魅力になったりとかする部分もあるとは思うんですけど、僕らの場合はそれを広げていって、なるべくそう、その広がりを持たせたハーモニーを聴いてもらったりとか、そういうところを目標としているので。

伊藤くんが丁寧に作ってると思います。(笑)

―今のもいいお話。

後半へ続く

【LIVE 情報】
≪アルバム『COUNT 9』発売記念!!!≫
SHIGEKI FUJII x SPiRiTRiAL presents LIVE “CIRCLE OF TRUST”
(with special guest RAZOR HIGHWAY)
■2021.10.10(sun) ■18:30 START
■WildSide Tokyo (無観客配信LIVE)
第一部 SPiRiTRiAL ベスト選曲LIVE
第二部 SHIGEKI FUJII x SPiRiTRiAL 『COUNT 9』再現LIVE
■配信チケット 3,000yen (アーカイヴ2 週間)
【チケット購入ページ】 https://ws-tokyo.com/events/5318

【アルバム絶賛発売中!】

SHIGEKI FUJII x SPiRiTRiAL『COUNT 9』ジャケ写


SHIGEKI FUJII x SPiRiTRiAL スペシャル・コラボ・アルバム『COUNT 9』
↓アルバムトレイラー動画はコチラ↓
https://youtu.be/FADCxGdD_ig
定価 2970 円(税込)
販売元 Black-listed Records

[Disk Union]※購入特典 : ボーナス音源CD-R
[HMV]
[Tower Records]
[Amazon]

SPiRiTRiAL
facebook:https://www.facebook.com/SPiRiTRiAL
twitter:@SPiRiTRiAL

2014 年『Suite ZERO』2019 年『SPiRiTRiAL』
2021 年 SHIGEKI FUJII × SPiRiTRiAL 『COUNT 9』

<藤井重樹 SHIGEKI FUJII プロフィール>
東京の HM/HR シーンで常に高い評価を受けてきた実力派ヴォーカリスト。グレン・ヒューズやレイ・ギラン、人見元基、 森重樹一、山田信夫といったヴォーカリストに多大な影響を受ける。複数のバンドでの活動を経験した後、松永俊彦 (Vo/G)とのユニット:dEuce(デュース)を結成、2004 年にミニ・アルバム「RED HOT」をリリース。ライヴ活動を精力 的に展開する。その後、藤岡幹大(G)、板倉淳(Ds)、森川肇(B)らとハード・ロック・バンド:NIGHT BUZZ を結成、ラ イヴ会場限定の 3 曲入 CD シングルを制作(一般未発売)。一方で正統派ヘヴィ・メタル・バンド:NAKED MACHINE の初代ヴォーカリストとしてその結成に携わる傍ら、アコースティック・ユニット:52nd Filmore st.のメンバーとしても 活動。また数々のセッションで山本恭司、ポール・ショーティノ、MAD 大内、本間大嗣、甲斐貴之、寺沢功一、島紀史、 前田"トニー"敏仁といった錚々たるミュージシャンとステージで共演を果たす。2018 年には梶山章(G)のユニット: GOLDBRICK のアルバム「THE BOUNDARY」に全曲参加、ライヴでの見事な歌唱も注目を集めた。HM/HR を主戦 場とするヴォーカリストでありながら、その枠に囚われない幅広い歌唱スタイルには定評があり、それは本作でも存分 に発揮されている。

<伊藤威明(いとう たけあき:Vo/B/Key/Program)>
SPiRiTRiAL の創設者にしてフロントマン兼メイン・ソングライター。FENCE OF DEFENSE とグレン・ヒューズを敬愛し、 自身の幅広い音楽的志向を盛り込んだサウンドを追求すべく、1998 年のバンド結成以来不断の前進を続けている。 ヴォーカリストとしてバンド以外でも音源制作の仕事に携わる傍ら、近年は 2020 年に英国 Escape Music から発売さ れたプログレッシヴ・ロック・プロジェクト:PINNACLE POINTの2ndアルバム「SYMPHONY OF MIND」のレコーディ ングに参加し、全曲でベースを担当、PV にも出演する。またジェフ・スコット・ソート、マイク・スラマー、トミー・デナンダー、 ジェフ・ピルソン、ディーン・カストロノヴォ、ビリー・シーンなど豪華ミュージシャンが集結し、同レーベルより 2021 年に 発売予定のプロジェクト・アルバム「TURKISH DELIGHT」にもベーシストとして参加するなど、活躍の場を海外まで広 げている。

●インタビュアー:奏子(Kanako)
 Singer/Voice Trainer/ミュージックソムリエ
 twitter:@vkanako

8 月末、zoom にてインタビュー実施



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