音楽ドキュメンタリー映画 『スパークス ブラザーズ(The Sparks Brothers(原題))』#観た・聴いた・読んだ
満開の桜を横目に 『スパークス ブラザーズ』の試写会に行ってきた。
スパークス、この名前はずーっと目にしてきた。
だからいつかどこかで聴いたことがある。
でも正直、あまり知らない。
この映画を観たら、よく知らない理由も少し分かった。
彼らは変化を恐れず、自分たちが良いと思ったもの、興味の赴くものに正直に向き合ってきたのだ。だから音楽性のスパークスらしさという定型文のようなものはない。
普通の人より、ちょっと変な人の方が好き?はい、もうスパークス の虜に。
ベック、レッド・ホット・チリ・ペッパーズのフリー(Ba.)、フランツ・フェルディナンドのアレックス・カプラノス(Vo.G.Key)、トッドラングレン、デュラン・デュラン、ニューオーダー、ビョークがその魅力を語る、
「スパークス」
彼らの大ファンだというエドガー・ライト監督が贈る、
<スパークス兄弟>の魅力に迫る音楽ドキュメンタリー映画。
この予告編を観るだけでも、なんだかおかしくて惹きつけられてしまう。
<スパークス>は、ロン(キーボード)とラッセル(ボーカル)のメイル兄弟からなるアメリカ合衆国ロサンゼルス出身のバンド。
1972年にデビュー以来、音楽界の異端児として、媚びず、常に挑戦的で独創的な楽曲を生み出し、独自のユニークな表現をし続け50年活動している。
<スパークス>の1970年代からの貴重なアーカイブ映像、彼らが影響を与えたとされる豪華アーティストたちやレコード会社、ファンのインタビューなど、その足跡を辿る。
監督はエドガー・ライト。映画『ラスト・ナイト・イン・ソーホー』も監督している。『SING 2(シング2 ネクストステージ)』では警察官や運転手の声の出演も!している。(前作ではヤギの声だった)
長年大ファンだったライトが数年前についに彼らのステージを観たことから、彼らとの交流が始まりドキュメンタリー製作に至った。
スパークス兄弟はアメリカ、カリフォルニア生まれ。なのに太陽が降り注ぐ明るくてカラッとした印象はない。
イギリスやドイツのバンドっぽい。実際、デビュー当初はアメリカで商業的成功を収められずイギリスに渡り、アルバム『KIMONO MY HOUSE』が大ヒットする。
アルバム 1曲目「Ain't Big Enough For Both Of Us」
(この街は俺たち二人には狭すぎる)
レコードのジャケットのインパクトも大きいですね。
イントロはどこか宇宙の彼方からやってくるような、エレピの音がどんどん近づいてくる、そして上下に行ったり来たりとまるで宇宙船が自在に浮遊するようなメロディー、ラッセルのファルセットを多用した中性的な声。
捉えどころがないのに、魔法にかけられたように聴き入ってしまう。癖になる。
Spotifyで聴くこともできます。
1979年、8枚目のアルバム、ジョルジオ・モロダー プロデュース『No.1 in HEVEN』でも一斉を風靡、
1983年には、ゴーゴーズ(The Go-Go's)ジェーン・ウィードリンを迎えての曲「Cool Places」をリリース。
ジェーン・ウィードリンがスパークスファンではしゃいでいるかのような姿が可愛いMV。
80年代後半〜90年代前半の低迷期を経て、再びシーンの最前線に。
ジャック・タチ、ティム・バートンとの映画監督との映画音楽参加プロジェクトも全力で臨んだにも関わらず幻に終わったりと、順風満帆とはいかない道程でも、彼らはドラッグやアルコールに溺れたりすることもなく、粛々と自分達のできることをアップデートしながら歩み続ける。
そして何度も復活する。
4月(2022年)には原案・脚本・音楽で関わるレオン・カラックスとのコラボレーション作『アネット』も公開予定。
主演は『ハウス・オブ・グッチ』でマウリツィオ・グッチを演じた記憶も新しいアダム・ドライバー。
70歳を超えて今なお活躍し続けるスパークス。
きっと彼らの撒いた種から影響された曲や何かしらの製作物を私たちはきっと目にし、耳にしているのだと思う。
スパークスってどんな音楽?って言われてもなかなか答えられない。
他人と違うこと、世間に理解されないことをものともせず、流行に流されることなく自分達の音楽を追求してきた姿は、今の時代にますます響いてくるのではないだろうか。
彼らの25枚のアルバムを全て聴くのは難しくとも、サブスクやYouTube、CDやレコードなど様々な選択肢から彼らの音楽に触れる機会はあるけれど、映画を観たらきっともっと楽しめる。
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