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見よ時を経て現代に辿り着く本の美しさよ(2023/12/25)

クリスマスと関係ない投稿でごめんなさいね…。リア充爆発しろ!という様式美さえできなくなってしまった……。
いや言っておくか!言っておこう!
イベントを楽しもう。
こなすようになってしまったら苦痛だけど、ほんのちょっぴり、それに乗る事をしてもいいだろう。
「リア充爆発しろ!」


すごいや。昭和から続く貸し出し記録

図書館から借りてきた「君たちはどう生きるのか」読み終わった。さんざんっぱら、これは宮崎駿監督の「君たちはどう生きるのか」の原作ではないと書いてきたのだけれど、宮崎駿監督作品にこの原作が出てきたこと、そして原作には無いミレーの「種をまく人」※が挿絵で出来てたことに思いを馳せた。
※これは私の調査不足だった。吉野源三郎著「君たちはどう生きるのか」はこれまでに数度出版され、出版社や版によって挿絵が違うらしい。
そのためミレーの「種をまく人」は原作にある表記でした。

この本が、亡き母から送られてきた事、母の愛情、託された想い、作中の真人はそれらを受け取って涙していたのだろうな…と思う。
そして、物語は入れ子構造になっている。
宮崎駿監督の「君たちはどう生きるのか」は、真人は義母を取り戻すために大叔父が作った塔を探索する(大叔父の元に向かう)。これは、大叔父に招き入れられて導かれていると捉えても良いんじゃないかな。
吉野源三郎著「君たちはどう生きるか」もコペル君は苦難にぶつかった時、自身の思いや疑問を叔父(亡きコペル君の父から、コペル君が良き人間になれるように導いて欲しいと頼まれている)に相談し助言や心のありようを諭してもらう物語だ。

宮崎駿監督が題材として、この作品を選んだわけが分かるような気がする。
「人は過去に学ぶことができる生き物で、今と現在は断絶できないものであり、だから私たちは過去の人々に恥じないように、背筋を伸ばして生きていくべき」という思いと、「これからの人にもそうやって生きて欲しい」という祈りが作品に込められているだと思った。

そして、宮崎駿監督自身、そうやって生きてきたのだろう。
境遇、出会い、何を選択し何に努力してきたのか。
大切にしてきたもの、大切だけど離れなければならなかったもの。その生きざまが反映されているのが、宮崎駿監督「君たちはどう生きるのか」なのだと思う。

NHKの番組では、それぞれのキャラに現実の人間をあてはめた演出がされていたが、それは別に間違いと言う訳ではないと思う。そういう風に「解釈」もできる。
個人的にキリコさん=保田道世さんという考え方には同意できないな。と言っても、保田道世さんの資料は少なく、色彩設定という専門職に関する知識も乏しいので宮崎駿監督にとって保田さんがどんな方だったのか分からないから、断定したくない…ってかんじだ。それこそ映画内のキリコように言葉少なに厳しく現場主義で物事を教えてくれる人だったのか、何も語らずとも阿吽の呼吸で宮崎監督の要求にこたえてくれていた人なのか、思想がぶつかり合って作品を仕上げていた人なのか分からないからな~。
ちなみに保田さんの資料はこちらです。

セルの夜色~。セルの夜色大好き。今、どうやって色を決めているのか分からないんだけど、セル時代の夜色はひときわ美しく感じる。

NHKの番組は私的には「博物館でやる企画展みて~だ」って感想だ。博物館でやる企画展ってさ~~~、知識ゼロで見ても楽しめるように、すんごく分かりやすく情報をまとめて楽しめるように展示してくれるんだよね。プロフェッショナルの流儀でも似たようなものを感じたな。
大きく外してはいないけど、分かりやすく説明を端折っている部分がけっこうある。
ジブリの制作状況のドキュメンタリーで好きなのは「夢と狂気の王国」だ。監督が是枝監督を師事していた砂田さんなので、是枝監督のドキュメンタリー作品好きな人は好きかもしんない。

タイトルがヘンリー・ダーガーの「非現実の王国で」を意識していると思うんだな。

あとはかぐや姫の物語かな~。

高畑監督のほうだと、物作りの時にある「ひりひり感」が強いので結構緊張を強いられる内容かも。全然関係ないけど、是枝監督の著書「映画を撮りながら考えたこと」って高畑勲監督の「映画を作りながら考えたこと」に影響を受けていると思うんだけど、どうだろ。

宮崎駿監督だとなんだろう。
やっぱもののけ姫かな~。

保田さん、もののけ姫のほうにチラリと出演されていたような気がする。

私が危険だな…と思ったのは、公共の電波で放映されたことをそのまま「公式」として受け取ってしまう人が多い事だな。
特に、あの編集の仕方は…う~ん…私はちょっと恣意的だな…と感じてしまった。「宮崎駿監督=真人」「高畑勲監督=大叔父」に関しては、そういう側面もあるだろう…と言う感じ。「保田道世さん=キリコ」というのは完全に編集によるもののように見える。
でも、こんな意見、後出しじゃんけんみたいなもんで、称賛批判が集まっている中で訳知り顔で「そうともかぎらない」という感想を言うのはフェアじゃない。


君たちはどう生きるか、年始もいくつかの映画館で上映してくれるらし~~~うれしい!ヘヘッ。
この時までに失われたものたちの本を読み終えたいねえ。


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