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魂を揺さぶるEastern Youthの名曲Best20

 今回は、30年以上のキャリアを誇る孤高のロックバンド、Eastern Youth(イースタン・ユース)の数々の名曲の中から、特に人気が高く重要な20曲を、独自の基準でランキング化してみました。

左から 村岡(b)、田森(dr)、吉野(vo,g)

 日本語ロックのカリスマ的存在として多くの後輩バンド達に影響を与え続けている彼らによる、荒々しさと繊細さを併せ持った、魂を揺さぶるような20曲をチョイスしています。

<選出基準>
 1. ライブでよく演奏される
 2. ライブでの盛り上がりが凄い
 3. 歌詞やサウンドの熱量が凄い

 彼らの音楽にまだ触れたことが無いという方へ、きっかけとなるような記事になれば幸いです。それでは早速、20位からいきます。


第20位 素晴らしい世界

8th 『感受性応答セヨ』収録
 8thのトリを飾るこの楽曲は、田森によるダイナミックなドラミングが印象的な、スケール感に満ち溢れたナンバー。『素晴らしい世界』というタイトルは一見シンプルかつポジティブですが、最後を『素晴らしい世界の果て 素晴らしい光と影』と結んでおり、一筋縄でいかない吉野の歌詞世界が光ります。ライブでの演奏は決して頻繁ではないものの、歌詞・サウンドともに熱量をひしひしと感じる名曲ということで選出。

第19位 月影

4th 『口笛、夜更けに響く』収録
 疾走感溢れる4thのオープニングナンバー。ストレートなバンドサウンドがシンプルでカッコいい。この頃(1995年)の吉野の声質は、現在の泣き叫ぶような高音とはだいぶ異なり、低くしゃがれたような歌声です。サビでのコーラスはライブで合唱必至。

第18位 ナニクソ節

16th 『ボトムオブザワールド』収録
 この曲の良さは何と言っても、あまりにも熱く泥臭い歌詞でしょう。なにしろ、『1、2、3、4、ナニクソチクショウ、5、6、7、8、負ケテタマルカ』と連呼しています。文字で見るとより一層「カッコ悪さ」が際立つんですけど、それでいいんです。むしろそれこそがイースタン・ユースの「カッコ良さ」なのです。演奏の熱量、疾走感にも溢れた、エネルギーをもらえる一曲。

第17位 雨曝しなら濡れるがいいさ

7th 『雲射抜ケ声』収録
 彼らのキャリアの中では比較的ポップな音作りとメロディラインが特徴的な、ライブでも定番のナンバー。緩急、メリハリの効いた楽曲展開もgood。現実を誇張することもなければ、必要以上に悲観することもせず、ひたすら実直に世界を見つめる、吉野の「らしさ」に溢れた歌詞も大きな魅力の一つ。

第16位 いずこへ

5th 『孤立無援の花』収録
 初期の代表作『孤立無援の花』の幕開けを飾る、ライブでも定番のナンバー。吉野の作家性が前面に出た歌詞世界が最大の魅力。また、疾走感溢れるパートから、アクセル・ブレーキ自在な田森のドラミングが緩急をつけるパートまで、リズム面でも楽しめます。

第15位 歌は夜空に消えていく

6th 『旅路ニ季節ガ燃エ落チル』収録
 名盤『旅路ニ季節ガ燃エ落チル』のトリを飾る、スローなロックナンバー。ライブでの演奏は比較的レアな部類。切なさ、寂しさが募るようなしっとりとした雰囲気を醸しつつも、しっかりと盛り上げることのできるパワーも持った楽曲と言えます。

第14位 街はふるさと

10th 『Don Quijote』収録
 10thは全体的にストレートでピュアな歌詞が多いと感じますが、その1曲目である本楽曲はその代表格です。歌詞もそうですが、ひと展開もふた展開もある楽曲構成も何だか泥臭くて熱さを感じますし、ドラマチックさもあります。ライブでも比較的定番の楽曲。

第13位 踵鳴る

8th 『感受性応答セヨ』収録
 躍動するベースライン、畳み掛けるかのような疾走感。イントロだけでその場を支配できるパワーがあります。バンドサウンドの強度や、ライブバンドとしての圧倒的なパフォーマンス力を最もよく証明できる楽曲の一つ。

第12位 今日も続いていく

18th 『2020』収録
 目下の所の最新作、『2020』の1曲目にして、彼らの新たなる定番曲。アルバムタイトルからも分かる通り、コロナ禍に制作された作品ですが、本楽曲にもその影響が歌詞に色濃く反映されています。唐突に現れた、得体の知れない何かに翻弄されながらも、それに立ち向かわざるを得ない現実に対してどこまでも実直に向き合った歌詞が印象的。「俺たちの現実は今日も続いている 人間の毎日は今日も続いていく



第11位 矯正視力0.六

10th 『Don Quijote』収録
 優しく囁くような吉野の歌声、落ち着いた雰囲気のサウンドで始まるこの楽曲は、彼らのキャリアにおいて異色の存在と言っていいでしょう。サビから一気に疾走感が溢れ歌唱もエモーショナルになっていきますが、柔らかなバックコーラス、ハモりによって終始この楽曲が持つ優しい雰囲気は保たれています。

第10位 青すぎる空

6th 『旅路ニ季節ガ燃エ落チル』収録
 スローテンポなロックナンバー。じっくりとエモーショナルに雄大に歌い上げる。姿形の無い何かに想いを馳せるようなどこか切ない歌詞世界とサウンド。どことなく夏の終わりのような寂しさが連想させられます。

第9位 Don Quijote

10th 『Don Quijote』収録
 ライブではアンコールで演奏されるパターンが多い。前述の『街はふるさと』と同様、あまりにもストレートでピュアな歌詞が印象的。加えて本楽曲は、サウンド的にもメロディ的にも、キャッチー過ぎるほどにキャッチーです。人気の楽曲。

第8位 時計台の鐘

アルバム未収録(11thシングル)
 彼らのバンド結成の地、札幌の時計台がモチーフとなった楽曲。時計台の近くのアパートで10代を過ごしたという吉野自身の記憶、ルーツに基づいており、ライブでも度々演奏されていることからも、彼らの中での重要度が窺い知れます。ベースの村岡ゆかによるコーラスも印象的。



第7位 砂塵の彼方へ

7th 『雲射抜ケ声』収録
 攻撃的なサウンドで7thのオープニングを飾るナンバー。リズム、展開、構成、どれを取ってもスリリングな要素に溢れています。ライブでは、序盤から定番曲で一気に畳み掛け、そろそろ中盤にさしかかろうかという辺りで演奏されるパターンが多く、この楽曲を境に、彼らの更なるディープな世界へと引き摺り込まれます。

第6位 裸足で行かざるを得ない

5th 『孤立無援の花』収録
 初期の代表曲。サビでアルバムタイトルをコールする場面では合唱が巻き起こります。疾走感のある楽曲に、軽快なギターカッティング。吉野の美しき歌詞世界が特に光っている曲でもあります。

第5位 たとえば僕が死んだら

4th 『口笛、夜更けに響く』収録
 70年代に活動していた女性シンガーソングライター、森田童子の楽曲カバー。ライブでも頻繁に演奏されており、人気も高い。静謐なフォークソングである原曲が、ストレートなロックサウンドへとアレンジされていますが、優しく美しい歌詞がそのまま活きるようなシンプルなアレンジが素晴らしいです。

第4位 夜明けの歌

8th 『感受性応答セヨ』収録
 スローテンポではあるが重厚でどっしりとしたロックナンバー。アルバムでも1曲目に収録されているように「始まり」を予感させる雰囲気もあると同時に、クライマックスとしても相応しさを感じる壮大なスケールのサウンドとメロディ。「悲しみを笑い飛ばして 夜が明ける」という歌詞に対して、「逃げても逃げても逃げても 朝が来る 涙よ止まれよ今直ぐ もう朝だから」と結ぶあたりは、決してメッセージを押し付けない、吉野の実直なスタンスがよく表れています。


第3位 ソンゲントジユウ

17th 『SONGentoJIYU』収録
 17thの表題曲にして1曲目を飾る、彼らの新たな代表曲。力強く重厚でありながらどこか軽やかさも感じさせるサウンド。吉野はこう叫ぶ。「どう転んだって俺は俺 生まれ持った生存の実感を 誰かの手に委ねちゃいけねえんだ」かねてから吉野が一貫して歌い続けているのは、「個」の重要性。周りに流されず、同調せず、自分自身の意思で進む。そんな決意を、最もダイレクトに感じることができる楽曲です。



第2位 夏の日の午後

6th 『旅路ニ季節ガ燃エ落チル』収録
 6thの1曲目であるこの曲は、彼らのキャリアを代表する、ライブ序盤の定番曲でもあります。聴いてる側まで汗が滲んできそうな、夏の暑さをじりじりと感じさせる臨場感。吉野の繊細な歌詞世界と、魂の叫び。ストレートなバンドサウンド。これぞEastern Youthと言いたくなる要素がぎっしり詰まった初期の大名曲。

第1位 街の底

16th 『ボトムオブザワールド』収録
 ライブ本編のトリを飾ることが多い。比較的最近のリリースでありながら、既に彼らにとって押しも押されもせぬ堂々の代表曲に。疾走感、楽曲が持つ説得力など、この楽曲の凄さを表現するための言葉は幾つもありますが、何よりも特筆すべきポイントは吉野の歌唱です。圧倒的にエモーショナルでスポークンワードな歌唱からは、吉野が最も重要視する『個』の力をひしひしと感じます。周りなど関係ない。俺は俺。それに対して、バンドサウンドも負けじと途轍もない強靭さで応えています。この曲を1位に据える事には何の迷いもありませんでした。凄まじい強度の大名曲。



 以上の20曲になります。

 どれも、飾らない、ひたすらにストレートな、剥き出しの楽曲ばかりです。興味を持って頂けた方は是非聴いてみてください。

 最後まで読んで頂きありがとうございました。

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