岡村靖幸さんにまつわる話

岡村靖幸さんに出会ったのは高校生の時だ。

当時、レンタルビデオが流行り、同時にレンタルCDを借りてカセットテープに落とすというのが流行った。好きな曲を並べて、好きな人に渡したり、デートの時の車内でのBGMにしたり。

わたしは聞いた事のない邦楽のアルバムをいろいろ借りてきて、趣味に合うものを探していた。ちなみにBeatlesやマドンナ、ペット・ショップ・ボーイズなんかは友達経由で勝手にやって来たので洋楽は守備範囲外。洋楽で好きなのはナット・キング・コール。

岡村靖幸(以下、敬称略)に出会ったのもその頃だ。その頃、『My Revolution』で流行った渡辺美里が大好きで、大好きすぎたので、彼女の曲を作ったアーティストの曲をたらふく聞いた。

知らない人も多いと思うが、TMネットワークからは小室哲哉と木根尚登がそれぞれ曲を書き、新海誠監督の『言の葉の森』の主題歌の『Rain』のオリジナルを書いた大江千里も美里に曲を提供し、岡村靖幸も素晴らしい曲を書いた。

作曲者ごとにやはり曲のニュアンスが違い、音が違い、それぞれのオリジナルを聞くと世界が広がる気がした。『ロッキンオンジャパン』を買っていたのもこの頃だ。

そんなわけで岡村靖幸、聞いてみてビックリ!ファンの人にはわかると思うけど、ボリュームを落とした!何しろ歌詞が、いや歌詞だけではなく全体のムードがHぃのだ。頭がボーンッとなるくらい!で、それでもこそこそ聞いていたんだけど、曲作りが素晴らしくて正直、ダンサンブルなサウンドからうっとりするバラードにベタ惚れだった。

ひとには話せない趣味。

しかし、ある時、きっかけがなんだったのか忘れてしまったけれど、部活の憧れの先輩が岡村靖幸ファンであることが発覚。ふたりだけで盛り上がる!新しいアルバム、聞いてないアルバムは先輩が貸してくれて、わたしはそれをダビングした。彼女のいる先輩、付け込む隙(?)はなかったけれど、同じ趣味があってすごくうれしかった。

ごくたまに、わたしの小説にも出てくる先輩。いつも上手く書けない。他の人はモデルにしても書けるのに、先輩がモデルだと筆が不器用になる。先輩が彼女と別れてから何回か、ふたりで出かけたこともある。切ない思い出だ。その切なさの裏側に、いつも岡村靖幸が流れている。

『友人のふり』とかね。

一度でいいから、生で見てみたいんだけど、一人で行く勇気がない。まして人も誘えない。このまま、岡村クンのライブには一生、たどり着かないのかな……。先輩に手が届かなかったように。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?