見出し画像

心の火種

婦人之友7月号が発売になりました。
今号では「手しごとのモノサシ」vol.2として、
和紙造形作家のにしむらあきこさんとの対談頁を掲載いただいています。
10頁!
https://www.fujinnotomo.co.jp/magazine/fujinnotomo/f201907/

今回、にしむらあきこさんとの対談頁を作ることになったのは、
これはもう、必然!としか、いいようのないタイミングでした。
私サイドや編集部の都合や段取りが一転あったあとの、結果オーライ。
何より、あきこさんの工房が立ち上がった幸せなタイミングに記事が作れたことが奇跡のような巡りあわせでした。

今まで集合住宅の一室で制作をされていて、
工房がほしいなぁ~と願っていたあきこさん。
願えば叶う!
地元東村山市に立ち上がった素敵な「場」の中に、「紙と青」という工房を構えることになったのでした。

取材は工房開設の直前のこと。
何の仕込みや企みもしていないのに、
なるべくしてなるときって、あるんですね。

水とともにある紙漉きの仕事。
古民家の土間だったあきこさんの工房内には、井戸もあるんです。

楮から作られた紙素と水が、
あきこさんが繰り返す揺らぎの中で、一枚の姿になっていきます。
紙は乾かして使うものだけれど、
作っている途中の姿もひときわ美しく。

+++

今回の対談記事の見出しは
「心の火種に   風、渡らせて」
になりました。
記事が出来上がってから、最終的に編集部で付けてくださったもの。

そもそも、今年の「工房からの風」の隠しテーマが「火」。
五行、木火土金水を一年ずつ隠しテーマとした二年目。
木や土は素材だから、イメージをつかみやすい。
けれど、火ってどのようにしましょうか・・・?
と、新年から作家の方々と会話を重ねてきたところでした。

そんなことも心の底にあったからでしょうか。
「火種」という言葉が、対談の中で自然に出てきたのでした。

あきこさんと出会って10年。
その翌年に知くんを出産されて、
それからの時間を、折々近くにいさせてもらいながら、あきこさんのなんだか神々しいような透明感にいつも心打たれています。
(神々しいような透明感、って、
あっこちゃんを知っている人なら、
きっとわかる、わかるって思ってくれるような・・・)

『 息子を育てる前の自分は、色々な物事に対して鈍感に生きていたなと感じています。彼は言葉を持たないので、観察しないと何を望んでいるのかわからない。なので、表情や動きを見るうちにそれが面白くて、ますますよく見るようになったんです。よく観察することで、自分の言葉にも行動にも、重力が生まれたように思います。』 婦人之友より

そう、あきこさんご自身は、爽やかに軽やかな方なのに、生み出す作品や言葉から感じる重力の確かさ、深さに、心がきゅうーーんと掴まれてしまうのです。

それぞれの人が心に持つよき火種によき風を渡らせて、美しいものを生み出していく。
世の中、よきことばかりではないけれど、
だからこそ、そんな環の中で息をしていきたいと、あらためて思ったのでした。

今回、表紙にまで掲載もいただいて!

明日館では、にしむらあきこさんをはじめとして、
和泉綾子さん、花岡央さん、三浦圭司さん・アリサさん(ヒヅミ峠舎)
での「青の手しごと展」という展示も行います。
7/2(火)~7(日)まで。
こちらもあらためてご案内いたしますね。

「心の火種に   風、渡らせて」
ぜひ、お読みいただけますように。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?