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なぜ20円のチョコでビルが建つのか

中小企業で働く人のためのブックガイド。第2弾は『なぜ20円のチョコでビルが建つのか』。

東京に住んでいる方なら1度は耳にした事がある、アメ横「二木の菓子」。二木の菓子を知らない方でも、うまい棒やチロルチョコは知っている方が多いのでは?アメ横の安売りのお菓子屋さんと思っていたら、価格競争では戦わず独自の販促でシェアを獲得しているようです。これらは全て二木が製造元と一緒に作り上げた(しかも長年少しずつ)商品です。

従業員数98人、年商は50億。オリジナル商品を製造するメーカーでもなく、小売店として扱う商品はスーパーと同じなのに何が差別化を生んでいるのか?その戦略は、お菓子業界以外でも十分参考になります。

効率と感動はトレードオフ

まず、中小企業は大企業と違い「効率化」を追求しません。効率化を追求しても資本力のある大手にはかなわないからです。では何を追求すべきかというと、逆説的ですが「非効率」。つまり、大手が取り組まないことが何かを考えたときに非効率なことに取り組むことであると著者は考えます。効率重視の現場では、心を強く動かされることがありません。では著者の考える非効率な取り組みとは何なのかのわかりやすい一例として、駐車場まで商品を運ぶサービスを挙げています。駐車場が見つからなかったお客様が2km先にとめても、スタッフの方はお客様と一緒に2kmの道のりを歩いて荷物を運んだそうです。こんなことされたら、誰でもファンになっちゃいますよね。二木の菓子おそるべし!二木の菓子のライバルは同業他社ではなく、ディズニーランドとのことです。

大切なのはお客様の数ではなく、感情

経営陣が売上が目標ではなく、販売の目的ではありません。数字ではなく、人を見ろと宣言しているのは働く側にとっても心強い事です。僕自身は経営陣がお客様を売上の数ではなく感情を見るには、やはり現場に出てお客様の声を聞く機会を作っているかどうかだと思っています。

差別化ってどういうことか説明できますか?

例えばこの2つの説明やキャンペーンは差別化と言えるのでしょうか?「原材料のカカオにこだわって、丁寧に仕上げました。類似品とは風合いがまったく異なります」。「全額返金キャンペーン」。どちらもついつい使ってしまいそうなワード・キャンペーンですよね。でもこれらは他社の成功事例を真似たどこかで聞いたことのある施策です。ついつい同業他社は、何をしているのか?見てしまいますが本当に必要なのはお客様に直接向き合うこと、ということがこの本を読んでも嫌という程わかります。

どこにでもある商品がなぜ、二木だけが売れるのか?

この本が中小企業に向いていると感じたのは、事例がきわめて具体的で、かつ本を読むことで新しい視点を与えてくれるからです。お金がないから販促ができない、人口が減った、競合ができたから売上が落ちているといった、一見最もらしい理由を一刀両断して、きちんと具体例を提示しています。特に第5章のPOPを書き換える例は必見です。一例として40年以上変わらない製法で作り続ける懐かしい味わいがセールスポイントの「あんドーナツ」。これは二木が販促するまでは、今ほど売れ行きがよくなかったそうです。どうしてあんドーナツが爆発的な売上をあげるようになっのかはぜひ本を読んで確かめてくださいね。1時間ほどで読めますが、迷った時はなんどもこの本に立ち返りそうです。









popの変更例は、

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