皐月賞2024_ダービーでの逆転は…?

はじめに

皆様はじめまして。

今回から重賞レースを中心にレース回顧の記事を書いていこうと思う。

さて、第一回目となる今回のレースは2024年皐月賞だ。
結果から言えば1:57:1というとんでもないコースレコード決着となった。

そう、皐月賞レコードではなく、中山芝2000mのコースレコードだ。

高速レコード決着の衝撃

何てことはない、タイムに目をつぶれば基本的には例年通りの前有利の展開だ。
今年も例外ではなく馬券圏内の3頭はいずれも半分よりも前にいた馬で決まっている。ちなみに過去5年の勝ち馬で直線二桁番手から差し切っているのは、昨年の不良馬場で行われたソールオリエンス以外には存在しない。差し切り勝ちのイメージのある、あのコントレイルでも直線手前で7番手までポジションを上げ、迫るサリオス相手に何とか粘り込んだ形だった。

またレコードタイムについても注意しておきたいのは、当日の2勝クラスの牝馬限定戦で1:58.2という破格のタイムが出ていることだ。しかもこのレースは1000m通過が60.1とハイペースになったわけではない。
他にも皐月賞の直前に行われた10RのドゥラメンテCは有馬記念と同じ距離の2500mだが、そのレースでも人気薄のセイウンプラチナが2:31:4で逃げ切り勝ちしている。これを無理やり比較すれば、3歳暮れのイクイノックスが圧勝した2022年の有馬記念の勝ちタイムが2:32:4だ。

当日の他レースのタイムを見ると、皐月賞当日の馬場が超高速馬場であったことは否定出来ない。また前を引っ張ったメイショウタバルが57.5で逃げ、その後ろの2番手も58,9秒くらいのペースでの追走になったのもレコードの要因の一つだろう。


勝ち馬のジャスティンミラノへの評価


何やら巷では既にジャスティンミラノとイクイノックスの比較論争が行われているらしい。
しかしレコードタイムは出るべくして出たもので、特別今年の皐月賞のレベルが高いわけではないし、勝ったジャスティンミラノも大したことない…




なんてことを言うつもりは毛頭ない


むしろ初めて経験した淀みないミドルペースでの追走をなんなくやってのけ、ローテも明らかにダービーを見据えたもの。
それで皐月賞を取ってしまったのだから。
そして何よりキレ一辺倒のスタイルではなく持続力もあることが皐月賞で証明された。

これは少なくとも3歳春のイクイノックスでは出来なかった芸当だ。
※彼は馬体が成長し、最終的には先行して後ろの馬と同じ脚を使うようになって化け物になってしまったが

そのためジャスティンミラノの強さは完成度の高さにあると思っている。気性がよく折り合いに課題がない上、スローペースでは共同通信杯のようなキレが使え、先行したとしても今回のような持続力もある。

個人的な意見としては、イクイノックスとの比較をするにはまだ早計なものの、その脚質のスタイル自体は非常に近いものを持っていると考えている。むしろ古馬になってから確立したイクイノックスのスタイルを既に3歳春時点で会得していることが驚くべきことなのだが。

当然ダービーでも一番人気に支持されるだろうし、それに足るパフォーマンスは見せたと言って良い。

ただし今回のレース回顧で言いたいのは、
ジャスティンミラノ含め上位3頭は、
現時点での100%パフォーマンスを出し切った
のではないかということだ。


上がり3Fタイムの上位馬について


パフォーマンスを最大限発揮した3頭はダービーでも抜けた人気になるだろう。
※(追記)ジャンタルマンタルはダービー回避とのこと
しかし皐月賞は超高速馬場の前有利というトラックバイアスが働いていたことには留意しなければならない。

日本ダービーは2400mの府中が舞台。直線が長いため非常に差し決着になりやすく、キレ味が求められる。また道中の追走で脚が残せるようなスタミナと折り合い面も重要。国内では敵無し状態だったエフフォーリアが最後にシャフリヤールに差されてしまうほど、適性の差が大きく出るレースと言えよう。

それではここで、皐月賞の舞台でダービーに重要な末脚を見せた馬達を振り返ってみよう。
まず皐月賞での今回上がり3F最速となるタイムはレガレイラ、エコロヴァルツの叩き出した33.9。

  • レガレイラ

レガレイラはダービーかはともかく、オークスで狙いたい一頭だ。特に牝馬はクラシック一戦目が1600mの桜花賞ということもあり、適性の部分でマイル寄りの馬が台頭しやすい。そのため中距離を経験した馬が少なく、自然と府中2400mでもペースが上がりやすい。これにより牝馬にとってはタフなレースになり、レガレイラのような末脚を持つ馬にとっては展開が向く。

一番分かりやすいで言えばユーバーレーベンが勝った2021年オークスか。

もしオークスに来るようであれば、当然頭から買いたいと考えている。

  • エコロヴァルツ

次にエコロヴァルツについて。
この馬は何故かここ3走全てが最後方からの競馬になっている。恐らくこれはコスモス賞で見せたかかり癖を矯正するために、意図して最後方からの競馬を選択し続けているように見える。しかしエコロヴァルツ自身はコスモス賞でも早め先頭から押し切る競馬で勝利していることから、本来は前目から良い脚を長く使うタイプなのではないかと考えている。
そのため勝負のダービーでは最後方のポジションではなく、早めにジャスティンミラノやコスモキュランダの後ろについていく形になればとても面白い。ただしダービーでも同じように最後方からの競馬となるなら厳しい結果になるだろう。

  • アーバンシック

次に上がりが速かったのはアーバンシックで34.1。
結果は4着で、後ろから追い込む形となった馬達の中では最も上位3頭に迫った。直線に入ったタイミングではコスモキュランダより1馬身ほど後ろであったため、ポジション自体は悪くない。ただしコスモキュランダには、そこから突き放されてしまった。
つまり彼はコスモキュランダには完全に力負けした内容で、正直ダービーでの逆転可能性とオッズ妙味で考えるとあまり狙いたくはない。コスモキュランダの後ろという良いポジションで、スムーズに加速してあの結果ではあったので、彼のパフォーマンスを出し切った上であの内容だったと捉えている。

終わりに

上がり3F上位の馬は上記の3頭となり、次点は2着のコスモキュランダの34.2となる。正直なところ、コスモキュランダがとても強い競馬をしたせいで、他の差し馬の評価を上げにくい。特にアーバンシックとの比較で言えば、背後のアーバンシックを突き放し、ジャスティンミラノをクビ差まで追い詰めている。もしダービーで逆転があるとすれば、コスモキュランダに見えてしまった。

強いて未知数なのが、もしエコロヴァルツがコスモキュランダと同じ位置取りをした時にどこまで迫れるか…?という部分になる。
本番までに陣営から何らかしらの発言があるかも含めて、エコロヴァルツには注目しておきたい。ただ武豊にはシュガークンという別路線でダービーを目指している馬もいる。順調にシュガークンがダービーへの出走権を得た場合に、どちらに乗るのかも含めて本番は見定めたいと思う。

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