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感想 15歳のテロリスト 松村涼哉 少年法については問題もあるのですが、それをモチーフにした本作は面白くもありましたが、最後の部分がご都合主義すぎてちょっと納得いかない。

人を殺害したのに、犯人が少年だから・・・というケースで、嘘みたいに軽い刑に驚くことがある。
少年法に関しては、僕も違和感があるのですが、本作では、その少年犯罪を取り扱っています。

少年は、なぜ、テロリストになったのか?。
それをミステリー形式で解き明かしていくストーリーです。
ただ、この作品をミステリーとして読むならば満足はできないと思います。

少年の葛藤の描き方などが秀逸で、物語に引力がある反面、少年にしては緻密で計画的な部分もあります。
例えば、復讐する相手の妹に接近したり、彼女がいない時間帯に母親だけだのところに押し入ったり、少年にそんな計画性や度胸があるとは思えませんし、その後のテロの展開については、それは大人でもできないでしょと思ってしまいました。

そして、あのラスト。
御都合主義もいいところです。
ネタばれさせると、少年は復讐しようとしていた犯人の少年がテロをしようとしていたのに気づく。
だから、それを自分がやったと公表する。
というのも、犯人は誰かに雇われていて、その黒幕が国会議員で、少年法をもっと厳しいものにしようとしていた人という結末です。

自作自演で少年に爆破事件を起こさせて世間の目を少年事件に向けようというのです。

つまり、自分の政治的な意見を通すため、わざと少年に爆破テロをさせていたということです。
ありえないですね。
バレたら人生終わりですよ。警察はそんなに甘くない。
少年にバレるようなことを大人、それも国会議員がやるとは思えません。

人々が少年犯罪に興味を持つのは、いつだって凶悪犯罪が発生してからだ。


そして、興味を失えば、そのことをみんな忘れてしまう。

だからって、少年法を厳しくしようという議員が、自ら犯罪を起こすということはないと思う。
なんか、結末が変。がっかりです。


2024 2 17
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