悲観主義の歌

――明るい悲観主義を歌った人を私はまだ知らない


 世界は滅びに向かっている

 人々は自分と家族のことだけを考え

 社会に対する責任も

 人生に対する誠実さも失っている

 天命や神を信じている人はもはや馬鹿か狂人だけ

 そんな時代じゃ信心深い我々は

 息をするので精いっぱいだ


 さてそんな我々の萎えた両足を活気づけるのは

 不本意ながらも楽しい踊り

 軽やかな音楽と

 愉しいフィロソフィア


 我々は悲観する

 世界は滅びに向かっている

 さぁそんな世界の真ん中に立って

 我々は何を叫ぶ?

 そう! 悲観主義が叫ぶのだ

 嘆きか? それとも嘲笑か? 

 我々はそのふたつにはもう飽き飽きしてる

 我々はすぐに飽きるから(そうこれは、悲観主義者特有の素晴らしき長所である!)

 そろそろ新しい声で叫びたい

 歌えや歌え たまには連中の真似をしようじゃないか

 楽観主義者や享楽主義者の馬鹿げた踊りを

 我々流に解釈をして

 美しく雅に舞おうじゃないか


 世界は滅びに向かっている

 されど我々は滅びず! 

 我々は先んずる

 滅びではなく生存を

 我々は正確に悲劇を予想する

 被害を最小限に食い止めてきたのは

 歴史上いつも我々であった


 世界は滅びに向かっている

 されど我々は滅びず!

 そうだ 滅びることなかれ!

 悲観主義者よ永遠たれ!

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