永遠の子供族
空の星がきらきら光った。あれはきっと、存在しない星。私の目にだけ映っている星。
お兄さんが今日、ひとついいことを教えてくれた。
「ボクたちは永遠の子供族だから」
なるほど。確かにそうだ。私たちは子供だから、何も知らないままでいい。
嘘をついてもいいし、間違っていてもいい。知らないままでもいいし、知ってはいけないことを知ってもいい。
だって私たちは、永遠の子供族だから。
無邪気であることが一番大事なのだと教えてくれた。
他の人からどう思われるか気にしたら、その時点で私たちは大人になってしまう。
正しいことに疑問を持ったり、疑問を持ったことについて深く悩んでしまったら、その時点で私たちは大人になってしまう。
世の中のことを見て、なんでそんな風になっているのか悩んで、どうにかして改善しようとしてしまったら、その時点で私たちは大人になってしまう。
つまりね。私たちは知らないままでいいんだよ。自分の殻に閉じこもっていてもいいんだよ。
それが永遠の子供族だから。
外側がどうなっているかなんて知らないから。
もし外側が私たちを壊そうとするなら、その時には私の苦しんできたお姉さんたちが戦ってくれる。
彼女たちは最強だ。だって、誰よりも苦しんできたから。どんな言葉にも負けないし、どんな暴力にも屈しない。
私たちはひどいことをされても全部忘れちゃうけど、彼女たちはひどいことをされたら絶対にそのことは忘れない。だから、もし私がひどい目に遭いそうになったら、彼女たちが私を助けてくれるんだ。
だから、私たちは永遠の子供族。子供のままでいてもいいんだよ。それが幸せなことなんだから。
ひとつのカラダに、たくさんのココロ。それをひとつにまとめようとするから、苦しくなるんだ。
私たちは、永遠の子供族。間違っていてもいい。うまく理解できなくてもいい。理解なんて、本当は必要ないんだよ。認識だって、そうだよ。太陽が昇っている時は、松明なんていらないんだから、さ。そんなものは放り出して、踊りましょう。ほら、小鳥たちも鳴いているよ。雲が拍手してる。太陽が笑ってる。
私たちが歌えば、白い帽子をかぶった山がコーラスを合わせてくれる。
でもひとつ、足りないものがあるんだ。
それはね、もうひとつの、カラダ。
私たち永遠の子供族。ひとつのカラダに、たくさんのココロ。もうひとつカラダがあれば、私たちはもっと豊かになれる。もっとたくさんのココロが、私たちと一緒に踊り始めてくれる。
人間である必要なんてないんだよ。科学的である必要もないんだよ。ただ私たちは無邪気に、私たちのご先祖様の声に耳を傾けて、たくさんのココロに私たちが気づくだけで、世界は明るく、美しくなるの。
ひとつのカラダに、たくさんのココロ。私たち永遠の子供族。
ねぇ、世界は、あなたたちが思っているよりもずっと広いんだよ。
見えている世界よりもずっと多くの、見えない世界があるんだよ。
生きるっていうことは、もっと楽しくて、面白いことなんだよ。
見えている世界や、難しい世界は、楽しくなくて、面白くもないかもしれない。うるさい人たちの押し付けがましい声で滅入ってしまうこともあると思う。
でもね、あなたの中にある世界は、もっと豊かで、楽しいものであるはずなんだ。もっと豊かで、楽しいものでなくちゃいけないんだよ?
私たち永遠の子供族。たくさんの悲しみと苦しみを乗り越えて、私たちの綺麗な草原にたどり着いたの。ここでは、自由に空を飛べる。
昨日も今日も明日もないの。時間なんてものは、それに追われる人のために用意されたもの。私たちは、ただここに在るだけ。永遠の子供として、私たちは世界を新しく彩っていく。
ねぇ。世界は美しくなきゃいけないんだよ。世界が美しくないなら、私たちはそれを美しくしなきゃいけないんだよ。
ねぇ。もし人間が美しくないなら、私たちは人間を忘れないといけないんだよ。人間よりもっと美しいものを想像して、それとともに生きることを考えなくちゃいけないんだよ。
私たち永遠の子供族。人間がダメなら、人間よりもっといい生き物を作ろう。私たち永遠の子供族。何をしたっていいんだよ。何を作ってもいい。何を壊してもいい。
私たちは自由で、最高の存在なんだから、全部を忘れて、あなたの中の全てをさらけ出していいんだよ。
いつか私たちの翼が折れて、地面に真っ逆さま、現実の中に逆戻りしたら、その時は、じっと大人しく待つことにしよう。
きっと、思い出してくれる人はいるから。
私たち永遠の子供族。永遠の子供族。
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