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読者の意識を変えるのは、作者の倍難しいので…(「読まず嫌い」をなくすには…)

おもしろい小説が評価されない原因の1つとして「読まず嫌いでそもそも読んでもらえていない」ことがある…と、過去記事でもちょこちょこ触れて来ましたが…

そんな「読まず嫌い」をなくすためには「読者の意識を変える」必要があります。

ですがそれは、並大抵のことではありません。

なぜなら読者は「意識を変える必要を感じていない」からです。

皆さん、おもしろい小説が全然見つからない時、何を思いますか?

この世のほとんどの人間は「最近の小説はレベルが低いな」と、作者のせいにするのではないでしょうか?

そこで「自分の選書眼が低いのかも知れないな…」「感受性が鈍っているのかも知れないな…」と己を顧みるのは、きっとごく一握りの高IQ者のみです。

大概の人間は「原因を自分の中に探す」ということすら思いつきません。

なので「だから、自分を変えよう」とはならないのです。

■意識を変えるには、まず問題点に気づいてもらうことから

そもそもほとんどの読者は、自分が「読まず嫌い」していることにすら、気づいていないのではないでしょうか?

そして「どんなに面白い小説でも、読まれなければ面白さに気づいてもらえない」という当たり前の事実にすら、気づいていないのではないでしょうか?

本人すら無意識の「気づけていない問題点」は、変えることができません。

なので、まずは「そこ」に気づいてもらうための「情報発信」から始めなければなりません。

しかし、この「気づいてもらう」ことが、そもそも結構な難題なのです。

人間は「興味のないこと」をスルーします。

たとえそれが自分の人生を左右するような問題だとしても「おもしろくなさそう」「難しそう」「つまらなそう」なものには興味を抱きません

実際、政治経済や環境問題、果ては地元に害獣や不審者が出たというニュースすら、無関心にスルーする人間はいるのではないでしょうか?

なので、まずは「その問題に興味を持ってもらう工夫」をしなければなりません。

それはたとえば「インパクトのあるタイトルやサムネイルで目を惹く」ですとか「露出を増やして目につくようにする」といった、インフルエンサーがバズりを狙う時に使うのと同じ類の「工夫」です。

…つまりは、この時点で既に相当、難易度が高いのです…。

たとえ「人のため」「世のため」になるような情報を発信したとしても、皆がそれを喜んで受け取ってくれるわけではありません。

上にも書いたように、人間は自分自身に関わってくる重要情報すら、無関心にスルーする生き物。

たとえどんな情報であっても、人目に触れ読んでもらうためには、他の情報との「競争」を勝ち抜いていかなければならないのです。

■意識を変えるには「説得力」が必要

たとえ発信した情報を「読んでもらう」ことに成功したとしても…それですぐに読者の意識が変わるわけではありません

皆さん、他人の意見を何でも素直に受け入れる方ですか?

「何かアヤしい」「何か違う」と感じたなら、受け入れないのではないでしょうか?

読者の意識を変えるためには、発信した情報・意見に「説得力」がなければ駄目なのです。

文章に説得力を持たせるためには、まず著者自身がその文章に「納得」すること。

自分自身を納得させられるような文章を書くことです。

これにも高いスキルが要求されますが、他人の意識を変えるためにはきわめていくしかありません。

■「読者」が難しいなら、まずは「作者」から

「将を射んと欲すれば先ず馬を射よ」ということわざがありますが…

小説界隈の場合、「読者」の前に射るべきものは「作者」なのではないかと思っています。

難しいことには変わりありませんが、読者よりも作者の方が、意識を変えるのが簡単なのではないかと思っています。

なぜなら「読まず嫌い」に対する危機感が強いのは、読者よりも作者の方だからです。

無名の作者はもちろんのこと、既にヒット作の出た作者であっても、「読まず嫌い」は無縁の問題ではありません

昨今「作家追い」をする読者は減り、1つの作品がヒットしたとして「次」が続かない「一発屋」のような売れ方が増えていると思いませんか?

「過去の実績」が評価されない以上、「新しい作品」を出す際は、常に「読まず嫌い」との闘いです。

「読まず嫌い」がこの世から少しでも減っておいてくれた方が、全ての「作者」にとって「ありがたい」のです。

「『作者』の意識をいくら変えたところで、意味があるのか?」と思う方もいらっしゃるかと思いますが…

意味ならあります。

ファンやフォロワーのたくさんついている作者なら、その「発言」に一定の「影響力」があります。

その作者が「読まず嫌い」を意識し、それについて言及するようになったなら、その意識が読者にも波及していくのです。

それに、そもそも作者は「読者でもある」のです。

完全なる「書き専」でもない限り、自身の執筆に余裕のある時には、他者の作品を読んでいるはずです。

そんな「作者兼読者」の意識を変えられれば、「全て」ではなくとも「何割か」の読者の意識を変えたことになるのです。

■コツコツ情報発信することが大事

兎にも角にも、読まず嫌いをなくすために必要なのは、地道に情報を発信し続けることです。

発信したとして、その情報自体が「読まず嫌い」されて何にもならないかも知れません。

読まれたとして、小馬鹿にされて終わりかも知れません。

それでも「できること」と言えば、コツコツ情報発信を続けることしかないのです。

今の時代は「おもしろい」ものでも見出されず、評価されないことも多い時代ですが、ひょんなものがひょんなきっかけでバズることもある時代です。

そんな奇跡や偶然を信じて、あきらめずに発信し続けるしかありません。

…それに、発信し続けていれば、いつの間にか「バズらせ方」や「説得力」のスキルが身についているかも知れませんし…。



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