いたずら星、みっけ
あの年、2017年の流星群はみんな
下弦の月が嫉妬するから、はっきりとは見られない、って聞いた
8月のはくちょう座、12月のふたご座
こぐま座も見れるといいのに シャケ抱えてるかもね
だから、特別な双眼鏡を準備して
だいすきなドーナツをくわえて
見えても見えなくてもいいことにしよう
ぼくは 別に 君と手をつなげたら、それでいい
ドーナツを半分こできれば、尚更いい
*
あの夜、君に送ってしまった 書き損じのメール
流星ずきな君を 密かに さりげなく誘いたくて
流れ星って書くつもりで、らっかせいって打ってしまったら
何故か 落花生じゃなくて、落下星に変換された
そうしたら、もう 「落下星」の方が断然いい気がして
説明もなく使っちゃった
それを、君はとても気に入って
今でも、そっとミミモトで言うと 目に星が入る合言葉
*
時折、不安定な空模様の雨が
豹変して、雹《ひょう》に変わることがあるね
まるで怒ってるみたいに、空から刺さる氷の粒
降っている間は、決して近付いちゃいけない
過ぎ去ってから、そっと落とし物を見に行くとね
中に、星の形をしているものが混ざってるんだ
金平糖みたいに 透明の姿に光を内包した、あれが
落下星が 地球まで 到着したものなんだ
四つ葉のクローバーと同じように
見つけた人はいいことがあるんだって
言い伝えだけど、ほら、ぼくが 君と一緒にいることが
きっとって、てのひらに 金平糖をのせてみる
満天の夜空の下の 一人占めの特権だ
幾つもの夏を 二人で過ごせたらいい この先も
『ノスタルジアの箱』 夏の果てしなき。
いつか自分の本を作ってみたい。という夢があります。 形にしてどこかに置いてみたくなりました。 檸檬じゃなく、齧りかけの角砂糖みたいに。