5月22日 晩春のひるの闇


七爺八爺的故事。多少的台灣人知道這種話?非常有意思。

洪水警報が出るほどの豪雨と地下鉄通り魔事件と地震に見舞われた禍々しい昨日の台北。禍々しい、というので思い出した。このまえみかけた神様たちの行進「廟會(ミャオフェイ)」の「七爺八爺(チーイエ・バーイエ)」。

台湾では一般的に「七爺八爺」と呼ばれているけれど、正式名称は「黒白無常」もしくは「范謝將軍」と呼ばれる。

中国、唐の時代。

謝必安(白無常・七爺)と范無救(黒無常・八爺)は、日本の江戸時代でいう与力や同心のような役人であったが、あるとき咎められ任を解かれて捕えられるところを脱走した。

もともと大の仲良しのふたりは、思い出のとある川にかかる橋の下で落ちあうことを約束しわかれてにげた。范無救が先について待っていたところ突如として豪雨に襲われた。あまりにもひどい雨なので、謝必安はなかなか橋にたどりつくことができない。川はみるみるうちにかさを増したが、范無救はひたすら約束の地で待ち続けた。雨はやむことなく、背のひくい范無救はとうとう、溺れてしんでしまった。

遅れてついた謝必安は、友のなきがらをみつけおおいに悲しんだ。そして自分も友のあとを追うために川に飛びこむ。
かなしいかな、背のたかい謝必安は水底に脚がつき溺れることが出来ない。仕方なく謝必安はその橋のわきに生えた木で、くびをくくる。この友情の顛末をあわれんだ最高神の玉皇大帝は、二人に冥界の閻魔大王の与力の仕事をあたえる。冥界の与力の仕事は、しんだ人間を閻魔大王のもとに連行し裁きを受けさせることである。

ふたりの死神の表情はしんだときそのままに、溺れしんだ范将軍の顔はくろく来ぬ友への憤怒のため口をあけ、縊死した謝将軍の口からは舌がたれさがっている。目も口もくろくポッカリと闇が白昼に浮かんでいるみたいに見える、晩春のいち風景。

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