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軍中楽園

監督・鈕承澤/2014年公開 台湾映画

日本人があまり知らない、台湾の魅力が詰まった映画。日本でぜひ上映してほしい。

「事前多喝水 事後要小便」
這個標語不是於現在的腳底按摩店裡的,就是民國60年代的金門,於軍隊茶室門口才被寫的。看完「軍中樂園」後,不得不喝金門高梁酒。好片!

見終わって、矢も盾もたまらずグラスにトプトプ。。いぜん呑んだ高梁酒はきつかった。すごく癖があった。でも、この映画を見た後は何とも言えずおいしく感じる。

舞台は1969年の金門島軍隊慰安所。

金門島名物といえば金門包丁と高梁酒。包丁は当時日課のように向こう岸の人民解放軍から飛んできていた47万発あまりの砲弾を原料にしてつくられている。高梁酒のほうは、いまや中華圏で最高の品質と言われ100倍以上の値がついた古酒を中国大陸のお金持ちが買い漁っている。

砲弾のように飛んでくるおのれの欲望をおさえ、ときに暴発させ、高梁酒を飲み干すように淡々とそれをつぐなう、この映画に出てくるのはそんな男と女の姿だ。
叶うはずのない夢を時代によって打ち砕かれた、でもそんな状況だったからこそ見てしまった夢。
台湾という土地がかかえこむ、むき出しのコンクリートの上に割れ散らばった「矛盾」というするどい破片の上を素足であるくような記憶を、垣間みる。
たった数十年前の記憶。

映画を観ると見慣れた街の風景が一変することってある。あそこんちの旨い餃子屋の親父が、かつての夢のなれの果てだったらと想像する。高梁酒の香りを憶えて兵役を終えた「元・無垢な青年」はいま、60歳位の初老のおじさんとして孫を連れてそこらへんを歩いているかもしれない。

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