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アメリカン「ハードポップロック」ヒット楽曲の系譜。

例によって非常に個人的で主観的な定義による記事です。
「ハードポップロック」なるジャンルは実は存在していません笑。
ただ僕が勝手に思い込みでカテゴライズした、ほぼ「楽曲単位」の選択です。

また英国にも「ハードポップロック」と見なされるバンドやヒット曲は多々ありますが、今回は個人的な嗜好でアメリカに限定して選びました。

メロディやサウンドに「ポップ感」が多少なりともにじみ出てると感じた米国ハードロックバンドのヒット曲を、年代順に挙げてみました。

1968年 Steppenwolf「Born To Be Wild」

1970年映画『イージー・ライダー』のオープニングに使われたこの曲は、イントロギターリフの疾走感で日米で大ヒット。サビのメロにそこはかとなく現れるポップ感が、後に僕にとって「ハードポップロック」の原点となりました。


1973年  Grand Funk Railroad「We're An American Band」

ヘビーでブルージーなハードロックをウリにしていた Grand Funk Railroadがキーボードを加えた4人組となり、一時的に「 Grand Funk 」と改名し、トッド・ラングレンをプロデューサーに迎え、世に送り出した超大ヒット曲。


1974年  Grand Funk Railroad「The Loco-Motion」

翌年、グランドファンクは再びトッド・ラングレンの元、この名曲オールディーズヒットをカヴァーし、全米2週連続1位に輝きます。この曲の大ヒットがまさに「アメリカンハードポップロック」の礎を築いたと考えています。
GFRの存在とその一連のヒット曲は、その後のハードロックバンドに少なからずの影響を与え、世界レベルで売れるためには「POP感」を注入する必要性がある事を示しました。


1974年 Montrose「I Got The Fire」

名ヴォーカリスト、サミー・ヘイガーを擁するモントローズは、2ndアルバム『ペーパー・マネー』を発表。名曲「I Got The Fire」がヒットしました。イントロのギターリフはあまりに有名。邦題が(灼熱の大彗星)というのも訳が分からな過ぎて大好きでした。


1975年 Kiss「Rock and Roll all Night」

Kissはハードポップロックというより、ハードロックエンタメの創始者だろうと思います。とにかく判りやすいギターリフとメロディは適度なPOP感を持ち、コピーするにはお誂え向きでしたよね笑。


1976年 Boston「More Than a Feeling」

ボストンはさらに進化したハードポップ感を持つ卓越したバンドでした。
じっくりと構築されたサウンドとメロディは、後に「産業ロック」と揶揄される人気バンド群の始祖でもあろうかと思います。


1979年 Cheap Trick 「 I want you to want me 」

日本でも大人気だったチープトリックは、メンバーキャラのギャップに萌えました笑。見事なハードポップバンドです。


1980年 REO Speedwagon 「 Keep On Loving You」

10年近く売れないハードロックバンドだった、REOスピードワゴンの全米No.1ヒット。この曲のヒットが与えた影響は、後のジャーニーやシカゴのメロディにも現れていると思います。またこのバンドの他楽曲のサウンド感はBon Joviなどにも影響を与え、ギターリフはエディ・ヴァン・ヘイレンもインスパイアされてます。


1981年 Journey「 Don't Stop Believin' 」

スティーヴ・ペリーとジョナサン・ケインの加入後、ジャーニーは大ヒット曲を連発するハードポップバンドと変容し、一時代を築き上げました。
当時いわゆる「産業ロック」のトップランナーだった訳ですね。
何と言われようと偉大なバンドの一つです。


1984年 Van Halen「Jump 」

ギタリストのエディがイントロでギターを弾かず、シンセサイザーを起用するという度肝を抜かれる事をしでかしたのが、この大ヒット曲。
「ハードポップロック」の多様性を世に知らしめました。


1984年 Twisted Sister 「We're Not Gonna Take it 」

時はMTVの時代で、ドラマ性を持ったこのミュージックヴィデオも一世を風靡しました。このメロディの判りやすさは「ハードポップロック」の特徴ですね。見た目のエンタメ感はさておき、名曲の一つだと思います。


1986年 Bon Jovi 「You Give Love A Bad Name」

アメリカン「ハードポップロック」の頂点に上り詰めたのが、やはりボン・ジョヴィでしょうか。この曲の持つ「POP感」はイントロのアカペラコーラスから爆発しており、計算されたメロディとサウンドは他の追随を許しませんでした。この後、10年近く快進撃を続けたのは皆様ご存じの通り。


1989年 Aerosmith -「Love In An Elevator」

低迷していたエアロスミスが、1986年Run-D.M.C.の「ウォーク・ディス・ウェイ」カヴァーヒットにより、息を吹き返しチャートに返り咲き始めました。
ハードサウンドの中に適度な「POP感」や、様々な要素を織り交ぜた当時の名曲。


1990年 Firehouse 「 Don't Treat Me Bad」

僕の中で最後に登場したアメリカン「ハードポップロック」バンドが、このファイアーハウスです。秀逸なメロディとサウンド、そしてこの声の魅力。
ジョン・ボンジョヴィに見出されたというのも象徴的です。
アコースティックギターのイントロから「ハードポップ」に昇華していく巧妙なアイデアを、うまく体現したバンドでした。

その後・・。

もちろんガンズ・アンド・ローゼスはポップバンドとは言えず、90年代以降ロックバンドはミクスチャーロックやオルタナティブ、グランジといったサウンドが主流になり、「ハードポップロック」バンドは時代の波の中で静かに消滅していきました。

70年代~80年代を通じて20年を超えるロック史の中で、一部のファンやメディアから卑下され続けてきた「商業的な成功を得るためのPOP感(産業ロック的なるもの)」を利用したハードロックバンドや楽曲は、それでも大衆に愛されました。

さらに20年以上経った現在、そのニーズや萌芽はまだ残っているはずだと考えますが、如何なものでしょうか?

この稿終わり。

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